みなさんこんにちは。飼い主さんたちが「犬を理解する」ために必要なことをご紹介している、Masumiです。
現実に起きた事件や事故、海外の犬事情など、日本では報道されないこと、私が体験したことを中心に、知っておいてもらいたいことをお話ししています。
まず、「自分は犬を知らない」という自覚を持ってください。たとえ、いままでの人生で10匹も20匹も犬を飼ってきたという経験がある方でも、「こんな犬いなかった」という相談があるのは事実です。
犬の性格も、犬の飼い方も人それぞれ。だから「躾」のやり方だって人それぞれ。
それでも、やってほしくない行動や飼い主を困らせる行動を取ってしまうのが「犬」です。
ここでひとつ大切なことをお話ししておくと「犬に困っている方」は、「犬も困っている」と気づくこと。飼い犬だってどうすべきかわからない、不安な状態にいるということをまず理解してあげること。
吠えてうるさい、引っ張るから腕が痛い…これ、引っ張っている犬がどれくらい辛いか、吠えている犬の血圧がどれほどあがっているか?
犬の体への負担を考えてあげることができる飼い主であってほしいと願います。
あなたは「犬」を知らない
さて、なぜ犬が問題行動をとるのか?
「問題行動をやめさせたい!」と思う前に、「犬」を知らない自分に気づいてください。あなたが知っている「犬」って、どんな犬ですか?どこで見て学びましたか?映画?小説?バラエティー番組?人から聞いた?
私は実際に何万という犬を扱って来ました。オフリードで毎日75~120匹、週休1日で6年間。
それ以前も、保護施設でのボランティア(ボクサーレスキュー)と、ドッグウォークのアルバイト、ドッグシッター、ドッグトレーナー、スタジオトレーナー(テレビ番組制作で犬を動かすトレーナー)、獣医での「無料・去勢避妊」のボランティア、ホームレスドッグのレスキューなどなど、どっぷりと20年間犬漬けの生活をしておりました。
危険な目にも遭っていますし、スタッフが犬に殺されかけていたのを救ったこともあります。
犬の酸いも甘いも知っておりますし、犬を助けるために身を徹して自ら噛まれたこともございます。
そういう人間が「犬」を教えているということを伝えておいて…はっきりと言いましょう。
「あなたが犬に困っている」ということは、「あなたは犬を知らない」ということです。
いまからでも「犬」を学んでください。そのために、私は文章を書いています。
大切なのは「BOND」
さて、前置きが長くなりましたが、こちらの動画を見てください。
あなたは、こちらの女性がなぜ噛まれたのかわかりますか?
犬のサインが読めていないからです。女性が取っている行動が、犬に対してどういう行動なのか?説明できる方は「犬」を知っている方です。
ちなみに、私も自分の犬にこういうことをします。全く問題はありません。
読者の方のなかにも、自分の犬にこういう行動をとって、顔を噛まれることなくいちゃつくことができる人もいると思います。
それは、「ストラクチャー」(関係性の構築、構造)ができているからです。
犬を触れない、足を拭けない、耳掃除ができない…こういう人は、テクニック重視の「部分的改善」は望めません。
人と犬との関係性に問題があります。それは普段の生活、散歩の仕方に問題があるのです。
留守番ができない犬もそうです。飼い方、犬との過ごし方に問題があります。人と犬が正しくBONDしていないということです。
BOND(接着剤)とは、繋ぐ、繋がり、絆…という意味。
ご存じの方もいるかもしれませんが、世界的に有名なサンディエゴのシャチ(シャム)のトレーナーがシャチに殺されたという事実、知っていますか?
あれだけ毎日餌付けをして、イルカやシャチに「芸」を教えていても、トレーナーが殺されたり、シャチが人を襲うことがあるのはどうしてでしょうか?
人間でいえば、いつもおごってくれる人、いつもお金をくれる人、そういう人から何かを頼まれると、喜んでなんでも言うことを聞きますか?その人のこと、尊敬しますか?
お金を貰えるなら、どんな頼まれ事でも引き受ける人がいるかもしれません。でも腹のなかはどうでしょうか?
札束で頬を叩かれて言うことを聞く…屈辱を感じる人もいると思います。
いずれにせよ、モノを介して「繋がっている」という関係性は、BONDではありません。
実はこのシャチ、以前ステージに乗っかってしまって水のなかに戻れなかったことがありました。
そのとき、トレーナーたちはシャチを水に返すことができませんでした。シャチが困ったときに、シャチを助けることができなかったのです。
エサで餌付けしておきながら、シャチが困っているときに助けられないって、どういうことでしょうか?
芸事を教え込み、強化する…これらは餌付けでできることです。でもそこに、「絆」ができますでしょうか?
さきほど、顔を噛まれた女性、噛まれたことにショックを受けています。犬への愛情表現としてキスをしたら、顔を噛まれた…これがなぜ起きるのか?
BONDがないということです。ボタンの掛け違い、愛情の掛け違いですね。