親子関係は、子どもの心身の発達に大きな影響を与えることが知られています。子どもが健やかに育つためには、親との良好なコミュニケーションが欠かせません。
オンラインイラスト教室を運営する「アタムアカデミー」が実施した「親子のコミュニケーションに関する意識調査」が注目されています。
この調査結果から、親がどのようにして子どもとコミュニケーションを取るべきか、またその中で感じる課題や悩みについて明らかになりました。
ここでは、その調査結果をもとに、親子関係をより良くするためのコミュニケーション方法を探ります。
親子関係を深めるために重要なコミュニケーション法とは
調査では、親子関係を深めるために最も重要だと思うコミュニケーション方法について尋ねたところ、最も多かったのが「子どもの話を聞く」という回答でした。
こちらの回答が53.2%という高い割合を占め、33.5%の票を獲得した2位の「子どもを尊重する」という回答に大きな差をつけていました。
それでは回答者の声を詳しく見ていきましょう。
3位 できるだけ会話する(14.5%)
仕事で忙しかったりすると、会話をする機会が減少しがちですが、内容にはこだわらず、会話をする機会を多くするようにしている方が多いようです。
「食事やおやつを食べているときなど、リラックスしているときに会話する」といった意見もあり、会話のタイミングを工夫しているのも明らかになりました。
子どもがリラックスしていれば、本音を語ってくれるかもしれません。
<回答者の実際の声>
「平日でも、まずは朝晩自分から必ず声をかけるようにしています」(40代 男性)
「相手の反応に関わらず、話しかけることです。子どものことを気にかけている姿勢を示していると、必要なときには親を頼りにしてきます」(50代以上 女性)
2位 子どもを尊重する(33.5%)
2位に挙げられた「子どもを尊重する」のも重要なポイントです。
親が子どもを一人の人間として尊重し、彼らの意見を大切にすることで、子どもは自分の考えや気持ちを表現しやすくなります。
「子どもを一人の人間として扱い、敬意を持って接することが大切」と考える親が多いことがわかります。
このように、子どもを尊重することで、親子間で信頼と理解が深まるのです。
<回答者の実際の声>
「基本的には本人の思いを尊重します。私自身が何か言うことは滅多にありません」(30代 男性)
「子どもをひとりの人間として扱い、敬意をもって接することだと思います。自分のことや好きな話題などを丁寧に扱われることで、子どもたちも親をはじめとした周りの人間に対して、丁寧に接することを身につけてくれます」(40代 女性)
1位 子どもの話を聞く(53.2%)
子どもの話をしっかりと聞くことは、親子の信頼関係を深める基礎となります。
調査に参加した親たちは、子どもが話す際には話を遮らず、最後までしっかりと聞くことを心がけていると答えています。
例えば、「話がまとまっていないときでも途中で口を挟まず、最後まで聞くようにしている」や「子どもの目を見て、手を止めて話を聞く」といった具体的な工夫が見られました。
このように、単に耳を傾けるだけではなく、子どもに寄り添いながら、彼らの気持ちを受け入れる姿勢が大切だと多くの親が認識しています。
<回答者の実際の声>
「子どもの話がまとまっていなかったり話すのが下手だったりするときも、途中で口を挟まず、時間がかかっても最後まで聞くことを意識しています」(30代 女性)
「話をしたそうにしているときは、話の腰を折らずに聞いてあげること」(40代 男性)
親子のコミュニケーションにおいて感じる課題
親子関係におけるコミュニケーションでは課題がいくつかあります。
調査結果によると、最も多かった難しいことは「一緒に過ごす時間が少ない」(19.9%)という問題でした。
忙しい日常生活の中で、仕事や学業、習い事が優先され、親子が一緒に過ごす時間が限られてしまう現実に直面している家庭が多いことが伺えます。
それでは、そのほかの回答も合わせて詳しくご紹介します。
3位 意見が合わない(9.6%)
人間関係において、意見の違いがあるのは不思議なことではありません。
ですが、親子間となると、「自分の子どもなのにどうして」と思ってしまう方がいるようです。
親子で意見が合わないと、意見の相違を受け入れられずケンカが勃発してしまうのだとか。
40代〜50代の親世代からは、「ジェネレーションギャップで意見が合わない」という悩みを抱えていることも明らかになっています。
育ってきた時代が違うと、ギャップが生まれてしまうのはしょうがないことではありますが、こういった理由から難しいと感じる方が多いようです。
<回答者の実際の声>
「経験を元に伝えても、時代が違うのでなかなか理解を得られないところは、難しく感じてしまいます」(40代 男性)
「親の価値観と異なることがある」(50代以上 女性)
2位 子どもが話したがらない(14.5%)
さらに、「子どもが話したがらない」という問題もよく見受けられます。
特に年齢が上がると、親に話したくないことが増えるため、コミュニケーションが難しくなることがあります。
友人関係のトラブルや、学校での悩みなど、子どもが打ち明けたがらないことが多く、親としては心配になってしまう場面もあるでしょう。
そうした場合、親はどう接するべきか迷うことがよくあります。
<回答者の実際の声>
「年齢が上がるにつれて話したがらない内容が出てきた。『それでも聞くべきか?子どもが言ってくるまで待つべきか?』と判断に迷う」(40代 男性)
「子どもが高学年になると話したがらない」(50代以上 男性)
1位 一緒に過ごす時間が少ない(19.9%)
特に、子どもが成長するにつれて、学校や部活、塾などで忙しくなるため、親子で過ごす時間はますます減少します。
「子どもとのコミュニケーションが取れない」という悩みを抱える親が多いのはそのためです。
親自身も仕事や家事で忙しく、なかなか子どもと向き合う時間が取れないと感じることが多いようです。
<回答者の実際の声>
「仕事が忙しく、休みの日にしかコミュニケーションを取れない」(20代 男性)
「年齢が上がるにつれ生活リズムのズレが生じて、一緒に過ごす時間が減っていく」(30代 女性)
「部活や塾など子どものスケジュールが詰まっているため、帰宅後や登校前の限られた時間にコミュニケーションを取るしかない」(50代以上 女性)
親子関係を改善するために有効な方法は?
親子関係をよりよくするために取り入れたい方法として、最も多かったのは「子どもとの時間を増やす」(24.9%)という回答でした。
親子で過ごす時間を増やすことが、信頼関係を深める鍵となると感じている親が多いようです。
それでは各回答について深掘りしてみましょう。
3位 本で勉強する(14.3%)
本やネットで子育てに関する情報を収集することも一つの手段です。
親は子どもとの関係を改善するために、専門家の意見や他の親の実践方法を参考にし、実際に取り入れることが大切だと考えている親が多いようです。
子どもとのコミュニケーションや子育てに行き詰まったときには、本やネットを通して、経験者の意見を取り入れてみるのもよいでしょう。
<回答者の実際の声>
「本や雑誌などによる情報収集。YouTubeなどでも子育て情報はあるがほぼ幼児向けなので、もう少し対象年齢が上の子たちの子育て情報があればいいなと思う」(40代 女性)
2位 先輩パパママに相談する(18.2%)
また、「先輩パパママに相談する」ことも有効な方法として挙げられています。
子育てにおける悩みや不安を先輩親たちと共有し、実際の体験談やアドバイスをもらうことで、よりよいコミュニケーション方法を学ぶことができます。
<回答者の実際の声>
「先輩ママであったり、知人であったり、とにかく親子関係について話せる人と会話する。専門家の話を聞く機会があれば参加するよう心がけている」(40代 女性)
1位 子どもとの時間を増やす(24.9%)
親子が一緒に過ごす時間を意識的に作ることが、親子の絆を深めるために非常に効果的だと多くの親が考えています。
例えば、一緒にスポーツをしたり、外出して楽しんだり、日常的に一緒に何かをすることが大切だと感じる親が多くいます。
このような活動を通じて、子どもとの距離を縮めることができ、自然と会話も生まれやすくなることでしょう。
<回答者の実際の声>
「一緒に活動することを増やす。会話だけでなく、一緒にスポーツをするなど外遊びを増やす」(40代 男性)
「共通の趣味をもつこと。子どもが2人いて、2人とも同じ習い事(ピアノ、英会話)をしています。私も楽器をしているので、音楽の話をもう少ししていけたらなと思っています」(50代以上 男性)
子どもが親に話すテーマ
親子間で自然に話題が出るテーマとしては、圧倒的に「学校生活」(64.6%)が挙げられています。
6割以上の親が、子どもが学校での出来事を話題にすることを答えています。
ただし、学校のトラブルや悩みを話すことは少なく、子どもが話しやすい内容(例えば、部活の話や授業の感想など)が多い傾向にあります。
また、ゲームやYouTube、推しのアイドルなど、学校以外の話題も子どもが積極的に話すことがわかりました。
親としては、子どもが話したいと思う話題に耳を傾けることが大切であり、共通の趣味や関心を見つけて会話を楽しむことが、コミュニケーションを円滑にするポイントとなります。
まとめ
親子関係におけるコミュニケーションは、子どもの成長に大きな影響を与える要素です。
調査結果からは、「子どもの話を聞く」「子どもを尊重する」といった親の姿勢が重要であることがわかりました。
しかし、時間の不足や子どもが話したがらないことなど、親子間で感じる課題も多くあります。
そのため、親子で過ごす時間を増やすことや、外部のアドバイスを取り入れることが、親子関係を改善するためには効果的だと言えます。
親子間のコミュニケーションは、双方の努力と工夫によってよりよいものにできるものです。
日々の小さな積み重ねが、子どもとの信頼関係を築き、より深い絆を生むことに繋がります。
- source:アタムアカデミー/PR TIMES
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