こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
前回は、毒親が子どもにやりがちな「執拗な過干渉」の典型的な2つのタイプをご紹介しました。今回は、そうした執拗な過干渉が子どもにもたらす影響について、一緒に考えてみましょう。
「服従」「抵抗」という悩ましい反応
自分の意識とは無関係に、さまざまな手段でコントロールしようとする親に対する子どもの反応には、大きく3つあります。
- スルー(表面上だけ従うフリをする)
- 服従する
- 抵抗する
もしも「スルー」することができているのなら、大人になって毒親の呪縛に苦しめられることはないかと思うので、ここでは割愛します。
残るは、「服従」と「抵抗」です。
服従するにしても、抵抗するにしても、親から心理的に圧迫され、ありのままの自分として成長することを阻害されているのは変わりません。
もしかすると、「抵抗できているのであれば、毒親の影響は受けにくいのでは?」と思った方もいるかもしれませんね。
しかし、ここでいっている「抵抗」とは、子ども自身が自分のアイデンティティを確立するために、自ら主体的に親に抵抗するというものではなく、あくまでも毒親からの過干渉という不快な刺激に対し、受け身的に反応した結果としての「抵抗」を指しています。
ここで「抵抗」について理解を深めるために、クライアントのBさん(50代・男性)の事例をご紹介します。
彼の対人関係がいつもうまくいかないのは…
Bさんは、地方公務員の管理職。若いころに職場恋愛で結婚し、現在は2児の父親です。
まわりから見たら堅実で幸せそうな家族なのですが、Bさん自身は職場でわけもなく孤立感や無能感を感じ、部下からバカにされていると考えては苦しんでいました。また、家庭内では完全に孤立していて、妻と子どもともほぼ会話がない状態だったのです。
そんなBさんとのセッションで気づいたことは、Bさんが対人関係に不信感や恐怖感を抱いているのは、幼いころから執拗に干渉してくる過干渉な母親に、未だ心理的に縛られて続けているということでした。
幼いころからBさんの母親は、あれやこれやと何かと心配しては世話を焼いていたそうです。
友人関係、進路、恋愛、将来の夢etc…、あらゆることに口を挟んでくる母親が、Bさんにはいるだけで息苦しくとても重たい存在になっていました。Bさんの言葉を借りるなら、「母親は子どもである私の人生が、まるで自分の人生かのように感じている人でした」。