受け継がれがちな“当然”の価値観
…おっと、「内面化」に話を戻します。
親(家庭)から内面化することは、次のようなことが挙げられます。
- 何が正しくて何はいけないのか?
- 自分はどんな人として振る舞うべきなのか?
- 家族以外の人とはどう付き合えばいいのか?
- お金とはどういうものなのか?
- 働くとはどういうことなのか?
- 学ぶとはどういうことなのか?
- 責任感とはどういうことなのか?
- 反省するとはどういうことなのか?
- 愛情をかけるとはどういうことなのか?
- 結婚するとはどういうことなのか?
- 家庭を持つということはどういうことなのか?
ほかにもここには書き切れないほど、生きる上での基本的な「モノの見方」「考え方」「振る舞い方」などを内面化します。
こうしたあらゆる基本的なものの見方、考え方の多くは、家庭から学んだことが内面化したものがベースになっているのですが、残念なことに、毒親(毒家族)の場合は、こうした基本的なものの見方、考え方が、極端に独善的で自己中心的で自虐的で制限的なのです。
ネガティブな連鎖が起きるわけ
そのうえ、独善的で自己中な考え方を押し通すために、事実を親の都合の良いようにねじ曲げ、そのねじ曲げた解釈を子どもに教え込ませようとしたりもします。
しかし子どもは、親から教わったことが事実なのか、それとも親の都合でねじ曲げられたものなのかはわかりません。
子どもは、結局はただただ親の教えを受け取り続けるしかできないので、受け取ったものは無自覚に「内面化」されていくのです。
例えば、
「子どもが親の面倒をみるのが当然」
「子どもは親のいう通りにするのが当然」
「親は子どもに何をしても許される」
「私は◯◯な人間だ」
「私は◯◯しなければならない」
「私は◯◯してはいけない」
などなど…。
子どもの人格や尊厳や生き方を無視し、まるで「奴隷」「従者」のように子どもを扱うことが当然だという独善的な考え方を持つ家庭で育った子どもは、頭では「自分が親になったら我が子にはこんなことはしない」と思っていても、無自覚にこうした教えを義務やルールとして「内面化」してしまっているので、自分が親になったときにも、自分の子どもに対して自分がされてきたことと同じことを子どもにしてしまうことは少なくないのです。
この毒親家系によるネガティブの連鎖については、また次回に続きます。
次回の『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』は2021年10月20日公開予定です。
【連載】『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』
【1】「生きづらさ」の根本にあるものは…?私の幸せを阻む「毒親」の呪縛
【2】私は「毒親」育ちだったのか?いま、生きづらさの原因を考える30の質問
【3】親の不仲も不機嫌も「自分が悪いせいだ」と思って育った、毒親育ちの人へ
【4】毒親に言われ続けた「あなたのため」。その支配から抜け出すための、はじめの一歩
【5】わけもなく不安になる。毒親育ちが無意識の苦しみを手放すためのワーク
【6】人が怖い、居場所がない、価値がないetc…毒親育ちの持つ悩ましい感覚
【7】私は何をやってもできない人だ。毒親育ちの悩ましい思考の手放しかた
【8】だから僕は、人が怖い。毒親育ちが「生きづらい」人生から抜け出すまでの道のり
【9】離婚したのは、僕のせい?「親の離婚」で傷ついた心の癒し方
【10】それって本当に子どものため?親の「責任」と「過干渉」のボーダーライン
【11】家庭内につくられたヒエラルキー。子どもを弱者に仕立て、支配する親たち
【12】対人関係がシンドイ。側から見ると順風満帆な彼の人生が“難あり”なわけ
【13】支配的な父親に従ったエリート役員の人生が、中年期に危機を迎えたわけ
【14】父親のDVは家族だけの秘密。なぜ毒親家庭は崩壊していくのか?
【15】愛情と苦痛はワンセット。大人になっても抜けない毒親育ちの思い込み
【16】いい親子関係を築けなかった子は、友人関係や恋愛でつまずきがちなのか?
【17】親に“いい子”の期待を押し付けられた子は、なぜ人生につまづいてしまうのか?
【18】家族のからかいがイジメに。自称「ダメ人間」な彼女の、悲しい生い立ち
【19】「無条件の愛」を与えられずに育ったあなたが、心の空洞を埋めるヒント
【20】東大に行け、官僚になれ…親に命じられた“責務”を全うしたエリートの「その後」
【21】毒親の呪縛を抜け出し「自分らしく生きる」ために、今日からできること
【22】僕は、どうせ無力で無能…。自己肯定感が「ない」子どもたちの苦悩
【23】虐待する親によくある4つの特徴。なぜ彼らは子どもに手をあげてしまうのか?
【23】虐待されている子は、なぜ傍観しているだけの親を「悪くない」と思うのか?
【事例1】鬱の母と、子に頼る父。毒親と共依存していた彼女が、親子の縁を断ち切るまで
【事例2】気づけば、3度目の離婚。彼女が「ダメンズ」ばかりを選んでしまったワケ
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