6歳差の姉弟を育てるママライター、EMIです。アルツハイマー型認知症の母との過ごし方についてコラムを執筆しています。
母がアルツハイマー型認知症だとわかってから5年が経ち、現在は要介護2。高齢者住宅に入居し、サポートを受けながら生活をしています。
認知症が進行すると、さまざまな症状がでてきて、家族もそれに向き合っていかなくてはなりません。認知症になると、精神的に不安定になることが多くなります。
私の母も認知症になってから、怒りっぽくなったり、うつ状態になったりと精神的に不安定になることが多くなりました。
そんなときにおすすめしたいのが、精神を安定させる「回想法」です。
回想法とは、懐かしい写真を見たり、思い出の品に触れたりしながら自分の過去や思い出を話すことで精神を安定させる心理療法のこと。
今回は、認知症の人をリラックスさせる回想法についてお話しします。
- 母と私のこれまで
- 68歳で「認知症」になった一人暮らしの母。一人っ子の私のそれからの暮らし
- 認知症になってからお風呂に入らなくなった母。「入浴拒否」を乗り越えた方法
- 認知症になってから物をなくすようになった母。探し出す方法と向き合い方
- 認知症になってから寝てばかり。無気力な母がイキイキ暮らすようになった理由
- 認知症になり、同じものを繰り返し買う母。悩んでいた私を楽にしてくれたプロの助言
- 認知症になり、何度も同じことを聞く母。イライラしていた私が楽になった「向き合い方」
- 認知症になり、不要なものを集める母。「収集癖」の理由とその改善方法
- 親の「認知症介護」に疲れたら…つらいきもちを軽減させる3つの方法
認知症になって情緒不安定の母。昔話で気持ちが落ち着いた
私の母は、認知症になってから食事以外を寝て過ごし、家に閉じこもるようになりました。
そして以前は、私の子どもには怒ることはなかったのですが、子どものちょっとしたイタズラにも怒るようになったのです。
そんな母の姿を見て、「以前に比べて精神的に不安定になることが多くなったな」と思っていました。
そんな状態が続いていたある日、母が私の家に飾ってあるぬいぐるみを見て「あら、懐かしい。このぬいぐるみが着ている服は、あなたが赤ちゃんのときに着ていた服なのよ」と嬉しそうに言いました。
そのぬいぐるみは、母が私の娘にプレゼントしてくれたものでした。母は、そのぬいぐるみに私が赤ちゃんのころに着ていたセーターを着せていたのです。
そのぬいぐるみを見ながら、母は私が子どもだったときの思い出を話し始めました。
「あなたは、生まれたとき3000g以上あってとても大きかったのよ!病院の先生も驚いていたわ!」と。私は、当時かなりのビッグベイビーで、帝王切開で生まれそうです。そのときのことを、母はよく覚えていました。
「帝王切開だったから、術後は痛くて動くのが大変だったのよ!あなたも大きかったからだっこするのも一苦労だったわ!」と懐かしんで話をしていました。
私が「よく私が赤ちゃんだったときに着ていたセーターをとっておいたね」と言うと、「あのセーターは、昔応募した写真コンテストであなたに着せた服なのよ!そのコンテストで大賞をとったから捨てられなくてずっととっておいたの!」と母は言いました。
「へーそうだったんだ!コンテストに優勝したんだね」と昔のことを鮮明に覚えている母に驚きつつ、私も母との昔話を楽しみました。
母は、認知症になってから少し前のことはすぐに忘れてしまうことが多くなりましたが、昔のことはよく覚えています。
私は、昔話を楽しそうにする母の姿を見て、「自分の過去の話を話すことで、気持ちを落ち着かせる効果があるのではないか」と思い、認知症のリハビリについて調べてみることにしました。そこで、「回想法」という心理療法があることを知ったのです。
認知症になると最近の出来事は忘れやすくなりますが、自分が若かったころの記憶はしっかりと残っていることが多いそうです。
回想法は、自分の過去のことを話すことで精神を安定させ、認知機能の改善も期待できるとされています。