親を「許す」目的は、立派な人間になるためじゃない
「許す」目的とは、親を好きになるとか、人を許せるような立派な人間になるためではありません。
少なくともセラピストである僕は、そのような目的で「許し」について話すことはいっさいありません。
いま、あなたとパートナーとの関係がよくなるために。恋愛相手との関係、また恋愛自体がよくなるために。お金や豊かさとの関係がよくなるために。あなたと人生との関係がよくなるために「許す」のです。
「許す」とは、いまのあなたに影響しているものから、あなたが自由になる手段なのです。
少し話から逸れますが、心に与えている影響力の話で、僕にはこんな経験があります。
僕が離婚をしてしばらく経ったとき、いまだ同じ職場で働いていた元奥さんを見て「あれ、彼女ってこんなに小さな女性だったんだ」と感じたのです。
離婚をするまでの3年ほどのあいだ「別れたい」と言う彼女をなんとか説得しようと必死でした。
僕の心のなかでは、彼女に愛されることがとても大きな課題だったのです。そのときは彼女が、僕の心のなかの大きな大きな存在になっていたのだと思います。
愛されたい思いや気持ちが間違いと言うことではありません。ただ、愛されたい・認められたい気持ちは、自分の心のなかの相手を大きく感じさせるのです。
彼女と別れて愛されたい気持ちが少し減ったとき、僕は等身大の彼女を見ることができました。
「愛されたい」「愛したい」気持ちのバランスが、本当は僕の結婚生活での課題だったのだと思います。
いま、実際に親があなたの人生になにかの影響を与えているのではありません。あなたの心のなかにいる大きな存在が、いまのあなたの人生に影響を与えているのです。
離婚するまえ、僕は妻に愛されないことは人生の死に近いように感じていたのだと思います。
思い出してください。私たちにとって親とは大きな、大きな、大きな存在だったのです。