みなさんこんにちは。飼い主さんたちが「犬を理解する」ために必要なことをご紹介している、Masumiです。
現実に起きた事件や事故、海外の犬事情など、日本では報道されないこと、私が体験したことを中心に、知っておいてもらいたいことをお話ししています。
私は、海外の犬関連の動画をよく見ます。そのなかでもトレーナーという職種に限らず、犬たちとのコミュニケーションが見事に取れている方はたくさんいます。
みなさんも、街で見かける犬連れの方で「賢い犬」(そう見える)に遭遇したことはありますよね?
散歩中も犬が引っ張らずに、犬を見ても興奮せず、飼い主を引っ張ったり、周りに吠えかかったりすることもなく、ちゃんと散歩している犬と飼い主、見かけたことはあるはずです。
そしてみなさん思うはず。「賢い犬だな~」とか、「よく躾(訓練)されているな~」と。
ではこういう犬はすべて「訓練」や「しつけ教室」に通った方ばかりでしょうか?
それはちがいます。うちの祖父や母も、一切犬のことなんてわからずに、訓練や躾け、ご褒美で犬とコミュニケーションが取れていたわけではございません。
なのに、うちの実家にいた犬は、オフリードで歩けるほどきちんとマナ―のある犬でした。
「犬を悪者」にするのは、いつも人間の無知
飼い犬に襲われて命を落とした人間はいます。「飼い犬なのに?」と思われる方は、「犬」を知らないということです。
飼い犬であっても、「犬」は「犬」です。いつでも「犬」に変身します。
この飼い主を噛む犬、躾が大事だと思いますか?噛んだ犬が悪いと思いますか?
噛まれると飼い主は困りますし、怪我しますし、「犬をトレー二ングしなければ!」「噛まない犬にしなければ!」と思うはず。
そこが間違いです。まず「犬を治そう」という考えのもとでは、犬はあなたを信頼しません。
悪いのは人です。ではどうすれば噛まれなかったのか、私が説明します。
まず、抱きかかえている男性、不安定に犬をホールド(保定)している。
そして、この男性と犬、体が密着しています。犬が男性の前にいる状態です。体の密着によって、犬は防衛本能が強く出ます。
そして、正面に立っている赤いスウェットを着た女性はフードを被った状態。
不安定で、防衛本能が強めに出る状態(ガードポジション)で保定された犬の手を、正面からのアプローチでカメラ片手に引っ張っています。
誰かに背後から羽交い絞めにされている状態で、フードを被った女性か男性かわからない人物(飼い主かどうかも判断しにくい)・知らない人に正面から近づかれて、腕を引っ張られたら、あなたはどう思いますか?
犬を知っていれば(犬の身になって想像できれば)、こんな問題にはなりません。
つまり、アプローチの仕方、抱っこの仕方さえ正しければ、噛まれることなく事は終わるのです。
この犬を訓練に出す必要もなければ、トレーニングする必要もありません。
私がアカデミーやメルマガで教えていることはこういうことです。
自分が犬の身になって考えることができない人が多すぎる。つまり、自分がいかに「犬を知らない」ということを知らない飼い主が、「犬からの信頼」を貰えないのです。
「犬を悪者」にするのは、いつも人間の無知なのです。
なぜ犬とコミュニケーションをとれないのか
さて、ここから後半です。
「犬が言うことを聞いてくれない」この悩みがすべてだと思います。
散歩での問題、家での問題…犬が言うことを聞いてくれないからですよね?つまり、飼い主が言わんとすることを理解できていないということですよね?
「お菓子を見せると従うんですけど…」「家ではできるんですけど…」とお話しされる方が多くいらっしゃいますが、状況次第では「従う」と思っていませんか?
それは「従っている」のではなく、対処する方法を犬が知っているということに過ぎません。
あなたに従っているのではなく、「こういう場合はこうする」を覚えているだけです。つまり記憶しているだけのこと。
子どもだってそれくらいできます。
「いただきますは?」「ごめんなさいは?」「ありがとうは?」「挨拶は?」と言えば、子どもはそれをやります。
こういうときはこうしなさいという「事例」として教えるから、言わなくてもやるようになる。そうですよね?
餌の前では座る、散歩の開始(玄関の扉前)では座る…これらを「コマンド」と勘違いしている方が多すぎますね。
言われなくても、言っても「やる」。犬が勝手にやること=所作です。
もっと言えば、その犬がやる「所作」に対して、犬の思惑通りに動いているのは誰ですか?
ちなみに、私はうちの子たちの要求吠えや所作のアピールで動きません。それをうちの子たちは理解しています。コミュニケーションが取れているのです。
そしてここで勘違いしていただきたくないのは、犬たちのこういう「意志」に対して、私はいつも叱りません。
私は私の都合というものがあって、忙しければ構ってあげられないこともあります。でもうちの犬たちは、それをも理解しております。
言葉なく犬が語りかけていることに対して、「飼い主への要求=No」と叱ることなんてないんです。
むしろ、犬の言うことを聞く方が多いのが私。緩めることも、大事なんです。
ルールはルールです。日替わりルールではありません。私の家でのルールは、「平和」であることは第一条件。そして、各自が「安全、安心」。
ルールや規則に縛られる生活をするために、私は犬を飼っているのではありませんからね。
でも、多くの方は「犬に舐められないように!」と威勢よく声を荒げたり、とんでもなく威張ったり、虚栄・虚勢を張る。また逆もありきで、「犬に嫌われないように」と媚びを売る。どちらも、「偽物」です。
ただし、こういうと案外自分の振る舞いをどうすべきかわからない人が多いのではないでしょうか?
簡単なことです。「犬のため」の行動・立ち振る舞いなのか、「自分のため」の行動・立ち振る舞いなのか…の違いです。
私は、犬が家で吠えると叱ります。うるさいからではありません。
私が犬にNoと叱るのは、「犬のため」なんです。吠える=興奮する=体に負荷がかかる=犬がしんどい。犬の健康のためと言ってもいいでしょう。
犬の飛び掛かりを私がNoとしているのは、犬の足腰への負担を考えるからです。
なぜ犬とコミュニケーションをとれないのか?それは、「自分のために従わせようとしているのか、犬のためなのか」がはっきりしていないことに大きく要因はあります。
私は犬に嫌われるとか、好かれるとか、そういうことは何とも思いません。いつも、犬のために指示を出します。結果、信頼されるのでしょう。
犬のために、いつも判断してあげる
この動画、散歩前の見事な主導権を学べる動画です。この方はもちろんトレーナー。
1:11から散歩前の準備が始まります。1:17、黒っぽい犬にリードを付けようとするとき、座ってた状態から立ち上がりました。
この男性は「座れ」なんて指示を出していませんが、「静かに待つ」という意志を犬に伝えるために犬の前に立ち犬を座らせたのです(言葉ではなく、態度で示す)。
1:19でリードをつけようとすると、犬が動いたとき、男性はまた仕切り直していますよね?
おそらく、犬とのコミュニケーションが取れない人は、ここを緩めていませんか?仕切り直さず、リードをつけちゃうことは可能ですからね。
でも、彼は違います。1:19で勝手に動いたから、1:20ではやり直しさせています。
私もこれです。1:30でも同じですね。リードをつけようとすると、犬は勝手に立ち上がります。1:43が正解です。
今度は、ゴールデンです。1:51、彼が態度で「座れ」を指示します。2:59では座りましたよね?でも、2:51から1:59まで8秒。
このゴールデンが座るまでにかかった時間は8秒。しかも、彼が座れを指示した場所ではなく、ゴールデンは勝手にドア前に動いて座りました。
これは「彼の指示に従った」のではなく、「自分の意志で場所を決めた」のです。多くの方は、こういう細かいことを見逃します。座ったからお利口さん…で褒める方もいるでしょう。
2:03、彼はゴールデンに座れを指示した場所まで戻すのです。下がらせましたよね?やり直しさせたということです。ここでは緩めてはいけません。
すべてがコミュニケーションですよ。なのに、多くの方はこういう細かい「犬の間違い」を気づきません。訂正させません。やり直しさせません。
だから犬が「座ればいいんでしょ?」という所作として記憶してしまうのです。
その後、彼はこう言っています。
「私はあえて、自分の用意は後でやるようにしている」と。ジャケットを着たり、靴を履いたりするのは、犬の準備の後にするそうです。待たせるためでしょうね。
2:17、ベージュ色の犬に指示を出しました。この犬にリードをつけようとしたとき、この犬は躊躇しました。顔を背け、協力的ではありません。
その後、立って動いていますよね?つまりリードがイヤなんです。2:34、動いて逃げました。
みなさんなら、ここでどうしますか?おそらく犬とコミュニケーションが取れないと悩んでいる人は、こういうときさっさとリードをつけちゃうんです。犬の不正解を見過ごして、さっさとつけちゃうんです。犬の気持ちを無視して…。
2:39、彼は仕切り直してまた座らせましたよね?2:42では、きちんと犬が動かずにリードをつけることができました。
この後、彼はまた教えてくれるんです。一度つけたリードをまた外して、説明してくれています。有難いじゃないですか!
2:55、彼はあえて恐る恐るリードをつけようと、正面からアプローチしましたよね?犬はどうです?動きました。2:57、犬は逃げましたよね?
これ、信頼関係です。彼の態度がよそよそしかったり、迷いがあることで犬は警戒します。信頼されないということです。
3:02、今度は急いでつけようとしました。逃げますよね?これも彼を疑っているからです。
3:12、彼はリードの匂いを嗅がせます。それでもまた逃げます。これはなぜかわかりますか?「犬に判断させようとした」からです。
彼の指示も意志もありません。ただ道具を匂わせただけで、犬に判断を求めたわけです。
3:20では、彼の主張が伝わったから逃げずにリードをつけられたのです。彼はいちいち、言葉を発しておりません。態度だけです。そして、犬に判断を任せておりません。
きちんとした彼の態度やエネルギーが正しければ、犬は信頼するのです。
「犬から好かれること」とは違うのです。飼い主の迷い、警戒=判断力のなさ…これでは犬は信頼しません。
犬のために、いつも判断してあげる。こういう細かいことを多くの人は「ま、いっか」としているのです。
3:48、この犬が彼の座った椅子に近づきました。彼が立ち上がったとき、犬が迷って逃げようとしましたよね?ちょっと警戒している様子です。
3:51でも彼はすぐにリードをつかんで「逃げる必要はない」ということを態度で伝えます。
3:54、「座ればいいんですね?」と犬は彼が言わんとしていることを理解しています。彼が伝えたかったことは、「自分のスペースがほしい」ということだけです。
ぐいぐい近づいてこられると、靴も履けませんし、余計なスキンシップは必要ありません。「待て」とか言っていませんよね?言葉は一切ありません。
5:07、待てをしなくても、椅子に腰かけた彼に対して、グイグイと自分アピールをしないで犬たちはちゃんとリスペクトしています。
おそらく、数秒で散歩に行ってしまう人が多いでしょう。しかし彼はかなり時間をかけています。
多くの犬なら、「早く早く!」と吠え出すかもしれませんし、イライラするかもしれません。ということは、コミュニケーションが取れていないということ。
好かれることと、リスペクトされることは全く別物です。
常に、犬にわかりやすく!
ちょっとした犬の不正解を見逃していませんか?曖昧にしてはいけないところもあります。
A地点で待てをした、B地点まで動いてきた…こういう場合、みなさんはB地点で待てをやり直させていますよね?ということは、A地点からB地点まで動くのはOKと教えているようなもの。
A地点で座れ、待てをさせたのに、B地点に来て座れや待てをやり直す。これやりがちです。
これって犬にとって「あ、ちょっと動く分はいいんだ」と教えている。つまり、曖昧なんです。犬は「何が間違っている」のかわかりませんよ。
犬が理解できない教え方をしておいて、「わかっているはずなのに言うこと聞かないんです!」というあなた…曖昧になっているかもしれません。
常に、犬にわかりやすく!自分の行動を一度動画で撮って、自分を見直してみてください。犬が従わない理由、犬とコミュニケーションが取れない理由がわかるはずです。
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