こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
前回は、毒親からの執拗な過干渉が大人になってどんなふうに人生に暗い影を落としてしまうのかについて、「母親からの過干渉により、一見堅実で幸せそうな人生なのに、仕事でも家庭でも対人関係がうまくいっていない」と話すBさんのケースからみていきました。
今回は、僕のマンツーマンのセッションの3分の1くらいを占めている「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」と呼ばれる悩ましい心理状態にも、実は執拗な過干渉が強い影響を与えているということを、Cさんのケースをもとにご紹介します。
- ミッドライフ・クライシスとは、心や身体、環境などの変化を経験することで、「自分の人生は本当にこれでよいのだろうか?」などと考え、これまでの生き方や自分自身に自信がなくなったり悩んだり、心理的な葛藤が起きる症状のことです。30代後半~50代の男女のうち、80%もの人が経験するともいわれています。(参考:Coeurlien)
父親の敷いたレールの上で
Cさん(男性)は地元に根ざした中堅企業の役員で、妻と大学生の子ども2人と暮らしています。
幼いころから支配的な父親から激しく干渉され、本当は警察官になりたかったそうですが、危険だからと猛反対を受け、親の口利きで地元の会社に就職します。
親の口利きで就職したということもあり、親の顔に泥を塗らないようにと頑張ったおかげで、Cさんは若くして管理職になり、いまは役員に昇進しています。
また結婚についても親が介入し、お見合いをさせられたのですが、たまたまそこでCさん自身が気に入った相手とめぐり会うことができ結婚しました。
結婚して子どもができてから、父親の介入を避けようと別居を考えたそうですが、高齢の親をひとりにできないと思い、結局、実家の敷地内にCさん家族の自宅を建てます。別宅を建てたとはいえ、実態は食事を一緒にするなど、ほぼ親と同居状態の生活を送っていました。
ですが、Cさんが50歳になったとき、過干渉だった父親が病気であっという間に他界します。それをきっかけに、Cさんの人生の歯車が噛み合わなくなっていきます。