6歳の女の子を持つママライター、EMIです。
私の母は、アルツハイマー型認知症。認知症と診断されてから5年が経ちます。介護度は「要介護2」で、現在は高齢者住宅で介護サービスを受けながら生活しています。
認知症が進行するとさまざまな症状ができて、家族もそれに向き合っていかなくてはなりません。
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認知症介護のなかで特に多い悩みのひとつに「何度も同じことを聞く」「同じ話をする」というものがあります。
私の母も認知症になってから、何度も同じことを聞いたり、同じ話を繰り返しする回数が増えてきました。
そこで今回は、認知症によって「何度も同じことを聞く母」をどのように受け止め、どのように対応すればうまくいったのか、私なりに経験したことをお話しします。認知症のご家族がいらっしゃる方のお役に立てば幸いです。
認知症の人はなぜ同じことを何度も聞くの?
認知症のご家族を介護していて、何度も同じことを聞かれ、うんざりしているかたは多いのではないでしょうか?
私の母も認知症になってから、同じです。離れて暮らしているいまでも、毎日のように同じ用件で電話をしてかけてきます。
「きょうは何時ごろこっち(高齢者住宅)にくるの?」と母。「きょうは仕事だから行けないよ」と私は伝えます。すると、また数分後に同じ内容の電話がかかってくるのです。それが、毎日繰り返されている状態です。
では、認知症が進行するとなぜ何度も同じことを聞いたり、同じ話をするのでしょうか?次の3つの要因が考えられます。
3つの要因とは、「記憶障害」「見当識障害」「保続」です。それでは、順番にどのような症状なのか説明します。
記憶障害
記憶障害とは、自分が体験した出来事や過去についての記憶が抜け落ちてしまう障害のことをいいます。自覚のある物忘れとは違い、日常生活に支障をきたします。
また「新しい出来事が覚えられない」「人の名前など覚えていたことを忘れてしまう」など、最近のことから忘れていくという特徴があります。
私の母もついさっき言ったことは忘れてしまうのに、随分前に伝えたことは覚えているということがあります。
見当識障害
見当識障害とは「時間」「場所」「人」など、自分がおかれている状況下を正確に認識できなくなる症状です。
記憶障害とともに早くから現れる症状のひとつで、季節の感覚がわからずに夏でも厚着をしてしまったり、道の途中で迷子になってしまったりという状況がみられます。
保続
保続は、脳の損傷などによって思考の切り替えができなくなり、何度も同じ言葉や言動を繰り返してしまう症状です。
たとえば、「きょうは何を食べましたか?」という質問に対して「カレーです」と答えたとしましょう。その後違う質問をしても「カレーです」と答えてしまう症状のことです。
また、同じ質問をしてくるかたは、会話の内容を変えても保続の症状によってもとの会話に戻ってしまうことがあります。