こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
毒親育ちが人に心を開けないわけ
私たちがオギャアと生まれてから、最初に深い関係性を築く相手は、もちろん親です。
無力な子どもは、この世界で生きていくために、本能的にいい部分も悪い部分も無分別に親を模倣し、信じ、寄り掛かります。
ですが、暴力的な親、子どもの養育を放棄した親、アルコールや薬物依存、心理的な問題などで情緒が不安定過ぎる親に育てられた場合、その子どもは「愛する人は、自分を傷つけてくる」「愛する人は、いつ態度が豹変するかわからない」「愛する人が何を考えているのかわからない」といった、本来は安心して信頼できる存在である親に対して、恐怖や不信感、警戒心などを心の深い部分に刷り込まれてしまったりします。
こうした親に対する疑心、疑念、警戒心は、いつしか親だけではなく「人そのもの」にも適応してしまいます。
そのため、毒親を持つ子どもが、大人になってからも人に心を開くことを無意識に恐れるようになることは少なくありません。
むしろ身を守るためには、「固く心を閉して、心を許してはならない」「弱みをみられてはいけない」といった信念を形成していることすらあります。
親子関係はいうまでもありませんが、友達関係でも恋愛関係でも、他者との関係性を深めていくためには、「相手を信じて心を開く」といった、無防備状態の自分を相手にさらすことが前提にあるのですが、この前提の部分が、そもそも怖くてできない。「それだけは絶対に無理!」くらいの勢いで心理的な抵抗感を感じ、避けようとすることもあります。
それでもなんとか関係性を深めようと頑張るわけですが、心を閉し本音を隠したまま関係性を深めようとする過程で、相手に対して「言わなくてもわかってくれるはず」「言わなくてもわかってほしい」といった期待や要求がどんどん膨らんだり、勝手に相手の腹を探り決めつけてしまったりすることも。
こうして、相手との関係性が深まるどころか、むしろ信頼から遠ざかり、破局に向かうような関係になっていくことは少なくありません。
たとえ誰かと同じ空間にいたとしても、その相手と心と心の触れ合いを感じることがないため、むしろひとりでいるときよりも寂しく感じたり、見捨てられるかもという不安を感じたりしてしまう…。
人に対して不安や恐怖で一杯になっている心の内を、目の前の相手にぶちまけてしまえば楽になれるし、きっと関係性も深まっていくだろうということは頭ではわかっていても、どうしてもそれが怖くてできない…。
そこで、自分から心を開かなくてもいいように、「人に心を開かないタイプの相手」「自分と似たようなタイプの相手」を無意識に選ぶようになったり、「人の粗を探して批判的に見下す」ことで、人とうまく関係性を気づけないことを誤魔化そうとしたりするようになるのです。
しかし、それが新たに人間不信、対人恐怖を強化するような、本当なら避けた方がいい「自分にとって毒となる相手」「自分にとって毒となる行為」であることが、実は少なくないのです。
次回の『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』は2021年8月18日公開予定です。
【連載】『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』
【1】「生きづらさ」の根本にあるものは…?私の幸せを阻む「毒親」の呪縛
【2】私は「毒親」育ちだったのか?いま、生きづらさの原因を考える30の質問
【3】親の不仲も不機嫌も「自分が悪いせいだ」と思って育った、毒親育ちの人へ
【4】毒親に言われ続けた「あなたのため」。その支配から抜け出すための、はじめの一歩
【5】わけもなく不安になる。毒親育ちが無意識の苦しみを手放すためのワーク
【6】人が怖い、居場所がない、価値がないetc…毒親育ちの持つ悩ましい感覚
【7】私は何をやってもできない人だ。毒親育ちの悩ましい思考の手放しかた
【8】だから僕は、人が怖い。毒親育ちが「生きづらい」人生から抜け出すまでの道のり
【9】離婚したのは、僕のせい?「親の離婚」で傷ついた心の癒し方
【10】それって本当に子どものため?親の「責任」と「過干渉」のボーダーライン
【11】家庭内につくられたヒエラルキー。子どもを弱者に仕立て、支配する親たち
【12】対人関係がシンドイ。側から見ると順風満帆な彼の人生が“難あり”なわけ
【13】支配的な父親に従ったエリート役員の人生が、中年期に危機を迎えたわけ
【14】父親のDVは家族だけの秘密。なぜ毒親家庭は崩壊していくのか?
【15】愛情と苦痛はワンセット。大人になっても抜けない毒親育ちの思い込み
【事例1】鬱の母と、子に頼る父。毒親と共依存していた彼女が、親子の縁を断ち切るまで
【事例2】気づけば、3度目の離婚。彼女が「ダメンズ」ばかりを選んでしまったワケ
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