配偶者と離婚したいけれど、条件が合わなかったり相手がそもそも離婚に反対していたり、話が進まないときに利用できるのが離婚調停です。
離婚調停は家庭裁判所で行われますが、申し立てに調停委員を挟んだ話し合いなどハードルが高く、腰が引ける人も多いのが現実。
それでも、裁判所の制度だからこそ取り決めには力があり、婚姻費用の分担や養育費など支払いをきっちりと決められるのがメリットです。
きょうは、離婚調停を利用した人が「助かった」と思ったのはどんな点だったのか、エピソードをご紹介します。
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「先に決めてもらえる」婚姻費用に安心

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「離婚を決めたのは夫のモラハラが原因でした。いつもぎりぎりの生活費しか渡さないのに、私にはパートで数時間しか働かないように強制して家事の負担を全部押し付けてくるなど、家政婦のような扱いでした。
美容室に行けるのは、半年に一度。それも夫が金額を見て安いお店しかOKが出ず、悲しいしつらいけれど反抗するのが怖く、『離婚は無理だろうな』と思い込んでいました。
市外に住む両親のところも年に数回しか行く許可は出なかったのですが、あるときすりきれた服に白髪まみれの私を見た両親が、『さすがに放っておけない』と言い出し、夫に直談判したものの、『俺の稼ぎで生きているのだから当たり前』と返されて、両親の勧めもあり離婚を決意しました。
夫は話し合いに応じないことは想像がつき、家庭裁判所に離婚調停を申し立てたときは、緊張で心臓がバクバクしていましたね。
何の知識もないため両親とともに弁護士に相談し、婚姻費用分担請求ができることも知り、同時に申し立てを行いました。
期日になり裁判所に現れた夫は『私に会わせろ』と調停委員にごねていたそうですが、それを聞いただけで身がすくむような思いがし、恐怖で凍りつく私を見て、ふたりは『つらい思いをされてきたのですね』と声をかけてくれました。
家を出て市外の実家に戻っていた私はパートの仕事を辞めており、両親は高齢で年金頼り、生活費がなく不安なことなど話し、『まず婚姻費用分担請求から進めましょう』となって本当に助かりました。
案の定、夫は『どうして出ていった人間の生活費なぞ払わないといけないのか』と相当抵抗したようですが、法律で決まっていること、算定表があること、納得できなくても裁判官の決定で決まることなどを繰り返し伝えられ、渋々諦めたそうです。
決定を聞くときに調停室で会った裁判官からは、『調停での決定は重く、払わない場合は給与の差し押さえなど強制執行もできるので、毎月必ず確認してくださいね』と言われました。
夫もそれを聞いているのかそれからきっちり私の口座に婚姻費用を振り込むようになり、何とか生活も安定しました。
離婚調停のほうはまだ続いていますが、婚姻費用分担請求を先に進めてもらえたのはありがたかったです」(女性/49歳/無職)
正確には「夫婦関係調整調停」と呼ばれる離婚調停ですが、同時に「婚姻費用分担調整」も申し立てることができます。婚姻費用を負担することは法律上の夫婦である以上は義務であり、別居していても調停中であっても変わりません。
婚姻費用は安定した生活を送るためにとても重要なもので、通常は離婚調停より優先して決定が進むことが多い印象です。当人同士だと揉めやすい生活費の支払いも、調停だとスピーディーに話が進むのが助かりますね。