こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
【連載】『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』
【1】「生きづらさ」の根本にあるものは…?私の幸せを阻む「毒親」の呪縛
【2】私は「毒親」育ちだったのか?いま、生きづらさの原因を考える30の質問
【3】親の不仲も不機嫌も「自分が悪いせいだ」と思って育った、毒親育ちの人へ
【4】毒親に言われ続けた「あなたのため」。その支配から抜け出すための、はじめの一歩
【5】わけもなく不安になる。毒親育ちが無意識の苦しみを手放すためのワーク
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
毒親に脅かされる「安全・安心の欲求」
人には本能的な欲求があります。マズローはそれを次の6つの段階に整理しています。
マズローの欲求6段階説
- 生理的欲求
- 安全・安心の欲求
- 社会的欲求・愛と所属の欲求
- 承認欲求
- 自己実現欲求
- 自己超越
人の欲求の最下層にあるのが「生理的欲求」です。これは、食べるとか寝るとか、雨風をしのげるとか、排泄するとか、文化的な生活をしたいという欲求というよりも、生きる上での最低限の欲求といえるものですね。
いまの日本では、こうした生理的欲求は当たり前に満たされていると思うかもしれませんが、残念ながらそうとも限りません。経済的な事情、社会的な事情などから衣食住を満足に満たすことが難しい家庭は少なくないのです。
幼い子どもを部屋に残したまま、母親が自宅を数日間あけて彼氏と遊び歩いていて、帰宅したら部屋のなかで子どもが餓死して亡くなっていたという信じられないような痛ましいニュースがありましたが、こういう家庭環境は、まさに生理的欲求すら満たされていない状態といえるでしょう。
ですが、経済的、社会的な諸事情にまで話を広げると、ちょっと収集がつかなくなりそうなので、ここでは最低限の生理的欲求は満たされていると仮定して話を進めます。
生理的欲求がある程度満たされると、次の欲求として生まれるのが「安全・安心の欲求」です。
毒親家庭では、この「安全・安心の欲求」が満たされることがないどころか、むしろ日々、安全や安心を脅かされ、いつ危険な猛獣が飛び出してくるかわからないようなジャングルにいるような状態になっていることは少なくありません。
たとえ衣食住などは満たされていたとしても、下記に述べるような状況下にある毒親家庭では、6段階ある本能的な欲求の下から2番目の「身の安全」すら確保できないのが実情だったりするのです。
- いつもケンカが絶えない
- 暴力や暴言を浴びせられる
- 強制的に何かをさせられる
- 強制的に何かを奪われる
- いつ親が豹変するのかがわからず怯え続ける
こうしたことについては、「家庭内の個別の問題」とか「しつけの問題」などと反論する人がいるかもしれませんが、そもそも「しつけ」をすることと、「傷つけること」「痛めつけること」「支配すること」「強制的に選択や表現の自由を奪うこと」はまったく違う次元の話です。
そういうのって、基本的人権すらそもそも確保されていない「違憲状態」だというのが僕の意見です。なので、どうしても毒親問題になると、ちょっと熱が入っちゃうんですよね…。