配偶者と離婚したいけれど、条件などで折り合いがつかず話し合いができなくなったとき、利用できるのが離婚調停です。
誰でも申し立てが行える調停は、ひとりでも続けられる反面人によって進行のスピードに差があり、離婚が成立するかどうか結果が出るまで時間がかかるのが難点。
調停中の過ごし方に悩む人は多いですが、離婚という人生の一大事を話し合うなかでメンタルをどう維持すればいいのでしょうか。
実際に離婚調停を利用した人のケースをご紹介します。
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「心の支え」を作ること(女性/39歳/小売業)
「家庭でのモラハラがひどく、家事も育児もしなければパートでしか働く時間のない私に『役立たず』と毎日のように罵ってくる夫に心が壊れ、離婚を決意しました。
暴言を録音してそれを両親に聞かせたら『すぐ別れたほうがいい』と言われ、ふたりの子どもを連れ別居。
夫は『どうなっても知らないからな』と私の両親にまで脅しのような言葉を吐き、話し合いは不可能と判断して家庭裁判所で離婚調停を申し立てました。
『どうしても離婚したければ慰謝料を払え』と最初の日から夫は強気で、同時に申し立てていた婚姻費用分担請求も『何で俺が払う必要があるのだ』と調停委員のおふたりに強い言葉で抵抗してきたのを聞きました。
婚姻費用分担は法律で決まっている義務だと調停委員から説明があっても『勝手に出ていったやつに払う金などない』の一点張り、最終的に裁判官が算定表に従って金額を決めましたが、『ふざけるなよと怒鳴っていましたね』とため息をつく調停委員の様子に、本当に気が滅入りましたね…。
こんな人だから、実家にいる私や子どもたち、両親に何か嫌がらせをしてくるのではと毎日不安で、パートは続けていましたがいつ職場に夫が現れるかと気が張り詰めて食欲がわかず、どんどん落ち込んでいきました。
朝起きるのも億劫になり、このままでは病気になると思っていたのですが、心の支えになったのは子どもたちです。
夫が私にひどい言葉をぶつけるのを子どもたちは見ていたのですが、『子どもの前だからやめてほしい』と言っても『知るか』と吐き捨てる夫に同じく怯えており、実家に逃げてからは怖い父親がいない環境に安心したのか、母の作るご飯をよく食べて夜もぐっすりと眠っています。
学校の様子を尋ねても以前はあまり話したがらなかったのが、別居してからは『きょうは◯◯くんとこんな遊びをした』と報告してくれることが増え、楽しいことを口にするのをはばかるような家だったのだと改めて気がついて涙が出ました。
『この子たちをあんな環境に戻すなんて絶対にありえない、きちんと離婚してこの子たちをのびのびと育てたい』と強く思い、調停も両親に付き添われながらでしたが、夫の剣幕に負けるものかと毎回気合を入れましたね。
暴言の録音を聞いた調停委員のおふたりが『これは立派なモラルハラスメントですよ。なぜ奥さんが離婚を決意したのか、原因は自分にあると相手方も理解しないといけません』ときっぱりと口にしてくれたのがうれしかったです。
こっちがお金を払うことになっても離婚できるのならそれでもいいと考えていたのですが、『それだと夫は自分に非があるとわかることはない、そうではなく自分の人間性が問題なのだと知るべき』と思い直しました。
録音を聞かされた夫は、さすがに自分の発言まで私のせいにすることはなく、黙っていたそうです。
外部にこんなものが出れば自分がどう思われるか、気がついたのだと思います。
その後は、夫の要求する慰謝料はなし、こちらもモラハラの慰謝料は求めず平等な財産分与と親権は私とすることで交渉が続き、調停開始から9カ月の現在、もうすぐ離婚が成立する見込みです。
以前は調停の帰りは本当に胃が痛い状態でしたが、いまは裁判所から戻ると『おかえり』と笑顔で迎えてくれる子どもたちを見ると元気が出ます。
自分の人生だけでなくこの子たちのこれからもかかっているのだという自覚が、正しく自分の意思を主張する気持ちを支えてくれています」(女性/39歳/小売業)
モラルハラスメントを当たり前にできる人間は、その自分に疑問も違和感も持っていません。
だから配偶者を貶めることができるわけで、そんな姿がどれほど異常なのか、突きつける機会になるのが調停ともいえます。
子どもたちの存在がどれほど大きな力になるか、ともにモラルハラスメントの「被害者」だからこそ、正しく状態を主張して離婚の条件を出していくことがこれからの人生を左右します。
自分と家族の笑顔を守ろうとする意思が、離婚をマイナスではなくプラスの選択にする力になります。