無意識の正当化を「見える化」するワーク
自分が置かれた理不尽な状況をなんとか受け入れるために、たとえば次のような理由付けをすることで、自分の心が壊れないように本能的に自己防衛することがあります。
- お父さん(お母さん)がいつも怒鳴ってばかりいるのは、お母さん(お父さん)が不愉快になる小言ばかりいっているからだ。
- お父さん(お母さん)がお酒ばかり飲んでいるのは、私がいい子じゃないからだ。
- お父さん(お母さん)がいつも寂しそうだったのは、私がお父さん(お母さん)が楽しくなるようなことを何もしてあげられなかったからだ。
- お父さん(お母さん)が仕事で忙しいのは、私のわがままにお金がかかっているからだ。
- お父さん(お母さん)が私のことを叩いたり、罵ったりするのは、私が悪い方向に進まないようにしつけるためだ。
こうした正当化の理由(合理化)の背景には、「本当は納得していないけど、こう考える以外にない」といった苦肉の策的な生みの苦しみが隠れていたりします。
ただ、自分を偽ってでも無理やり自分を納得させるしかないという、かなり抑圧的なことをしているので、精神衛生上、かなりよろしくありません。生みの苦しみの数だけ、「根深い怒り」「根深い悲しみ」「根深い悔しさ」「根深い憎しみ」などを抱えることになるからです。
ということで、ワークに取り組んでみましょう。
ワーク1
あなたは親に対してどういう印象を持っていますか?親の印象をあなた自身がしっくりくる言葉で表現してください。※複数回答OK
(例)
お母さんはお父さんにいつも虐げられてかわいそうな人だ。
お父さんは酒や女にとてもだらしない人だ。
ワーク2
ワーク1で表現した印象のあとに、「なぜなら私が…」とか「もっと私が…してあげれば…できた」という文章をつけて、あなた自身がしっくりくる文章にしてください。
(例)
お母さんはお父さんにいつも虐げられてかわいそうな人だ。もっと私がお母さんのことをかばってあげることができたら、きっとお母さんを助けることができたはず。
お母さんはお父さんにいつも虐げられていてかわいそうな人だ。なぜなら私が小さくて離婚できなかったからだ。
このワークの目的は、真実と向き合うための前段階として、まずは親の理不尽な行為に対する、無意識にしている理由づけを「見える化」することです。
それによって、理由づけした思いが、
- 本当に「事実(真実)」に即しているものなのか?
- それとも「正当化した思い込み(刷り込み)」なのか?
を明らかにしましょう。
こうやって少しずつ、そして着実に、真実と向き合うためのプロセスを歩むことが、毒親の呪いから自分を解き放ち自分らしく自立に向かうためにとても大切です。
次回の『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』は2021年5月19日公開予定です)
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