6歳の女の子を持つママライター、EMIです。
私の母は、アルツハイマー型認知症。認知症と診断されてから5年が経ちます。介護度は「要介護2」で、現在は高齢者住宅で介護サービスを受けながら生活しています。
認知症が進行するとさまざまな症状ができて、家族もそれに向き合っていかなくてはなりません。
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そのなかでも「同じものを繰り返し買う」という行動は、認知症の人によくある行動パターンです。
何度も同じものを買ってこられると、家族としては「たくさんあるから、もう買ってこないで!」と言いたくなりますよね。
しかし、買い物は認知機能や運動機能のリハビリになるため、本人が買い物をしたいと思っているならできるだけ妨げないほうがいいのです。
では、どのように対応したらよいのでしょうか?家族や周囲の人のサポート体制を整えておくことが大切なのですが、離れて暮らしていると毎回買い物に付き合うことが難しい場合もありますよね。
今回は、認知症によって「繰り返し同じものを買う」状態をどのように受け止め、どのように対応すればうまくいくのか、私なりに経験したことをお話しします。認知症のご家族がいらっしゃる方のお役に立てば幸いです。
認知症の人はなぜ同じものばかり買うのか?
認知症の家族がいるご家庭では「冷蔵庫が同じ食材がいっぱい」、なかには「賞味期限切れの食材も多く入ってる」など、同じものを繰り返し買う行動に悩まれている方は多いのではないでしょうか。
私の母も認知症になってから「いつも冷蔵庫が同じ食材でいっぱい」「使いきれないまま賞味期限切れになってしまう」ことが多くなってきました。
そして、冷蔵庫に入っている賞味期限切れの食材を捨てようとすると「もったいない」と捨てるのを拒否され…冷蔵庫の整理できないこともよくありました。そんなときは、本人が見ていないときにこっそりと捨てていました。
母と遠く離れて暮らしていたときは、帰省するたびに冷蔵庫の整理をして疲れ果ててしまうことも…。それは、高齢者住宅に入居している現在も続いています。
現在の母は、買い物へ行くたびにのど飴や菓子パンを買ってきています。母の鞄のなかには、いつも大量ののど飴が入っているのです。
母に会いに行くときは、毎回食材の賞味期限をチェックして整理をすることにしています。認知症が進行すると賞味期限も気にしなくなり、賞味期限切れの傷んだものを食べてしまう可能性があるからです。
賞味期限を気にしなくなった母は、時々私の子どもにも賞味期限切れの食べ物をあげるときがあるので注意しています。
では、認知症が進行するとなぜ同じものを繰り返し買ってしまうのか?それは、記憶力と判断力の低下が大きく影響しています。
買い物に行っても何を買う予定だったのか、自宅に必要なものがどれくらいあるのか忘れてしまう。なので、ついつい同じものを買ってしまう。記憶力低下に伴って見られる行動のひとつです。
また、認知症になると判断力が低下するため、買うつもりがなくても反射的にものを買ってしまうこともあります。
私の母もたまたま割り引きされている商品を見つけたときは、ついつい大量に購入してしまいがちです。そして買ったことを忘れてまた同じものを買ってしまう…その繰り返しなのです。
また、認知症の方が訪問販売で強く勧められてモノをついつい購入してしまったということも多いかと思います。
このように判断力の低下によって買うつもりがなかったものを買いこんでしまうのが、認知症の症状が進行したときにみられる悩ましい行動なのです。
認知症の人に同じものを買わせない対策は?
同じものをたびたび購入するとなると、食品であれば私の母のように傷んだものを食べてしまわないか健康面なども心配ですよね。だからといって本人に買い物をやめさせることは、現実的に難しいし、おすすめできません。
では、どうすれば同じものを購入させずにすむのでしょうか。
同じものを買わせない対策として、次のような内容をよく目にすることがあります。「家族が一緒に買い物に行って様子を見守る」「馴染みのお店であれば、お店の人に協力してもらう」などです。
しかし、この対策は家族が一緒住んでいるもしくは、近くに住んでいる方でないと難しいですよね。
私も普段は仕事をしており、母は高齢者住宅に住んでいるため、近くに住んでいたとしても毎回の買い物に付き合うことは難しい状態です。
では、認知症の人に買い物そのものをさせないほうがいいのか?答えは、「ノー」です。
特に身体的に元気な人の場合には、その人の生活能力を奪うことにもなり、かえって認知症を進行させる可能性もあるからです。