その後、どうなった?
このあと、読者の方から結果をお話しいただきましたので、ご紹介します。
実際の対応とその後(40代女性)
相手の保護者の方と直接お会いしたときに、お子さん含めどのような態度なのか分析できるよう夫とよく話し合いをしました。
私も夫もわが子も、そしてきっと相手方の保護者もお友達自身も、関係者みんなが悲しみ、苦しんでいます。
お友達には、「お金を盗むという犯罪に対し、心から反省をし、2度と繰り返さないこと」そして、「大切に育ててくれたお父さんお母さんを裏切り、悲しませるようなことをもう2度としないと誓ってほしい」それを伝えたいと思いました。
その後、公園で待ち合わせをして、3人で謝罪を受けました。
相手の保護者はとても申し訳なさそうにしており、真摯に受け止めてくれていることが伝わってきました。お金と菓子折を持ってきてくださり、丁寧に謝罪をいただきました。
お子さんも、「もう◯◯さん(うちの子)とは遊べないことは覚悟しています。二度としません」と謝ってくれました。
夫は、このような事態を招いたきっかけ(お金の管理のあまさ)を作ってしまったことを反省し、その点について謝罪をしました。
私からは、
- お金を盗んだことがバレたとき、「もう人生終わり」だと思ったかもしれないけど、小学生のいま、お金を盗むのは悪いことなんだとはっきり理解できたことはむしろラッキーなことだった
- この先、再び「もう人生終わり…」なんていう風にならないためには、同じことを2度と繰り返さないでほしい
- いちばん悲しい思いをした、お父さんお母さんを悲しませるようなことを2度としないでほしい
と3点伝え、「この約束を守ってね。またもし学校で会ったら、頑張ってる姿を見せてね」と言うと、「はい」と答えてくれました。
お相手も、「あと数年で大人になってしまうんだよ、悪いことをして隠しても、必ずバレてしまうんだよ」とお子さんと泣きながらたくさんお話してくれたそうです。
わが子はまだ、「今後再び仲良くできるかわからない」と言っています。
「反省してるんだから仲良くしなよ」というのは子どもの気持ちを蔑ろにすることになるので、「そうなんだね。悲しかったよね」と受け止めるだけにしていますが、これからあの子がまっすぐ生きていく姿を見れば、また仲良くできる日が来ると信じています。
この経験が「チャンス」となり、今後、相手とわが子によい影響を与えてくれることを願います。
また悩んだ日には、ぜひご相談をさせてください。このたびはありがとうございました。
その後、どうなった?
相談メールをくださったお母さんは、最初からとても冷静な対処をされていました。
慌ててしまうと、「人」からの証言を求めて、それを証拠として依存しがちなのですが、人間の意識には意外な感情のバイアスがかかり、真実が見えなくなる場合があります。
今回は、記録された動画を基本にして話を進めていらっしゃいます。それが、相手もご自身も落ち着かせる大事な要因になっていますね。
次に、夫婦でよく話し合われていることも重要です。
ひとりの頭の中だけで思考を巡らせるだけだと、これも感情のバイアスが入りやすくなります。
問題はひとりで抱えず、いろいろな視点から見てもらうほど、自分も冷静になれます。
お父さんが、お金の管理の甘さを反省していらっしゃるようですが、お金の保管箱の移動にすぐに気づいたからこのような着地ができたわけです。きちんと管理されていると考えてよいと思いますよ。
また、素晴らしいと思ったのは、「反省してるんだから仲良くしなよ」というのはわが子の気持ちを蔑ろにすることになると考えていらっしゃることです。
もし10歳以下なら、「仲良くしようね」と言ってやるのも大事ですが、12歳の子には、「そうなんだね。悲しかったよね」と受け止めるだけが、最も適切な対処だと思います。
親がこうしてやることで、子どもは、親が自分の味方であることを改めて確認し、さらに自分で悩み考え、一段階成長することができます。
出来事は残念でしたが、友達も十分に反省し、保護者の方も、子どもとの約束や学校への連絡等、しっかりと事後処理をされたようです。
子どもを愛する熱い気持ちと、高い視座から広い視野を持って物事に対処する能力を、あなたが持っていらっしゃったことで、この残念な出来事は素晴らしい着地をし、これから先、「あのことがあってよかった」と思えるような出来事に変わっていくはず。
そして、今回最もよかったと思うのは、(今回残念なことをしてしまったとはいえ)ちゃんとした家の子と友達になっていたのは、これまでの子育ての成果だということです。
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