こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
【連載】『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』
【1】「生きづらさ」の根本にあるものは…?私の幸せを阻む「毒親」の呪縛
【2】私は「毒親」育ちだったのか?いま、生きづらさの原因を考える30の質問
【3】親の不仲も不機嫌も「自分が悪いせいだ」と思って育った、毒親育ちの人へ
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
わけもなくイライラし、不安になってしまうのは…
前回は、毒親があなたにいったりやったりした真実に真正面から向き合わずに、真実から目をそらすほどに、心の防衛機制が強くなっていくというところまででした。
たとえば、「親は実は全知全能の神でもなんでもなくて、理不尽で情けなくて弱くて自分のことしか考えていないとても利己的などうしようもない人間だった」という事実があったにも関わらず、そのことをまるでたいした問題でないかのように振る舞ったり(否認)、なかったことにしようと自分を信じ込ませ忘れてしまったり(抑圧)、「自分が悪いせいだ…」と自分を自虐的に責めたり(合理化)、親とは全然関係のない仕事上のトラブルごとをわざと生み出して、そっちに気持ちを集中させようとしたりする(歪曲、代替)などなど。
こうして自作自演で悩ましい世界を創造してまうのが、真実に真正面から向き合わないようにしているときの心の防衛機制の一例です。
確かに、こういう防衛的な機能によって一時的に心の痛みを避けることはできると思います。でもそれはあくまでも一時的な緊急避難的措置です。
「親は理不尽な人ではない」ということを信じたいがゆえに、真実に向き合うことを避ければ避けるほど防衛機制が働いて、いつしか防衛機制の働きすぎに歯止めがかからなくなるんです。
そうなると、自分で自分をコントロールできているという実感が持てないという悩ましい状態になります。
なので…
わけもなくイライラする…。
わけもなく不安になる…。
わけもなく怖くなる…。
わけもなく絶望する…。
こんなふうに、かなり自分を「みじめ」に感じる不快な現実を体験することになります。
だからといって、いざ勇気を出して過去の真実と向き合えば、ことはすべて解決できるのかといったら、そう簡単に進まないことが経験上多いと感じています。
しらばっくれる毒親
これまでマンツーマンのセッションをしてくる中で、「無意識に染み付いた毒親の呪縛から自分を開放する」ためのサポートをたくさんしてきました。
一番のクライマックスは、「毒親と直接対峙する」というものです。
わが子から、過去の非人道的なエピソードや本音を突きつけられたとき、自分がやってきたことがどれくらい子どもの心に傷を残してきたのかに気づき、愕然とし、涙を流しながら謝罪する親もいます。
親が謝罪したからといって傷ついた心の傷が必ずしも癒えるわけではありませんが、それでも、親から心からの謝罪を受けることで、「全部自分が悪いわけではなかったんだ」という思いが芽生え、その思いは少しずつ自分を肯定的に認める力、自分の尊厳を大切にする力、自分を労う力、自分には可能性があると思う力などを育んでいきます。
しかし、そういうハッピーエンドに向かうことは、あくまでも僕の経験上の話ですが、残念ながら「かなり稀」といえます。
むしろ、「そんな記憶はない」「そんなことは一切していない」などと全否定したみたり、「あのころはこれこれこういう理由でしょうがなかった」などと言い訳ばかりで、一向に子どもの本音を受け取ろうとしなかったり、「それはお前の一方的な思い込みだ」「そういう考えだからお前はダメなんだ」「いまさらそんな昔のことを持ち出して親を苦しめたいのか!」などと、逆ギレしながら追い討ちをかけてくるとか…、そういうとてもとても悲しくて、辛くて、虚しくて、非情で、呪わしく恨めしい現実を体験することは少なくないのです。
そういう親の場合(まさに毒親)だと、親と対峙し過去の精算をしようとすることが、さらなる自信喪失、自己価値の喪失を生むことにつながりかねません。
ですから、真実から目を背けずに真正面から対峙することが毒親の呪縛から自分を開放するための大切なプロセスだからといって、先走って親と対峙するのではなく、かなり慎重に進める方がいいと僕は思っています。
そこで次のページでは、ことを慎重に進めるためのひとつの方法として、「毒親があなたにやったことやいったことを、あなた自身が正当化した理由づけ(合理化)をすることで、自分の中に無理やり押し込めていないかどうか」を簡単にチェックするための簡単なワークを紹介します。