こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
連載の前半では、「毒親からのさまざまな悪影響」についてお話ししています。
直近では、愛着形成がうまくなされず、心が空っぽの状態で社会に出ることで抱える問題についてお話ししました。
今回も引き続き、「悩ましい家庭環境」が子どもに与える影響をお話しします。かなりセンシティブな話ですが、ちょっと踏み込んでみたいと思います。
離婚したのは、僕のせい…?
それは「親の離婚」によって生じる心の傷についてです。
同居している親に無視されたり拒絶されたり否定されてばかりいることで心に傷を負う以外にも、親が離婚することで、「自分は見捨てられた」「親にとって自分はいらない存在なんだ」という思いが生まれることがあります。
特に物心がつく前の子どもには、「離婚するには離婚するだけの理由がある」ということがわからなかったりするので、親がいなくなることの納得する理由を自分が理解できるように創り出す必要に迫られます。
そういう意味で、どんなに言葉を尽くして子どもに説明したとしても、子どもは「親が離婚するのは、自分が悪い子だからじゃないか?」という、いわれなき罪悪感が芽生えることがあるということを、大人である私たちは知っておく必要があるのではないかと思っています。
だからといって、離婚がいけないという話ではありません。離婚と子どもへのケアは別次元のお話です。
「自分のせいだ」と苦しみ続ける子どもたち
より子どもの心に「罪悪感」や「無能感」「無価値感」といった自尊感情を阻害する気持ちを植え付けてしまうのは、「親としての責任を果たさない」「子どもの努力を認めない」「義務感で育児はするものの愛情を与えない」「禁止令ばかりで安全や安心などを奪い取る」「ダメ出しばかりで自尊感情を奪い取る」など、「されたこと」ではなく「されなかったこと」に起因することが多いようです。
また、「されなかったこと」で傷ついた子どもは、大人になったとき、自分が抱えている問題と養育関係の因果関係に気付きにくく、むしろ因果関係を否定する傾向があります。
例えば、実際には親が育児放棄的な状態で離婚をしていたにも関わらず、「親は悪気があって、私のことを放っておいいたわけじゃないんです」「親は親なりに一生懸命努力していたんです」といったように…。
しかし、そうやって親の未熟さや無責任さを擁護したり否定したりしているうちは、なかなか問題の真因に辿り着けず、問題が長引いてしまいます。
繰り返しますが、離婚がいけないとか、そういうことを言いたいわけではありませんよ。
子どもは親の離婚に対して、「自分のせいだ」という自分なりの理由を創造し、その創造した理由に大人になってからもずっと縛られ、苦しめられてしまう可能性があるということを伝えたいのです。
「離婚の原因はあくまでも親同士の問題であって、子どもであるあなたには何ら責任はない」「あなたは求められ、愛されて生まれてきたのだ」というメッセージを、手を替え品を替え子どもに発信する必要があるし、愛情や承認のメッセージを与え続ける工夫もする必要があるということを言いたいのです。