こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
「自分の優位性」を主張せずにはいられない人々
スポーツや学業、ビジネスなどの世界では、健全な競争によって競い合うことが求められます。健全な競争には、「公正なルール」が必ず存在します。
一方で、公正さを無視するばかりか、そもそも競争する必要のない人に対して、あらゆる姑息な手段を使ってまでも「自分の優位性」を確認し続けないと、気が収まらないという人がいます。
以前勤めていた会社に、ただでさえ「役職」という組織内の優位性を持っているにもかかわらず、部下の提案にわざわざ難癖をつけて、「役員お願いします」と平身低頭懇願されるまで嫌がらせで却下したり、自分抜きで何かが決定されると激怒してヘソを曲げ、同じ組織に属しているにもかかわらず、謝罪するまで協力を拒むといった、子どもみたいな上司がいました。
正直、面倒くさかったです。
そういう人は、「劣等感」による自己否定感など、本来であれば、その人自身の責任で解決する必要がある情緒的な課題を潜在的に隠し持っています。
それを、相手の足を引っ張り貶めることや、相手には非のない部分について、あたかも相手に責任があるかのように巧みに誘導し、相手を加害者に仕立てあげるといった姑息な手段によって、自分の優位性の確保と確認をしようとすることがあります。
かなり幼稚で、それでいて、悪意に満ちたやり方によって、競争に勝とうとするのです。
子どもの成長を疎ましく感じる親たち
こうした不適切な競争を子どもに対して仕掛けてくるのも「毒親」の特徴のひとつです。
情緒的に健全な親であれば、子どもが成長し、親自身が経験していないようなことに果敢にチャレンジする姿を見て、頼もしく思ったり喜んだりするかと思います。もちろん、心配もするでしょうが、それでも子どもの成長や挑戦を暖かく見守り続けます。
しかし、情緒的に不健全な親の場合は、子どもが健全に成長したり、子どもが自分の経験してこなかった世界に飛び出していこうとしたりすると、自分から何かを奪われてしまうように感じたり、子どもに見下されている、攻撃されていると感じ、脅威を感じたり嫉妬したりしてしまいます。
そこで、たとえば嫌味や皮肉をいったり、辱めるようなことをいったりすることで、子どもの健全な成長に急ブレーキをかけさせたり、子どもの健全な成長は悪いことだと誤認させたりすることがあります。とにかく「自分を超えて行かないように」「自分の手を離れないように」コントロールしようとするのです。
あるクライアントのかたは、小学生時代に初潮を迎えそうになったころから、母親に「生理は恥ずかしいし汚いし隠さなければないこと」ということを、ことあるごとに言葉や態度で刷り込まれ、いつしか「女性らしく振る舞うこと」に心理的なブロックをかけるようになってしまいました。
さらに、「自分は恥ずかしいし汚れたダメな人間」というセルフイメージまで形成してしまい、大人になってからもその呪縛に苦しむことになりました。