みなさま、こんにちは。思春期・発達障害療育専門カウンセラーの飯塚ひろみです。
きょうは、不登校のタイプのひとつ、「ストレスなどで神経症を伴うタイプ」についてお話します。
「ストレスなどで神経症を伴うタイプ」とは
このタイプは、
- 几帳面・完璧主義なところがあり、こだわりを持っている
- 自分の内的な世界にこもる
- 頭痛や吐き気、腹痛、発熱など身体症状がある
- 「○○しなければならない」などの強迫性の神経症状を出す
- 摂食障害や自傷行為などをすることがある
- 情緒混乱型の一部の子どもに、この症状がでる場合がある
という症状がみられます。
ストレスが原因となって心身ともに悲鳴をあげてしまっていることが多く、これまでご紹介したタイプの2次的に生じてくることが特徴です。
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このタイプのお子さんは、対人関係や家庭生活などのストレスから自分自身を否定的に見てしまい、自分の考え、見方、感じ方など内面的なストレスから症状を加速させていくことがあるのですね。
そして、登校時や授業中に頭痛、吐き気、腹痛、発熱などの身体症状を訴えるようになり、次第に遅刻早退が目立つようになってきます。こうした子どもからのサインを見逃さないようにしていきましょう。
- 「だるい…」
- 「疲れた、行きたくない…」
- 「気持ちが悪い、頭が痛い…」
- 「みんなが私のことを嫌っている…」
など、子どもによってサインの出し方は違いますが、徐々に否定的な言葉を言うようになり、登校を渋るようになっています。
このような症状が見られたらすぐに「子どもを取り巻く背景・立場発見」をして「どの立場・場所で葛藤をしているのか」見つけていく必要があります。なぜなら、このタイプの子どもは対人関係の対処がうまくできないことが多く、一人で抱え込みやすい、マイナスに捉えやすい傾向があるからです。
また、思春期は人間関係が複雑になってくるので、揺れ動く感情が制御できない、さまざまなストレスから心に負担が掛かる…などから発症することが多く、自分を限界まで追い込んでしまうことがあるので、信頼できる相談機関や医療機関なども視野にいれながら対応していきましょう。
対応が遅れて症状が加速してしまうと、
- 自分が嫌われているのではないかと思い込む
- 自分の容姿が酷いと思い込み、何度も何度も鏡を見る、もしくは全く見なくなる
- 自分の身体や衣類、部屋が汚れて入いるのではないかと思い込み、何度も洗ったり拭いたりする
- 太っているのではないかと思い込み、全く食べなくなる
- 気持ちが高ぶったり落ち込んだりを繰り返すようになる
- 突発的な行動や、不自然な動き、脈略のない会話、普段を様子が違う、幻覚・幻聴・被害妄想などが出る
など、対人恐怖症・醜形恐怖症・不潔恐怖症・潔癖症・摂食障害・双璧障害・うつ病・躁病・統合失調症などに繋がってくるケースもあります。
このような場合、親がとるべき対応は
- 本人の訴えを受容・共感し、たっぷりと苦しみ・悲しみを聞く時間をとる
- 気持ちを理解していくことに時間をかける
- 受容と共感を繰り返すなかで、本人の症状が軽くなったりストレスが軽減されてくるような様子がみられたら、ストレスによる神経症の可能性とみることができる
- どれだけ聞いても症状が緩和されない、悪化している…と感じたら精神病の疑いがあるので、すぐに専門医のところへ行き、適切な対応をとるようにする
必要があります。
このタイプの子どもは、物事がうまくいかないことへの焦りや怒りが原因で混乱し、自分を内側へ追い込むことがあるので、共感的に話を聞くと同時に、「学校からの電話や家庭訪問などの刺激は一時控えて、しばらく休んでもいい」ということを本人に伝え、安心感を与えることを優先してください。
また、このタイプの不登校は、医療機関や専門機関との連携を伴ってくるので、親への負担も大きくなります。ご自身が不安や緊張が高まり「苦しい」と感じることが多いのです…。
なので一人で抱えず、胸の内を全て話せる場やカウンセラーへ相談し、ご自身がストレスを抱えないようにしていきましょうね。
きょうの実践課題
- 子どもの行き渋りの背景にストレスが感じられる場合、どのように原因を探っていこうと考えていますか?先生に話を聞く、ママ友・パパ友から情報を集める、本人と話し合うなど思いつく対応を考えてみましょう。
- 学校に行く時間になると体調を崩すなど、体調に変化が現れたときに頼れる場を設けていますか?子どもの信頼できる医療機関、カウンセラー、鍼灸師など身体のケアをできる場を作り、医学的なアプローチをしていきましょう。
お手元のノートで書き出してみてくださいね。書き溜めたノートは世界に一つだけの教科書になっていきます。
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- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
- ※こちらは秋田県総合教育センター特殊教育、相談研究部作の「タイプや状態に応じた不登校児童生徒への対応」を基にしております。