みなさま、こんにちは。思春期・発達障害療育専門カウンセラーの飯塚ひろみです。
現在、不登校についてシリーズでお送りしております。今回は「不登校のタイプ:混乱型」についてお話しします。
「混乱型」とは
このタイプは「甘え依存型」とも呼ばれ、感情が揺れ幅が一番大きいのが特徴のタイプです。
どのような特徴がみられるのかというと、
- 友達との間での些細なトラブルが原因で、登校を渋るようになる
- 学校で失敗したことがきっかけとなり、行き渋りをみせるようになる
- 実年齢に比べて、精神的な年齢が幼く感じられる
- 我慢をする、自分のことは自分でするなど、自立への意識が十分に育っていない場合が多いことがある
- 現実逃避・回避傾向が強い
- 何かを最後までやりとげる…という経験が少ない、またはない
- 学校の規則やルールなど、集団生活でのマナーを守ることについて、欠落している部分がある
- 基本的な生活習慣が身についていないことが多く、生活リズムが崩れがちである
- ストレスを感じると情緒不安定・混乱し、身体にもさまざまな症状が現れたりするが、深く落ち込んだり悩んだりする様子が見られず、無気力のように感じられる
という感じです。
情緒が安定せず、不安定な様子を見せていても、悩んだりすることが少なく見えたりするので、お母さんとしては「一体、我が子に何が起こっているの?」「この子の考えていることがわからない…」と、困惑してしまったりします。
学校でのトラブルが原因なのか、本人の自立心が原因なのか…線引きが非常に難しいタイプでもありますが、実は本人も自分の気持ちがわからないというのが本当のところなのです。
おそらく、本人のなかでは「少し進むと壁がでてきて、回避してもまた壁がでてきて、どっちの方向を向いても壁だらけで身動きが取れない」。こんな状況なのだと私は思っています。
なのでここは、適切な対応をしていく必要があるのです。お母さんは子どもにしっかりと寄り添い、導いてあげましょう。接し方の注意点をまとめると、
- このタイプは非常に恥ずかしがり屋さんが多いので、自己表現をすることに抵抗を感じているため、社会的・情緒的に成長を促していく必要がある
- 責任を回避しがちなので、本人の心を傷つけないような自主性・自発性を育てる仕組みを作っていく
- ストレスに敏感な一方で、焦りや不安が少ないタイプなので、見守るだけの対応だと長期化・慢性化する場合がある
- 課題をタスク整理し、段階的に与えていく
- 課題に直面するたびに対処の方法を教え、それを繰り返すことによって本人の課題解決能力を養っていく
- 夢ややりたいことなどが明確でないことが多く、無気力に感じることもあるので、さまざまな体験を通して意識の幅を広げていく
というところに注意していく必要があります。
子どもが「失敗が怖い、失敗したくない、恥ずかしい」と思う気持ちを持つことは当然のことです。なので、その気持ちを受け止めつつ、
- 失敗は成長につながるんだ
- 失敗する自分でもいいんだ
- 失敗した自分でも、お父さんお母さんは自分を嫌いにならないんだ
という精神的な成長をサポートし、「失敗は次へのチャレンジをするためにあるんだ!」と本人が思えるようにし、「失敗しても恥ずかしくない」という意識を育ててあげましょう。
混合型の子どもは目標や目的、夢を見失ってしまうタイプなのですが、最初からいきなり大きな課題や目標を掲げず、「いまできるところから一歩ずつ」を心がけて接してみてくださいね!
きょうの実践課題
- 子どもが自分自身に葛藤をしているときに、どのように声掛けをしていきたいと思いますか?感情の起伏が激しい場合や、落ち込みが激しい場合など、それぞれの場面について関挙げてみましょう。
- 子どもが感情的になっているときや、挫折して傷ついているときの対応について、あなたができる声掛けや接し方はなんだと思いますか?子どもを一人の「個人」として考え、一人の大人として何ができるのかを考えてみましょう。
お手元のノートで書き出してみてくださいね。書き溜めたノートは世界に一つだけの教科書になっていきます。
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- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
- ※こちらは秋田県総合教育センター特殊教育、相談研究部作の「タイプや状態に応じた不登校児童生徒への対応」を基にしております。