認知症の人の買い物をやめさせるのはよくない?
認知症による「同じものを繰り返し買う」状態にはどのように対応すればよいのでしょうか。
毎回同じものを買ってこられると介護する側はうんざり。「また同じものを買うのか」「この前も同じものを買ったから買わなくてもいいよ!」と言ってしまいがちです。
私も母と買い物に行くとき、のど飴ばかり買う母に「のど飴はたくさんあるから、買わなくていいよ!」「鞄のなかをよく見てごらん!」と言っていました。
しかし、よく考えてみると母から買い物を奪う行為は「いま母ができる行動を奪うことになる」ということに気がついたのです。
認知症の人に買い物そのものをやめさせたりするほうが、かえって不安をあおり、自信を喪失させ、さらに症状を進行させるなど、悪影響が考えられるのです。
では、どうすればよいのでしょうか?以前、認知症の介護をする方の考えを聞いて「なるほど」と思ったことがあります。
それは、「介護する側の考え方を変える」ことです。そうすることで、気持ちが少し楽になるのではないかと感じました。そこで私は、考え方を変えてみることにしたのです。
「同じものばかり繰り返し買う」母の行動も、視点を変えれば「まだ自分がほしいと思うものを買うことができる」ということでもあります。
母にとって買い物は楽しみのひとつでもあります。「母の残された能力や欲求を奪うのはよくないのではないか」と考え直したのです。
介護する側は、認知症の家族の問題だと思う行動を制御するのではなく、ときには「買い物は認知症のリハビリにもなるし、まあいいか!」などと割り切って考えるも必要だと思いはじめました。
そのように「考え方を変えること」で気持ちが少し楽になってきたのです。
視点を変えたら気持ちが楽になる
家族が認知症になると、介護する側は常識とかけ離れた行動をとがめたり、正したいという気持ちになりがちです。
そんなときは、「認知症だからしょうがいない」「まだこの行動はできる」というように割り切って、考え方を変えてみるとよいでしょう。
認知症になった家族の行動をちょっと違う視点から見たり、考えたりすることで自身の気持ちが少し楽になってきます。
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