毒は連鎖する
さて、もしもあなたの親が暖かい家庭で愛情たっぷりに育ってきたのであれば、そもそもあなたの親は毒親にはなっていないかと思います。
私たちは家庭の中で教わること、体験からの学びをベースにして、「人とどう接すればいいのか」「何が正しくて、何が悪なのか」などを判断するからです。
つまり、あなたの親が毒親なのであれば、あなたの親が抱えていた問題は、実は親から子へと脈々と受け継がれてきた、家庭の価値観や、家族の人間関係などから生み出されたものであり、あなたの親も実は毒親、毒家族の被害者であるという可能性がとても高いということがいえるかと思います。
だからといって、なにも毒親を許してあげましょうとか、毒親に同情しましょうとか、辛く苦しい過去は忘れて前を向きましょうとか、そういう話ではありません。
これまで起きてきた(起きている)事実を冷静に、客観的に見て、真実を受け止めることを強く、とても強く意識していきましょうということをお伝えしたいのです。
なぜなら、事実を冷静に客観的に見ることなく、感情的に、自己防衛的に受け止めてきたから、毒親家系というネガティブの連鎖を誰も断ち切れなかったということだからです。
それは本当にあなたの「性格」や「特性」なのか?
次のようなことを客観的に分析してみると、どういう価値観が脈々と受け継がれ連鎖しているのかが見えてきます。
- 親の子どもに対する態度や接し方はどうなのか?
- 親は子どもにどういう態度や接し方を当たり前だと思っているのか?
- 親の子どもに対する考え方はどうなのか?
- 子どもという存在についてどう考えるのが当たり前だと思っているのか?
- その家庭の中で、子どもはどういう存在として振る舞うことを求められてきたのか?
例えば、「子どもは無垢な存在なのだから、子どもの前で汚い言葉を使ったり、嘘をついたり、不信感を持たれるようなことを言ったりやったりすることは絶対にいけない」という考え方を持った家族の中で育った子どももいれば、「子どもはわがままで自分勝手な存在なのだから、いちいち親が介入し、善悪を厳しく教え込まなければ、人様に後ろ指を指されるなど、結果として親が恥じをかくことになる」という考え方を持った家族の中で育った子どももいるわけです。
こうした子どもに対する考え方は、「育児方針」にも当然ながら影響します。
こうした親の方針、家族の中の常識、ルール、価値観などを無自覚に「内面化」した子どもは、それらがあたかも最初か持って生まれた自分の「性格」「特性」かのように認識してしまいます。
親や家庭環境から刷り込まれたものを「自分の性格」「自分の特性」みたいに勘違いしたまま信じてしまうなんて、本当に悩ましいですね…。
僕自身、幼いころに親から言われた「お前は足が遅いね」「運動オンチだね」という言葉に呪いのように縛り付けられ、学校の体育の授業や運動会が本当に大嫌いでした。
大嫌いだから練習をしない…。だから余計に苦手になる…。
当時の僕自身に「避ければ避けるほど余計に苦手意識が強くなるよ~」と「心の仕組み」を教えてあげたいものです。