配偶者と離婚したいけれど、相手が拒絶したり条件で揉めたり、話が進まないときに利用できるのが離婚調停です。
家庭裁判所で開かれる離婚調停は誰でも申し立てることができますが、話し合いの機会は月に一度しかなく、配偶者が拒否すれば調停そのものが不成立となり離婚は叶いません。
それでも、調停にしかないメリットや思いがけない幸運などもあって、起こしたからこその経験があるのも事実です。今回は、実際に調停を申し立てた人に、よかった点を聞いてみました。
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「第三者が入る」ことの安心感
「子どもが産まれてから夫のモラルハラスメントが始まり、お給料を勝手に引き出したり休日に何も言わず外泊したり、ひとりで育児をしている私はどんどん追い詰められていきました。
あるとき両親が訪ねてきて私と部屋を見てびっくり、『何があったの』と泣かれて初めて現実のひどさがわかりました。
両親はそのまま私と赤ちゃんを実家に連れて帰ってくれて、やっと涙が出て。カンカンに怒った父が夫に連絡するも、私と娘がいないとわかった夫は『娘を誘拐した』と騒いで話にならず、すぐに家庭裁判所に行き離婚調停を申し立てました。
夫は私について『妊娠してから家事もまともにできず俺ばかりやっていた』と嘘をつき、モラハラも私の勘違い、自分は妻と子に出て行かれた被害者だと言っていると聞いて、調停室で本当に倒れそうになりました。
調停委員のふたりは、静かに私の話を聞いて『体調などは大丈夫ですか?』『お子さんは元気ですか?』とねぎらってくれて、それだけでもう涙が出てしまい…。
『おふたりに銀行の通帳を持ってきてもらいましたが、夫さんはお子さんが産まれてから自分のカードを取り上げてあなたが引き出せないようにしていますね』『夫さんはあなたに生活費を渡したと言っていますが、あなたの通帳のほうはお子さんを産んでからまったく入金がないですよね』と、夫の主張がでたらめであることを認めてくれました。
無断で外泊するのは仕事だと夫は言い張り、証拠としてタイムカードを持ってきてほしいと頼んでも拒否、給料明細の提出も断っており、私のほうは友人に夫のことで相談したLINEの内容などを見せ、どちらの話が信用できるかは明らかだったと思います。
私の親とも話さなかった夫だけど、調停になったら主張を裏付けるものが必要でどれだけ怒鳴っても調停委員は私のように言いなりにはならず、ストレスだったでしょうね。
最初は離婚の慰謝料を要求していた夫は、自分のしてきたことが経済DVやモラハラになるとわかり逆に慰謝料を払う可能性が出てきたせいか、5回目くらいからおとなしくなり、最終的に財産分与なしで離婚が成立しました。
第三者が入ってくれることで私自身どんな生活を送っていたかがよくわかり、悔しかったけれど調停委員のふたりが味方になってくれたことで本当に心強かったです。
離婚まで半年以上かかりましたが、調停がなかったらもっと大変だっただろうなと思うし、養育費の支払いも決められたのでほっとしています」(女性/32歳/無職)
調停では、裁判所が選んだ調停委員が男女ひとりずつ必ず入ります。
調停室に姿はありませんが裁判官もいて、婚姻費用や養育費の金額の決定などを行います。
申立人と相手方はそれぞれ別の部屋で待機し、交代に話を聞いて主張を整理しますが、重要なのは証拠です。
「言った者勝ち」のように何でも主張すれば通るのではなく、たとえば慰謝料を払ってほしいのなら客観的に見てそれが相応と言える証拠がないと、調停委員も裁判官も納得しません。
第三者が入ることで争点がわかりやすくなり、おかしな主張については却下となるのは、調停の大きなメリットといえます。
このケースのように当事者だけでは話し合いが進まない場合、調停の場で公平に事実を見てもらう機会が大切です。