こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
過干渉な親の言い分
毒親の特徴のひとつに「執拗なまでの過干渉などコントロール欲(支配欲)」というものがあります。
子どもの友人関係、進学、部活、アルバイト先、恋愛、趣味、ファッション、服装、就職、居住地、結婚etc…。さらには、性格を決めつけたり、生き方を決めつけたりする場合も。
とにかくやることなすことすべてに、もっともらしい理由をつけては口を出し、最終的には親の思い通りにことを運ぼうとする…。客観的に見ると、その関係はまるで「王様と奴隷」というのが近い状態だったりします。
とはいえ、そうした過干渉の親には、親なりの言い分(動機)があります。
ここで、クライアントの方々が、過干渉の親に対してこれまでの鬱積した本音をぶつけた際に、実際にどんなことを言われてきたのか、「過干渉の親の言い分」を個人情報がわからない程度に脚色してご紹介します。
過干渉な親の言い分
- 私はこれまで世間様から後ろ指を刺されないように親として当然のことをしてきただけなのに、感謝されるどころか、どうしてこんなひどいことをわが子から言われなければならないのか?
- 私は子どもが何か世間様に迷惑をかけるのではないか、何かとんでもないことをするのではないかと心配でたまらないの!
- だって、もしもあなたが世間から後ろ指を刺されたり、馬鹿にされるようなことが起きたら、私が親失格だと思われてしまうじゃないか!
- 私は子どもに必要とされ続けていたいの!
- 私は子どもが私の元を離れていくのが耐えられない!
- 私にとっては子どもがすべてなの!
親の「責任」と「過干渉」の境界線
僕は何も、親が子どもに干渉しコントロールすることがダメだということを言いたいのではありません。むしろ、状況によっては、子どもをコントロールしなければいけない場面はあります。
例えば、車が行き来する道路で遊んでいるとき、「危ないから道路で遊んではいけません!」「こっちで遊びなさい!」と子どもを叱って、空き地や公園に連れていくことは、コントロールというよりも、親の責任を果たしている分別ある行動といえます。
こうした親の干渉によって、子どもは安心や安全、さらには「守られている」「大切にされている」と愛情や自己の存在価値を感じます。
あるいは、スーパーに買い物に行ったとき、子どもが食料品のラップを指で突いて穴を開けようとしているのを見て、「やめなさい!それは売り物でしょ。お店の人にもほかの買い物をする人にも迷惑でしょ!」と叱ることだって、別に過干渉でも何でもなくて、それは社会のルールやマナーを躾ける分別ある親といえます。
ですが、必要以上に、子どもをコントロールすることで、子どもから体験を奪ったり、決定権を奪ったり、性格を決めつけ可能性を奪ったり…。ましてや、そうしたことを子どもが大きくなってもしていたらどうでしょうか?
それは、さすがに分別ある親とは言えないのではないでしょうか?
実際、執拗な過干渉の親に育てられた子どもは、子ども自身の感性で興味が沸いたことを経験するという機会を、親に一方的に奪われてしまうので、「自信」や「主体性」が育まれていないことが圧倒的に多いと感じます。その結果、何かと臆病で劣等感や無力感を感じていることが多いようです。
そのうえ、やりたいことを否定され奪われるという経験から、心の中にマグマのようなフラストレーション(欲求不満)をたっぷり溜め込んでいるせいで、突如としてキレやすい状態になっていたり、感情をコントロールすることが苦手になっていたり、陰湿なイジメや嘘、万引きなどの反社会的な行為でフラストレーションを発散しようとしたりすることもあります。悩ましいですね…。