こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
今回は、アルコールやギャンブルなど、なんらかの中毒状態の親を「私がこの家(親)をなんとかしなければ!」と、実態的には崩壊している家庭を維持するための涙ぐましい努力にエネルギーを消耗させられる子どもについてのお話しです。
心に穴の空いた子どもたち
毒親の影響で破滅的な家庭のなかで、幼いころから基本的な欲求も満たされず、さらには自己への信頼感を育むこともできない環境に縛り付けられた子どもは、心理的な心の支え、心の拠り所がないまま成長することになります。これは、心の中にポッカリと穴が空いた状態ともいえます。
心の中にポッカリと穴が空いているから、自分の考え、行動に「芯(軸)」がないのは当然のこと。
なので、周囲の顔色をビクビク伺うとか、周囲の人の気分にまで感じる必要のない責任を感じるとか、ポッカリと空いた穴にどんどん余計な雑念が入り込んでしまうのです。
また、心の中に拠り所がないから、ちょっとしたことにも激しく動揺し、傷ついたり落ち込んだりするので、そうしたことを避けるために、自分を犠牲にしてまでもトラブルごとを回避して周囲との調和を保とうとします。
さらっとお話ししていますが、これはかなり悩ましいことですよね…。
そんなふうにして、素直な子どもらしさを奪われ、さらには周囲への目配り気配りなど大人として振る舞うこと(親子の役割逆転現象)を強要されていると、いつしか「自分がいったい何者なのか?」といった自分の存在意義に関わるアイデンティティを見失い、かつ自らアイデンティティを育むことをやめてしまうようになります。
これは何も、アルコールや薬物、ギャンブルなど何らかの中毒症状の親がいる家庭に限られたことではなく、いわゆる「毒親家庭」で育った子どもが大人になってから抱える共通する問題だと思っています。
消耗し続ける心
ときには暴力などのパワーを使って、ときには憐れみや愛情、罪悪感などを使って、「無邪気で素直な子どもらしさ」が奪い取られ、早く大人になることを強要されるのに、情緒的には親に依存するよう巧みに仕向けられる。
おまけに、物心つく前から当たり前のように毒親の世話をしてきた毒親育ちは、まるで条件反射かのように「問題のある人を見ると自分がなんとかしなければ…」という衝動的で、なんとも抗い難い気持ちが湧き上がり、人間関係において何かと余計なトラブルに繰り返し巻き込まれ、さらなる重荷を背負っていきます。
こうしたことに、とにかくエネルギーを消耗している状態ですから、自分自身の心を適切に育むことに役立つような取り組み、ありのままの自分として生きていくことに役立つ取り組みに割くエネルギーは残っていません。なので余計に自信を喪失していくばかり…。
「やりたい」「やってほしい」「やめたい」「やめてほしい」という基本的な欲求が満たされることがないので、心の中には欲求不満から生じた「怒り」「憎しみ」が蓄積され、些細な出来事にも「なんで!?」と感情が動かされてしまい、余計に消耗していきます。