自分探しの旅へ
しかし、そこからGさんの自分探しがスタートします。
幼いころから強制的に叩き込まれてきた生真面目で頑張り屋さんという特性を発揮して自分史を振り返りながら、未解消な本音と真摯に向き合い、ありのままの自分を取り戻していきます。
何回かのセッションが終わるころには、「親の呪縛を解くことが、私の人生の大きな使命のひとつだったのだと、いまでは思っています」「いま思えば、父親も祖父から医者になれというプレシャーを実現できなくて苦しんでいたんだと思います」などと冷静に自分自身や家族を振り返ることができるほど、人生を前向きに捉えることができるようになっていました。
毒親からの実現不可能と思えるような無茶な期待や要求を完璧にこなそうと必死になって頑張った結果、自らも毒の連鎖に巻き込まれていき、結果として悩ましい現実を生み出してしまったGさん。
Gさんのように「親の過剰な期待を自分の使命、責務」のように内面化してしまうことで、自分で人生をコントロールしているつもりが、実は「親の呪縛」にかかったままだったというケースは本当に少なくありません。
そのような意味で、これまでの連載でもたびたびお話ししていますが、「やるべきこと(MUST)」と信じていることを洗い出し、それらひとつひとつについて、「それらはやりたくてやっているのか否か?」それとも、「やるしかないと盲信的に信じているだけなのか?」をチェックしてみることは大切なことだと思います。
そのうえで、「主体的にやりたいこと」に時間やエネルギーを使うようにシフトしていくと呪縛から自分を解放することに役立つかと思います。
次回の『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』は2021年9月15日公開予定です。
【連載】『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』
【1】「生きづらさ」の根本にあるものは…?私の幸せを阻む「毒親」の呪縛
【2】私は「毒親」育ちだったのか?いま、生きづらさの原因を考える30の質問
【3】親の不仲も不機嫌も「自分が悪いせいだ」と思って育った、毒親育ちの人へ
【4】毒親に言われ続けた「あなたのため」。その支配から抜け出すための、はじめの一歩
【5】わけもなく不安になる。毒親育ちが無意識の苦しみを手放すためのワーク
【6】人が怖い、居場所がない、価値がないetc…毒親育ちの持つ悩ましい感覚
【7】私は何をやってもできない人だ。毒親育ちの悩ましい思考の手放しかた
【8】だから僕は、人が怖い。毒親育ちが「生きづらい」人生から抜け出すまでの道のり
【9】離婚したのは、僕のせい?「親の離婚」で傷ついた心の癒し方
【10】それって本当に子どものため?親の「責任」と「過干渉」のボーダーライン
【11】家庭内につくられたヒエラルキー。子どもを弱者に仕立て、支配する親たち
【12】対人関係がシンドイ。側から見ると順風満帆な彼の人生が“難あり”なわけ
【13】支配的な父親に従ったエリート役員の人生が、中年期に危機を迎えたわけ
【14】父親のDVは家族だけの秘密。なぜ毒親家庭は崩壊していくのか?
【15】愛情と苦痛はワンセット。大人になっても抜けない毒親育ちの思い込み
【16】いい親子関係を築けなかった子は、友人関係や恋愛でつまずきがちなのか?
【17】親に“いい子”の期待を押し付けられた子は、なぜ人生につまづいてしまうのか?
【18】家族のからかいがイジメに。自称「ダメ人間」な彼女の、悲しい生い立ち
【19】「無条件の愛」を与えられずに育ったあなたが、心の空洞を埋めるヒント
【事例1】鬱の母と、子に頼る父。毒親と共依存していた彼女が、親子の縁を断ち切るまで
【事例2】気づけば、3度目の離婚。彼女が「ダメンズ」ばかりを選んでしまったワケ
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