みなさま、こんにちは。思春期・発達障害療育専門カウンセラーの飯塚ひろみです。
きょうは、不登校のタイプのひとつ、「情緒混乱型」についてお話します。
「情緒混乱型」とは
こちらのタイプの不登校はいわゆる「いい子息切れタイプ」でもあるのですね。「真面目で優等生、しっかり者のお子さんに多く見られる症状」です。このタイプの特徴は、
- 感受性が強い
- 内向的な考え方をしがち
- 勉強やスポーツを頑張る
- 親や先生の期待に応えようとする
- 真面目で几帳面、完璧主義、神経質な性格である
- 不登校になる前は皆勤賞に近い状態
- 登校できないことへの罪悪感が強く、家に閉じこもりがち
などが挙げられます。
これまで勉強も運動も完璧にこなし、毎日休まず学校に通っていた子どもが、ある日突然、学校に行きたがらなくなってしまうと、お父さんもお母さんもとても心配になってしまうと思います。
「何がいけなかったの?」「私が何かしちゃったから?」と、不安で自分を責めてしまうことでしょう。ではなぜ、真面目に過ごしてきたお子さんが学校に通えなくなってしまうのでしょうか。
その原因のひとつに「挫折感」が挙げられます。
これまで一所懸命に頑張ることで親や先生に褒めてもらい、必死に100点や1番をキープしてきた子どもも、学年が上がり、中学校に入るとさらに勉強も難しくなり、運動も打ち込めるほど時間が取れなくなってくるなど…ライフスタイルが変化をしてくると、思うようにいかなくなることが増えてきて、つまずきや挫折を味わうようになってくるのですね。
もちろん人間ですから、失敗は成長として捉えていけばいいのですが、このタイプの子どもは常に「完璧な自分でないといけない」と思い込んでいるので、少し下がった成績や順位が受け入れられず、努力しようとしても忙しい日々のスケジュールに振り回されて時間が取れず、心身ともに疲弊してしまうんですね。
なので、情緒混乱型の注意点は、
- これまでの本人の努力を認めてあげる
- 本人の挫折感も認めていく
- いまの状況を変えようと過度に褒めたり励ましたり、より頑張らせようとする声掛けは逆効果なのでしない
- 期待を掛けないようにと態度を一変すると、見捨てられたのではないかと感じてしまい、不安を増幅させてしまうことがあるので注意する
- 本人が登校したいと言うまで登校刺激は避ける
- 子どもの考えを聞き、意思にあった目標や勉強の進め方を一緒に考えサポートしていく
ことが大切になってきます。
情緒混乱型の接し方ポイントは、「励ましすぎても駄目、励まさなくても駄目」という、声掛けの線引きが難しいのが特徴です。
なので、「これまで通りに頑張ってほしい」という気持ちは押さえて、頑張りすぎてしまった子どもを労わるような優しい気持ちで接してあげてくださいね。
そして、徐々に「できる自分もいいけど、できない自分があってもいいんだ」という気持ちに子どもがなるように、声掛けしてみてください。
自己肯定感が高まってくると、自然と登校意欲も湧いてきます。それまでは無理に登校刺激はせず、学校の先生と連携しながら子どものいまの居場所を大切にしてあげてください。
不登校は時間がかかる場合が多いです。ご自身がストレスを溜めないよう、コミュニケーションのチャンネルは多く持ち、ストレス発散を積極的にしながら家では笑顔でいるようにしてみてくださいね。
きょうの実践課題
- 子どもが成績が下がって落ち込んでいたり、スポーツなどでいい結果が出せなかった際に、あなたはどのように声掛けをしていこうと思いますか?さまざまなシーンを想定し、対応を考えてみましょう。
- 子どもが失敗や挫折を乗り越えるためには、どのような声掛けや接し方が望ましいと思いますか?自身の失敗談を話す、黙って側にいるなど対応を考え、書き出してみましょう。
お手元のノートで書き出してみてくださいね。書き溜めたノートは世界に一つだけの教科書になっていきます。
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- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
- ※こちらは秋田県総合教育センター特殊教育、相談研究部作の「タイプや状態に応じた不登校児童生徒への対応」を基にしております。