6歳差の姉弟を育てるママライター、EMIです。育児、介護に関するコラムを執筆しています。
認知症患者が増加傾向にある昨今、認知症の家族をお持ちの方は、日々さまざまな対応に苦労していることと思います。
そのなかでも特に難しいのが、認知症患者に「家族の死」を伝える瞬間ではないでしょうか。
認知症の進行具合によっては、「家族の死」を伝えることで、BPSDやうつ病を発症する危険性も考えられます。
私も数カ月に父を亡くしましたが、認知症の母に父の死を伝えるべきかとても悩みました。
そこで、今回は「認知症患者と家族の死」について、どのように対応するのがよいのか私の実体験をもとにお伝えします。
認知症でも一度は「家族の死」を伝えたほうがいい
「認知症患者に家族の死を伝えるべきか…」とても悩ましい問題です。
あまりにも認知症が進行している場合、「伝えても忘れてしまうから伝えても意味ないだろう」と考える人もいるでしょう。
私は、たとえ認知症が進行していて、すぐに忘れてしまっても「家族の死」は本人に伝えるべきだと思います。
なぜなら、認知症であっても自立した人間として、本人の「知る権利」に配慮する必要があると思ったからです。
私も、父が亡くなったとき、その事実を母に伝えるべきか悩みました。母の介護度は、要介護2。母の認知症の症状は、すぐ前の出来事を忘れてしまう、何度も同じことを聞くなど物忘れがかなり進行している状態でした。
「父の死」を伝えても、すぐに忘れてしまうかもしれない…。もしかしたら、ショックを受けて情緒不安定になるかもしれない…。真実を伝えるべきか、しばらく悩み続けました。
いつかは、伝えなければならない
父は、亡くなる4カ月前に体調を崩し、しばらく入院していました。
母と父は、4年程前からサ高住(サービス付き高齢者住宅)で生活を共にしていました。
父の入院をきっかけに、母は精神的不安定になる日が多くなったのです。いつもそばにいた父がいないこと、一人で過ごすことに不安を感じたのでしょう。
毎日のように母からは「お父さんはどこに行ったの?」と電話がかかってきました。新型コロナウイルスの影響もあり、母は入院中の父とほとんど面会ができない状況でした。
唯一会えたのは、父が危篤状態だったとき。意識がもうろうとしている父の姿をみても、認知症の母は父が危篤状態であることを理解できていませんでした。
しまいには、「お父さん、寝てるみたいだから、そろそろ帰ろうか…。」と言い出したのです。
その後、しばらくして父は亡くなりました。母は、まさか父が亡くなったなんで思いもしてないでしょう。
母に「父の死」伝えたらどうなるだろうか…。父が入院している間も情緒不安定になっていた母に、父の死を伝えたら、さらに悪化するかもしれない…。
しかし、母も父の通夜・葬儀に参列することになれば、「父が死んだ」事実を知ることになります。いつかは、伝えなければならない…。通夜当日に伝えるより、事前に伝えておいたほうがいいのではないか…。
さんざん悩んだ挙句、通夜の前日父の遺体と面会させ、事実を伝えることにしました。