6歳差姉弟を育てるママライターEMIです。両親の介護体験をもとに、介護に関する記事を書いています。
近年、孤立する高齢者が増えて深刻な問題になっています。
新型コロナウイルス流行の影響により、外出や他人との接触をできる限り避けるように気をつけなければならず、高齢者の孤立が深刻化。
外出を控えることによって体力が低下したり、精神的に不健康な状態になる高齢者が増え、問題視されました。
最近では新型コロナウイルスの流行も治り、行動制限も緩和されてきましたが、いまだに他者とコミュニケーションをとる機会が少なくなっている高齢者が多くいます。
「高齢者の孤立」を減らすためには、コミュニティの存在が必要不可欠です。
そこで、今回は高齢者にとって「コミュニティがなぜ重要なのか」その理由についてお伝えします。
高齢者の孤立は深刻な問題
日本で一人暮らしをしている高齢者は、年々増加している傾向があります。
昭和55年には65歳以上の男女それぞれの人口に占める一人暮らしの高齢者の割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、令和2年には男性15.0%、女性22.1%。(参考:令和5年版高齢社会白書)
そして、孤立死と考えられる事例も年々増加していて、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、令和3年には4010人にものぼります。(参考:令和5年版高齢社会白書)
孤立死のなかには、誰かと関わっていれば、防げた事例もあったのかもしれません。
そして、さらに「高齢者の孤立」が深刻だと考えられる調査結果があります。
平成29年版高齢社会白書(概要版)の調査によると一人暮らしの高齢男性の約35%は、「困ったときに頼れる人がいない」ということが明らかになりました。(参考:平成29年版高齢社会白書)
今後、高齢者の人口が増加し、「高齢者の孤立」はさらに深刻な問題になると考えられます。
高齢者に家族以外のコミュニティが必要な理由
私が、高齢者にはコミュニティが大切だと感じたのは、一人暮らしをしていた母が認知症になったことがきっかけです。
現在、私の母は、私の家の近くにあるサービス付き高齢者住宅に入居していますが、そこに入居する前までは、遠方で一人暮らしをしていました。
遠方に住んでいたときは、ご近所付き合いもそれなりにありましたが、母が高齢になると同時に周りも高齢化。
いつも一人暮らしの母を気にかけてくれていたご近所さんも高齢になり、亡くなられたり、施設に入居する人も増え、ご近所同士の交流も少なくなってしまったのです。
その結果、母は閉じこもりがちになり、認知症になってしまいました。
当時、私は働いていたこともあり、なかなか帰省できず、母とのコミュケーションは電話のみでした。
家族が遠方に住んでいる場合、私のように頻繁には帰省できないケースが多いでしょう。
高齢者が人との交流が気薄になってしまうと、認知機能が低下して、認知症になるリスクが高まると言われています。
そのため、遠方に住む高齢の家族が健康でいるためには、家族以外の幅広い世代との交流が大切だと感じました。
「遠距離介護」が成功した理由
少し前にある芸能人が「遠距離介護している」とワイドショーで話題に取り上げられたことがありました。
私には母の遠距離介護できなかったのに、「なぜこの人は遠距離介護ができているのだろう」と興味をもち、番組を見ることにしました。
そして、番組を見ていて気づいたことがあります。
それは、その芸能人の遠距離介護は成り立っている背景には、「地域で高齢者を見守ろうとするコミュニティ」が存在していたということです。
介護が必要な家族の介護度が進むと、遠距離介護をするのは困難になってきます。介護サービスを駆使しても家族だけの遠距離介護は、いつかは限界がくるのです。
そんなとき、地域で介護が必要な家族を気にかけてくれるコミュニティがあれば、何か異常があったときに気づいてもらいやすくなるし、家族以外の地域の方と交流を持つことで認知症の進行を遅らせることができるかもしれないのです。
人との繋がりが健康維持につながる?
人との繋がりを持つことは、健康維持に欠かせない要素です。
人と会話をすることで脳が活性化され、コミュニケーション能力を維持することにもつながります。
実際に 「令和5年版高齢社会白書」のアンケート調査では、「この1年間に社会活動に参加した人」は、健康状態が「いい」と回答した人が多いという結果が出ています。
以前一人暮らしをしていた私の母は、現在はサービス付き高齢者住宅に入居し、デイサービスへ通ったり、施設で行われる交流会で保育園児などの世代の違う人と関わる機会が増えてきました。
一人暮らしをしていたときよりも人と接する機会が増え、イキイキとしているように感じます。
高齢者こそ色々な人との交流を大切に
「高齢者の孤立」を防ぐためには、私たちが高齢者のコミュニティ参加を促したり、多くの高齢者が社会とのつながりを持てるようにしていく必要があるのではないでしょうか。
地域によっては、高齢化が進み、コミュニティの形成が難しいケースも考えられるので、すべての地域で同じことができるかというと難しいのかもしれません。
最近では、高齢者の“ちょっとした困りごと”に対応する「高齢者向けの生活支援サービス」を運営する団体もでてきています。
「5分でもいいから人と話をしたい」そんなちょっとした高齢者の要望にも対応してくれるようです。
そういった団体が各地域に広まって、世代の違う人たちがもっと気軽に日常のなかで関われるうな世の中になればいいなと日々感じています。
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