回想法を自宅で実践する方法と注意点
回想法には、8~10人ほどのグループで行う「グループ回想法」と、1対1で行う「個人回想法」があります。自宅で行いやすいのは、「個人回想法」です。
では、実際に自宅で回想法を実施する方法をご紹介します。
まず、回想法を行うにあたって重要なのが、本人の状況をよく確認することです。
ある程度のコミュケーション能力や、人の話を聞く聴力がなければ回想法の効果を発揮することができません。
また、重度の認知症の方に回想法を行うのは難しいでしょう。
そして、ある程度の下準備も必要です。
まず、認知症の方の記憶を呼びおこすために昔のアルバムや思い出の品などを用意します。
思い出の品が手に入りにくい場合は、インターネットで検索した画像をスマートフォンの画面でみせてあげるのがよいでしょう。これらをもとに認知症の方に話をしてもらいます。
このとき、聞き手はただ話を聞くだけでなく、共感しながら聞くことが大切です。
そして、回想法を行うときは、次のことにも注意が必要です。
回想法を行う場所は、落ち着いた場所を選ぶようにしましょう。
テレビなど気が散るような家電がある場所や、昔から家にあるものが多く置いてある場所では、集中できなくなる可能性があるので避けるようにしましょう。
また、本人が事実と異なることを言った場合でも否定しないことも大切です。
過去の出来事を語るうちに時系列を間違えて話したり、以前話していた内容と違った内容を話すこともありますが、否定しないようにしましょう。
そして、回想法の最後には、楽しい気分になれる話題で締め、明るい雰囲気で終えるようにするとよいでしょう。
私が母に回想法を行うときに使用するものは、昔母が押し花講師をしていたときに作った作品や展示会のときの写真です。
母は、押し花講師をしていたとき、家に飾りきれないほどの作品を作っていました。
押し花講師として生き生きと過ごしていたときの話をする母は、とてもおだやかな表情で落ち着いています。母にとって昔話をすることは、ちょっとした気分転換になっているようです。
気分転換や脳トレのような感覚で気軽に行いましょう
回想法を行うときは、リハビリと考えて行おうとすると、どうしても負担に感じてしまいます。
家族団らんとして脳トレやゲーム感覚のように気軽な気持ちで取り組めば、無理なく続けることができるのではないでしょうか。
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