離婚歴があるというのは現代では珍しくないですが、それでもバツイチの自分に居心地の悪さを感じるのは、そもそも結婚を「死ぬまで別れないのが正解」と思い込んでいるから。
結婚に失敗した自分をダメなものとすると、その後に出会う人とも幸せな関係を築けません。
離婚歴を持つ40代の女性は、バツイチの自分に自信を失わず、前向きに人を愛することで恋愛も家庭もうまくいっているそうです。
彼女が一番気をつけていることとは何なのでしょうか。
後味の悪さが残った離婚
裕美子さん(仮名/45歳)は、3年前に離婚していまはふたりのお子さんと暮らすシングルマザーです。
離婚の原因は夫の浮気で、不倫の証拠までは手に入らなかったものの「ただの遊びで騒ぐな」と鼻で笑った夫に心底嫌気がさして、離婚を決意。
別れることを夫は「こんなことで離婚なんて恥ずかしい」と抵抗したため、子どもたちを連れて別居、家庭裁判所で調停を申し立てて一年後に離婚が成立しました。
「別居ができたのも時間がかかる調停で争うことを続けられたのも、正社員でしっかりとした収入があるおかげです。だから嫌がらせみたいな夫の決断の引き伸ばしも耐えられたし、財産分与も正しく半分とする結果には満足しています。
でも、ショックだったというか本当につらかったのは夫にここまで憎まれる自分を見たことで、最後は調停委員に向かって『好きにしろよ』と言い放ったという夫の姿を想像すると、私は一人の人間としても尊重されない存在なのだと思ってしまって…」
そう言ってため息をつく裕美子さんは、離婚がかなってもしばらくは気落ちすることが止められなかったと言います。
次の恋愛なんてもう無理だと思うし、再婚なんてもってのほか、これからは仕事と子どもたちのために生きようと思い詰めていたそうです。
同じく離婚歴のある男性と知り合って…
そんな裕美子さんが現在お付き合いしているのは、同じくバツイチの独身でひとり暮らしをしている45歳の男性。
目的のあることをしたいと思って加入したボランティアグループで知り合い、仲良くなったそうです。
「彼は、離婚の原因はよくある性格の不一致と話してくれたのですが、一人娘のお子さんに養育費を払い、面会交流を続けているみたいです。私と違って話し合いでそこまで決めて、公正証書を作りにいったときの話もしてくれました。離婚しても、子どものことに責任を忘れない姿に惹かれましたね」と、彼を人として当然の責任感を持つ人と感じた当時の自分を思い出したことを教えてくれました。
自身の離婚で、養育費を決める際に裁判所が用意した算定表に「高い」と文句を言い、支払いは義務であり逃げられないと知れば「別れたら女ばかり得をするんだな」とふてぶてしい態度を晒していた元夫を思い出すと、みずから養育費の提案をしたこの男性には「こんな人もいるのだ」という新鮮な感動があったそうです。
「妻は別れたら他人に戻るけど、血のつながった娘はそうはいかない。親権が取れない以上は育ててくれるのは妻だし、そこは割り切って娘の生活を第一に考えている」と、男性はきっぱりとした口調で言いました。
男性は個人事業主としてデザインの仕事をしており、地域の会社や遠くの企業とも取引があって「収入は不安定ではあるけれど最低じゃないよ」と笑いながら裕美子さんに言ったそう。
自分はパソコンのシステム系の会社で営業職に身を置く裕美子さんは、「子どものためと思えば徹夜も苦じゃない」と言い切る男性に、私もそうだと自分の姿勢を振り返ったそうです。
そんな裕美子さんに男性も心を開き、ふたりの距離は少しずつ近くなっていきました。