こんにちは。垣屋美智子です。証券アナリストとして10年間従事した後、現在はスタートアップ企業の財務・経営支援をするほか、事業分析力と会計知識を生かし「誰でも今すぐできる」をテーマにマネー、ライフ、キャリアについて執筆、講演活動を行っています。
今回はメルマガ読者の方からいただいた、お金の使い方の見直しについてのご質問に答えました。
読者の方からの質問:いますぐやるべきお金の使い方
お金の使い方を見直したいと思っているのですが、これだけはやるべきということがあれば教えてください。
いまは収入は会社員としての収入のみで、副業はしていません。使ったお金の管理などはあまりしていませんが、ほとんど現金ではなく電子マネーなどを使用しているので、お金の流れは記録としては残っています。節約などはしておらず、資産運用もしていません。
将来に向けてどんなお金の使い方が正しいのかもわからずというのが、現状です。
まずは「確定拠出型年金の運用の見直し」を
ご質問ありがとうございます。ご質問者さんは資産運用などもしていないということですね。
私としては節約よりも副業よりも「お金を投資に回すべき!」というのが基本的な考え方なので、そのためにまず最初にやるのは、確定拠出型年金の運用の見直しでしょう。
なぜ確定拠出型年金かというと、それはすでに加入済みであれば、運用する必要があるものをすでに持っているということだからです。
加入していないという人は、特に加入の検討は必要ない(もしくは会社員であれば自分の判断ではできない)ので、これから自己資金を資産運用をするならどうすればよいかという観点で読んでいただければと思います。
個人型確定拠出型年金未加入の人、加入は必要か?
確定拠出型年金とは、年金制度のひとつで、企業型と個人型があります。
個人型は、加入者である個人が毎月一定の金額を積み立てて(=掛金を拠出)、用意されている金融商品(預金・保険・投資信託)を自ら運用し、60歳以降に一時金または年金で受け取る仕組みです。
掛金に所得控除などの税制優遇があるので、普通に自己資金を運用するのに比べて節税メリットはありますが、60歳まで受け取れないので、個人的には未加入であれば加入の必要はないと考えます。
企業型は企業が掛金を拠出し、従業員が運用する制度で、運用成績によって退職後(60歳以降)に受け取る額が変わります。
自らの意思とは関係なく加入するものですが、運用方法は個人の自由です。そこで、もし運用方法が間違っていると実質的には退職後に損をしてしまう可能性があります。
正しい運用方法は?
もし、いま確定拠出型年金に加入しているとしたら、まず見直すべきポイントは、どんな金融商品で運用しているかです。そして、金融商品は資産分散の目的で選ぶべきです。
いま自己資金がほぼ預金であるなら、資産分散の観点で株式投資信託にするべきです。これは元本確保型ではありませんが、問題ありません。
なぜなら、どうせ運用額を受け取るのは60歳以降なので、現金の価値がそのときどうなっているかわからないからです。
元本確保型じゃないと危険なのでは?
たとえばいま30歳であれば運用額を受け取れる30年後、牛丼価格が倍になっているかもしれないのに、30歳のときに貯金した10万円は10万円の価値しかありません。
牛丼も米も電気代もすべて倍になっているのに、大事に積み立てた貯金は額面のままなので節約しないと生活はつらくなります。
でも10万円分の株式投資信託であれば、通常牛丼価格が倍になっていれば投資額も連動して倍になっているので、10万円が20万円になっている可能性があるのです。牛丼やほかのものが倍になっても、この投資信託の運用益があれば大丈夫ですね。
では、牛丼価格がいまの半分になっているとしたらどうでしょう?
投資信託もいまの半分となり5万円になっているかもしれません。でも、牛丼価格もそのほかすべてのものも半分になっているわけですから、5万円でも生活には困らないわけです。
このように究極を言えば、市場の価格と連動しやすいのが株式投資信託なのだから、現金は持たずに投資信託だけ持っていても、将来困らないかもしれません。
ですが、将来のことはわかりません。ですから、資産運用の基本はリスク分散なのです。まずは、現金のほかに投資資産も持ちましょうということで、確定拠出型年金の部分だけでもリスク分散してみることをおすすめします。