「推しのライブ、どうしても行きたいのに、その日は仕事…」「有給を取りたいけど、なんだか言い出しづらい」。そんなモヤモヤを抱えたことがある方は、決して少なくないのではないでしょうか。
かつて「趣味」は仕事の合間に楽しむものと考えられていました。けれど今、ライブやコンサート、舞台、スポーツ観戦といった「推し活」は、単なる余暇を超えて、働き方そのものを左右する存在になりつつあるようです。
株式会社ネオキャリアが運営するワーク×ライフジャーナル「キャリアトラス」が、年間15公演以上の推し活に参加する20代社会人110名を対象に実施した「20代推し活層の転職・働き方意識調査」。
この調査からは、推しを大切にしながら、しなやかに仕事と向き合おうとする若者たちの姿が浮かび上がってきました。今回はこのデータを紐解きながら、「推し活」と「働き方」の新しい関係について考えていきたいと思います。
推し活と仕事を両立する「働き方の工夫」ランキング
まず注目したいのが、推し活と仕事を両立するために、みんながどんな工夫をしているのかという点です。調査で実践していることを尋ねたところ、次のような結果になりました。
第1位は「公演スケジュールに合わせて有給休暇を計画的に取得している」で43.6%。
実に4割を超える人が、推しの予定を軸に休暇を組み立てているのです。ライブや公演の日程が発表されたら、まずカレンダーに書き込み、そこから逆算して仕事を調整する。「休むために働く」のではなく、「行きたい日に行くために計画的に休む」。そんな主体的な時間管理の姿勢が見て取れます。
第2位は「リモートワークを活用し、通勤時間を短縮している」で27.3%。
遠征や公演後の疲れを考えれば、通勤時間の有無は死活問題ですよね。浮いた時間をチケットの手配やグッズの整理、遠征の準備に充てているのかもしれません。働く「場所」の自由が、推し活の充実に直結していることがうかがえます。
第3位は「残業時間の少ない業務や部署を選択している」で25.5%。
こちらは、そもそも自分の時間を確保しやすい環境を選ぶという、より根本的な工夫です。定時で帰れれば平日のイベントにも参加でき、心にも余裕が生まれます。約4人に1人が、業務内容や部署選びの段階から推し活を見据えているというのは、なかなかにシビアで戦略的な判断だと言えるでしょう。
休暇の取り方、働く場所、そして部署選びまで。推し活を一つの軸にした働き方の工夫が、幅広く広がっている様子が伝わってきます。
推し活の経験が「仕事に活きる」という声も

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興味深いのは、推し活が仕事の「妨げ」になるどころか、むしろプラスに働いていると感じている人が多いことです。推し活の経験が仕事に活きていると感じる場面を自由回答で尋ねたところ、次のような声が寄せられました。
- 推し活を楽しみに日々の業務に取り組むことができている
- スケジュール管理や計画性が身についた
- コミュニケーション能力の向上につながった
- 動画編集や画像編集などのスキルが業務にも活きている
- 行動力や情報収集力が身についた
チケットを取り、遠征を計画し、同じ推しを応援する仲間とつながり、時には自分で映像を編集して発信する。推し活は、実はかなり高度な段取り力と行動力が求められる活動でもあります。そこで培われた力が、知らず知らずのうちに仕事の現場でも発揮されている。「好き」を追いかけるエネルギーが、そのまま働く原動力になっているのだとしたら、とても素敵なことではないでしょうか。
約5人に1人が年収700万円以上という現実
「推し活にお金がかかる」というイメージを持つ方も多いかもしれません。実際、収入状況を尋ねた設問では、最も多かったのは「200万円~300万円未満」で20.0%でした。
一方で見過ごせないのが、高収入層の存在です。「700万円~1,000万円未満」が14.5%、「1,000万円以上」が7.3%。両者を合わせると、年15公演以上に参加する20代の21.8%、およそ5人に1人が年収700万円以上という結果になりました。
収入帯には大きな幅がありますが、しっかりと稼ぎながら推し活を継続している層が一定数存在することがわかります。推し活は「浪費」ではなく、収入を確保したうえで前向きに人生を楽しむための「投資」。そう捉えている人が、確実に増えているのかもしれません。
転職時、8割超が「推し活との両立」を意識
そしてこの調査で最も象徴的だったのが、転職と推し活の関係です。まず転職経験を尋ねたところ、55.5%が「転職経験がある」と回答。20代にして、すでに半数以上がキャリアの見直しを経験していることになります。
さらに転職経験者に、直近の転職時に推し活との両立を意識したかを尋ねると、「非常に意識した」50.8%、「やや意識した」32.8%を合わせて、なんと83.6%が「意識した」と回答しました。
転職という人生の大きな決断において、推し活との両立が重要な判断材料の一つになっているのです。
転職で重視した条件ランキング
では、推し活との両立を意識した人は、転職時にどんな条件を重視したのでしょうか。こちらもランキング形式で見ていきましょう。
第1位は「リモートワークが可能であること」で62.7%。
6割を超える圧倒的な支持です。働く場所を選べることは、遠征や体調管理の面でも大きなメリット。通勤に縛られない働き方が、推し活層にとって最優先の条件になっていることがわかります。
第2位は「有給休暇が取得しやすいこと」で47.1%
どれだけ有給の制度があっても、実際に取りづらい雰囲気があっては意味がありません。「気兼ねなく休める」職場かどうかを、転職の段階でしっかり見極めようとする現実的な視点がうかがえます。
第3位は「残業時間が少ないこと」で37.3%。
自分の時間を確保できるかどうかは、推し活の充実に直結します。給与や役職といった従来の条件だけでなく、「自分の時間を柔軟に使えるか」を軸に職場を選ぶ。そんな価値観の変化が、このランキングにはっきりと表れています。
両立を意識した転職者の8割超が「満足」
こうした選択は、実を結んでいるようです。推し活との両立を意識して転職した人に満足度を尋ねたところ、「非常に満足している」41.2%、「やや満足している」43.1%を合わせて、84.3%が「満足している」と回答しました。
自分のライフスタイルを正直に見つめ、それに合った働き方を選ぶ。その誠実な選択が、高い満足度につながっているのです。
まとめ

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かつて趣味は「仕事の合間の楽しみ」でした。けれど今の20代にとって、推し活は働き方やキャリアを設計するうえでの、確かな「軸」になっています。
推しの予定に合わせて有給を計画し、リモートワークや残業の少なさで職場を選び、時には転職という決断すら推し活との両立を見据えて行う。それは決してわがままなのではなく、「自分にとって本当に大切なものを大切にしながら働きたい」という、とても真っすぐな願いの表れなのだと思います。
そして、推し活で培った計画性や行動力が仕事に活き、8割を超える人が転職に満足している。この事実は、「好き」を大切にすることと、しっかり働くことは、決して相反しないと教えてくれます。
推し活をしている方も、何か夢中になれるものがある方も、「自分の“好き”を守れる働き方とは何か」を、改めて考えてみる。それが、これからの時代を自分らしく歩んでいくための、小さくて大きな一歩になるのかもしれません。
- source:キャリアトラス(via PR TIMES)
- image by:Shutterstock AI/Shutterstock.com
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