飲み会やイベントなどの場が減り、人との出会いも減ったコロナ禍。この時期をきっかけに、マッチングアプリでの出会いが主流になってきました。
マッチングアプリでは、普段出会うことのなかった人とも出会えることが最大の魅力ですよね。
しかし、国民生活センターによると、マッチングアプリをきっかけとした投資トラブルの相談件数は2018年は45件、2021年は1,701件もあったことが判明。2022年にはやや減少しましたが、注意が必要なこともわかりました。
そこで今回は、株式会社IBJが筑波大学の原田隆之教授にインタビューし判明したマッチングアプリのトラブルを回避する方法や、マッチングアプリを通して投資詐欺の被害に遭った年代を調査したデータをご紹介します。
投資詐欺のターゲットにされやすい人の特徴
大学生を含む20代と、30代以降を比較すると、マッチングアプリでのリスクに出会う頻度が大きく異なるという傾向が出ていたそうです。
30代以上は異性との出会いが減ることにより、焦りが生じます。そのため、「出会うこと」にフォーカスしてしまい、状況判断が甘くなり、注意が疎かになった結果、リスク感覚が低下する傾向があるとのこと。そのため、投資詐欺の被害に遭いやすいんですね…。
いままでマッチングアプリを利用してお付き合いしたことがある方でも、いい面だけではなくリスクもあることを心の片隅に置いておくことが重要です。
結婚相手の選択肢、増えるほどに間違った選択をしやすい?
マッチングアプリよって、自分のコミュニティ外の人と出会うことが可能になり、広い選択肢のなかから相手を選ぶことができる時代になりました。
一方で、選択肢が増えるということは恵まれているようでいて、逆に高望みしすぎたり、現実的には自分と合わない相手を選んでしまう可能性もあるのです。
「選択のパラドックス」という有名な実験があります。
被験者に「5個のジャムから好きなのを選びなさい」と伝えるとすぐに選ぶことができますが、20個~30個の選択肢を提示すると、間違った選択をしてしまったり、ほしくもないものを買ってしまうことがあるのです。
結婚相手との出会いに置き換えても「選択肢が増えれば増えるほど、我々は間違った選択をしやすい」というのが、心理的な事実なんだとか。
どんなに素敵な相手でも、どんなに選択肢が増えても、慎重に・冷静にを忘れずにいることが、投資詐欺の被害に遭わないための重要な回避方法なのではないでしょうか。
アドバイザー紹介:原田 隆之教授
筑波大学教授。博士(保健学)。専門は臨床心理学、犯罪心理学、精神保健学。法務省、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)勤務を経て現職。
主な著書に「あなたもきっと依存症」(文春新書)、「子どもを虐待から守る科学」(金剛出版)、「痴漢外来:性犯罪と闘う科学」「サイコパスの真実」「入門 犯罪心理学」(いずれもちくま新書)、「心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門」(金剛出版)など。