こんにちは。韓国在住歴3年、日本語教師でライターのHAZUKIです。Webメディア「by them」で、韓国の今を切り取り、生の情報をお届けしています。
みなさんは海外で事故に遭ったり、入院したりしたことはありますか?
筆者は2019年に韓国で交通事故に遭い、1カ月ほどの入院を経験しました。今回は、筆者の「韓国での事故体験と入院体験」をお話しします。
100%の過失
事故に遭ったのは、ちょうどビザと外国人登録証という韓国のマイナンバーのようなものを手に入れたころ。「ようやく手に入れた」という思いから、以前よりも生活範囲を広げて遊んでいたので、気が緩んでいたのだと思います。
そのころの韓国では、「電動キックボード」というものが流行していました。簡単なアクセルとブレーキがあるキックボードです。
まだ発売されたばかりだったので、車道を走るか歩道を走るかの規定がなく、筆者は人通りが少ないお昼すぎにいつも歩道を通っていました。
横断歩道を渡るとき、信号が点滅しているにも関わらず、「キックボードならいける!」と無謀にも飛び出してしまったのです。そこで直進する車とぶつかりました。
事故を経験してからわかったのですが、電動キックボードに乗るためには自動車運転免許が必要でした。キックボードを購入するときにそのような話はありませんでしたが、刑事さんたちのなかでは、「よく知られていないから、危ないよね」と話題になっていたようです。
その交通事故でかなり揉めて、そのうえ相手側からは、「助手席に乗っていた娘がショックを受けて会社に行けなかった分の慰謝料」を請求されました。こちら側も弁護士を立て、何とか支払わずに済みましたが…。
いま思うと権利を主張するのはごく当たり前のことですし、韓国人は日本人と比べてもはっきりと物事を主張する傾向があります。しかしまだ韓国に来て日が浅かった筆者は、そんな韓国人の特性に慣れておらず、また思わぬ事故で気が動転していたこともあり、自分が悪かったにも関わらず「韓国人や韓国文化に対する嫌悪感」を抱いてしまいました。
そんな筆者の身勝手な嫌悪感を、入院したときに出会った韓国の方々が払拭してくれたのです。
病院で出会ったユニークな韓国人たち
まず、お医者さんや看護師さんがとても親切でした。
言葉はもちろん韓国語なので、渡航して間もない筆者にはわからない部分が多かったのですが、韓国人の夫と電話をつなぎながら話をしてくれたり、翻訳機を使いながら丁寧に説明してくれたりしました。
「外国人だからどうせ説明してもわからないだろう」という感じは一切なく、後ろに予約が詰まっているにも関わらず何度も説明してくれました。片言の日本語であいさつをしてくれる看護師さんもいました。
また、病院食も口に合いました。回復状態にあったので普通食を出してもらえたのですが、辛すぎない病院食は味つけもほどよく、飽きずに食べられました。まわりの人は「ここの食事はおいしくない!」と言っていましたが…。
最初の数日は個室で過ごし、そのあと4人の大部屋に移ったのですが、同じ部屋にユニークな人がたくさんいました。
隣のベッドの学生さんは、病院が出してくれた食べ物だけしか食べてはいけない時期なのに、看護師さんに隠れてこっそりチキンやハンバーガーを出前して食べていました。
でもこれ、匂いでわかるんですよね。毎回、「何度も言っているでしょう!それじゃ体がよくなりませんよ!」と注意されていました。
向かいの病室のおじいさんとはとてもツンデレでした。看護師さんやお医者さんにはツンツンしていたのに、パートナーが来たときは「待ってたよ~」と嬉しそうに笑顔を見せるのです。
病院で出された食事には一切手をつけず、パートナーが作ってきてくれたお弁当を食べていました。彼女は「めんどくさい」と言いながらも幸せそうでした。
まったく言葉が通じないにも関わらず、なぜか私の手相を占ってくれたり、自動販売機のコーヒーを奢ってくれたりする方もいました。手相の占いで、「今年は事故に遭いやすいから気をつけて」と言われたときは笑いましたが…。
韓国人もあまり経験しないだろう交通事故で抱いてしまった、韓国人に対する筆者の一方的で身勝手な嫌悪感は、このような素敵な出会いによって、完全に払拭されました。
でも、みなさんは韓国で事故に遭ったり入院たりしないように気をつけてくださいね!
- image by:Unsplash
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。