ある日、娘が「レモンが食べたい」といいました。その内容がよく聞き取れなくて、私は3度聞き返しました。「3度も」です。
でも、娘はずっと変わらないトーンで、「レモンが食べたい」といい続けたのです。本来なら苛立ちに繋がりそうな会話のやりとり。ここから、何がわかるのでしょうか?
感情は思考に忠実
なんてことはない会話。でも、ここで思ったのです。私だったら、3度も聞き返されたら、「もういい」と諦めるか、逆ギレして「なんで聞こえないの!?」というか…とにかく、何かしらの感情が湧くような気がしたのです。でも、娘は淡々と答えただけでした。その娘の姿に「たしかに」と思いました。
相手に聞こえなかったからって、諦める必要も、怒る必要もまったくない。では、なぜ諦めたり怒ったりしてしまうか。それは、心の奥底でこう感じているからではないでしょうか。
「なんで聞いてくれないの!いつもママは(他人は)私の話を聞いてくれない!どうせ私なんて…」
このように、自己否定や無価値観の思考が無意識に沸いているから、感情が揺れ動いてしまうのだろうと思うのです。
感情というバロメーター
ちなみに、先ほどの娘の対応ですが、いつもこうとは限りません。私がよく聞こえなかったから聞き返すと、逆ギレすることもあります。そんなときは娘のなかで何かしらの感情が沸いているはず。なので、私はそういうときも見逃さず、娘にはこんな声をかけています。
「そんなに怒らなくてもいいよね。普通に話してもいいじゃない?もしかして、何か嫌な気分を感じることがあったの?」
そうすると大概出てきます。「さっきあんな風にいわれたのが嫌だった」とか「今日学校でこんな嫌なことがあった」とか。
だから、「その嫌な気分を抱えたままずっと悶々としていたらまた嫌な気分になることが起きるよね。ちゃんと吐き出そうね」と声をかけるようにしています。
自分のことにしても、子どものことにしても、「感情」というバロメーターを基準にすると本当の原因にアクセスできる。対処法も見つかって心のなかがとてもクリアになると感じています。
これは「隠しごとができない関係」「嘘がつけない関係」にもつながっていくので、親子の絆はどんどん深まっているとも感じています。