20代後半~30代が陥りやすい、不安な状態や悩みから抜け出せない状態のことを「クォーターライフ・クライシス」と言います。
具体的にクォーターライフ・クライシスとはどのような状態なのか、そしてどうすれば乗り越えられるのか、気になっている人も多いでしょう。
今回は実際にクォーターライフ・クライシスを経験した人たちの実体験を交えながら、原因や乗り越え方を解説します。
クォーターライフ・クライシスとは?
クォーターライフ・クライシスとは、20代後半~30代ごろに漠然とした不安や悩みを抱えてしまう状態のことを表しています。
周囲が自分よりも優れていて活躍しているように見えたり、人生への不安が募って自分らしさがわからなくなってしまったりする現象です。
理想と現実のギャップに直面し、苦しさを感じる場合もあるでしょう。
「自分はなんのために生きていて、どのような人生を送り、何をしたいのか」。そんな悩みが膨らんでいくと、次第に幸福を感じにくくなってしまいます。
精神的な落ち込みが現れやすいため、「人生の低迷期」と呼ばれることも多いようです。
クォーターライフ・クライシスの5つの段階
アメリカやイギリスでは、すでにクォーターライフ・クライシスが一般的になっています。
そんななか研究者のオリバー・ロビンソン氏は、自身の論文でクォーターライフ・クライシスには5つの段階があることを示しています。(参考:Oliver Robinson 「Emerging adulthood, early adulthood and quarter-life crisis: Updating Erikson for the 21st Century」)
- 仕事や恋愛で「私の選択は、私自身のためになっていない」「あのときの判断は自分のためにならなかった」など、自分の選択に不安を感じる状態。
- 一段階目の自分を問題視し、なんとか状況打破をしようと考える。思い切って行動してみようと思い始める。
- 仕事や恋愛など、自分の行動を縛り付け、自由を奪っていたものと決別する段階。自分の内面と向き合い、自分の本当の望みを見つめ直す時期。
- 行動のペースはスローでありつつも、しっかりと人生を立て直していく段階。人生に希望の光が見えてくる。
- 興味を持ったことや自分が打ち立てた目的に向けて、熱心に取り組むこと。
ここからは、実際のエピソードを見ていきましょう。
「自分の気持ちと向き合い、現状打破につながった」(28歳/女性)
「26歳になったころ、クォーターライフ・クライシスに陥りました。当時会社の事務をしていたのですが、バリバリ営業で働いている同期や、自分の好きな仕事をしてキラキラ輝いている同僚を見て、どうしようもない虚しさに襲われたんです。自分にはもっとやりたい仕事があったのに、どうしてできていないんだろう…って」
周囲と自分を比較し、クォーターライフ・クライシスになってしまったというトモミさん(仮名)。その後、思い切った決断が状況を一転させます。
「上司に、事務から営業に異動したいと異例のお願いをしました。いまの仕事が嫌いなわけではない、でももっとアクティブに働きたい。そんな私の願いを叶える方法だと思ったんです。大きな決断でした。だからじっくり時間をかけて考えましたよ…。でも、自分の内面の声に耳を傾けたら、これが一番ベストな決断だったんです」
自分の思い切った行動により、トモミさんはその後クォーターライフ・クライシスを無事に脱出します。
自分の心と向き合う時間を大切にしたからこそ、納得のいく決断ができたんですね。