共に生きる皆さんへ。こんにちは、野澤卓央です。
幼少期から今に続く人間関係の深層に触れる。
“愛着”が確立されていないと僕たちは、愛されるため、認められるため、居場所を作るためにさまざまな行動をとります。
「愛着(アタッチメント)」とは、特定の他者とのあいだに築かれる深い情緒的なつながりです。
とくに乳幼児期、主な養育者(主要なケアを担った人)との関係の中で形づくられます。
ここで得られる“関係の体験”が、その後の「人を信じて近づけるか」「自分の感情を表現しても安全か」といった生き方の土台になります。
愛着が安定して育っていると人は次のような内的基盤を持ちやすくなります。
- 自分の感情・ニーズを感じてよい
- 人に助けを求めても大丈夫
- 一時的に離れても、見捨てられないと信じられる
- 失敗しても自分の価値がなくならない
- 人がいても自分でいて大丈夫
つまり、「わたしはわたしでいて大丈夫」、そして「誰かとつながっていて大丈夫」という基本的安心感が体の底に生まれます。
ここを土台にして人は挑戦し、世界を探索し、他者と関係を深める余力を持てます。
「愛着」が身についていないとどうなる?

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愛着が不安定で安心感が十分に育たなかったり、ケアが不安定、断続的、予測不能だったり、感情が受け止められずに育つと、子どもは生き残るために環境を読み、「どうすればここにいていいのか?」を必死で学びます。
その結果、愛されるため、認められるため、見捨てられないため、居場所を守るため、防衛のための行動パターンを身につけます。
このパターンは無意識、無自覚のまま大人になっても繰り返されます。
よくあるサバイバル行動(複数が混ざることもある)。
よい子優等生戦略(条件つき愛に合わせる)
- 期待に応えようと頑張り続ける
- 感情や欲求を抑えて「いい人」でいる
- 周囲の空気を過剰に読み、自分を後回しにする
根底にある恐れは、相手の機嫌を損ねたら愛されない、評価が落ちたら居場所がないなど。
成果・貢献で存在証明をする(やめたら価値が消える不安)
- 成績、成果、人助け、仕事中毒で承認を得ようとする
- 休むと不安になる/無価値感に襲われる
- 完璧主義・過剰責任で燃え尽きやすい
根底の恐れは何かしていない自分には価値がないように感じる。
自分を小さくして安全確保(衝突回避型)
- NOが言えない/本音を飲み込む
- 相手に合わせ続け自分の輪郭が薄れる
- 誰かの期待にぶら下がる形で居場所を維持する
根底の恐れは自分を出したら嫌われる、置いていかれる。
試す・攻撃する・距離を置く(近づきたいけど怖い揺れ)
- 拗ねる、怒って引いて相手の反応を試す
- 近づく→怖くなる→突き放すを繰り返す
- 「どうせ傷つくなら先に離れる」自己防衛
根底の恐れは近づくほど傷が深くなる、信じた後で裏切られる。
すべての行動は不健全さの証拠ではなく、当時、生き延びるために最良の選択でした?
子どもは環境を変えられません。だから自分を変えて「愛されるための条件」に合わせます。
そこにはいつも、「愛されたい」「安心したい」「つながりを失いたくない」という切実な命の願いがあります。
不器用に見えるこれらの行動反応は、幼い自分の生き延びるための智慧です。
まずは自分に「よくやってきたね」と出逢い直していくことが大切です。
そして、愛着の歪みは幼少期で固定されるものではありません。大人になってからも再体験、再学習、再編成が可能です。
時間をかけながら、神経系レベルで「安全」だと「応答してくれる他者」を刻み直していくプロセスです。
愛着を育み直す実践として、
1. 安全な場で小さな本音を出す練習
いきなり核心ではなく「今日は少し疲れている」など低リスクの共有を人にしてみる。
2. 人に受け取ってもらう体験を重ねる
気持ちを話したとき、否定されず「そう感じているんだね」と返ってくる経験を意識的に繰り返す。
3. 条件づけを観察する
「役に立たなきゃ」「迷惑かけたら終わり」などの内側の前提に気づく。気づくことは大きな一歩です!
4. 体のサインに寄り添う
胸が固くなる、お腹が冷える、呼吸が浅くなるなど、自律神経の反応を早めにキャッチし、呼吸、接地(足裏感覚)、優しく触れるなど自分の心身に「今は安全」と伝えたり、身体を触る、さすってあげる。
5. 過去の自分に寄り添う内的ワーク
幼い自分が取らざるを得なかった、そのときの行動をイメージし、今の自分がそばにいて「大丈夫」「ここにいるよ」と声をかける練習、再養育(リペアレンティング)。
6. 条件なしの“いていい場”を経験するコミュニティ
評価や成果より「存在そのもの」を歓迎する場、グループに身を置く(依存にならないことが大切)。
僕たちは、どんな適応をしてきたとしても、どんな防衛の為のサバイバル言動をしても、今ここから安心とつながりの土台を育み直すことができます。
親や過去の自分を責めるのではなく、生き抜いた自分に出逢い、癒したとき、より自由に人と出逢い、付き合い、関係性を育む道のりを歩めると信じています。
今日も、生きとし生けるものが平和で安心して生きられますように。
【今日のコツ】
自分の土台が揺らぐとき、自分が何をしているかに気づく。
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