子どもを通じて仲良くなるママ友とは、縁を切りづらい面もあり、できるだけ楽しいお付き合いを続けていきたいですよね。
どんな人間関係でも完璧によいとはならないのは当たり前ですが、注意したいのは仲を大切にしない人です。
人の好意や関係性に“タダ乗り”するのは、自分の満足しか考えていないと言えます。
ママ友にそんな人がいると本当に大変ですが、ある女性が見た非常識な姿についてご紹介します。
「足を向ける機会を選ぶ」ママ友
麻里さん(仮名/35歳)は、娘が通う保育園で仲良くなったママ友たちとLINEグループを作り、日ごろから情報交換を楽しんでいたと言います。
「我が家は一人っ子で、私も夫もすべてが初めての経験でした。なので、園では信頼できるママ友がほしいと思っていましたね」
そう話す麻里さんは、持ち前の明るさと行動力から保護者会の役員に推薦され、園ではいろいろなママ・パパと接してきたそうです。
そのなかでも特に気の合うママ友たちとは、園の生活や行事で協力する場面が多く、信頼関係を築けていました。
そんな麻里さんが気になっていたのが、気がつけばよく話すようになっていたひとりの女性。友人がその女性をグループLINEに誘ったそうですが、存在感がほかのママ友たちとはちょっと違っていました。
「イベントのときは積極的に参加するのですが、ママ友たちでランチに行くときとかお下がりの洋服をあげるときとか、何もしないんです。
ランチは『安いし長時間いられるから』ってファミレスを提案して割り勘が当たり前。ファミレス以外でランチをするときは来ないし、お下がりももらうばかりで自分の家のものを出すのは見たことがありません」
ケチな人なのかなというのが麻里さんの印象で、それでもお付き合いに大きな支障をきたすことはなかったそうです。
周りのママ友たちもその女性が足を向ける機会を選り好みしているのは気がついていて話題にもなるけれど、「行事のお手伝いとかいつも来てくれるし」と、ネガティブな存在とは見ていませんでした。
ある一大事で
あるとき、ママ友のひとりが自転車で転んでしまい、入院する事態になりました。
足首を骨折しており、数カ月の治療になると聞いた麻里さんたちは、お見舞いに行くことを考えます。
「骨折だけでほかは元気よってその子が言うので、お菓子を用意しようと決まりました。本人が食べるぶんとご家族のぶんと、2つ買うことになって。グループLINEでは誰からも文句が出ませんでした」
突然のことで気落ちしているだろうし、せっかくだから有名なお店のものにしようよ、と言い出したのは誰だったか、2つ購入すればそこそこに高い金額にはなるけれど、「みんなで割り勘できるから買えるんだよね」と麻里さんは気楽に考えていたそうです。
ひとりのママ友が購入に走ってくれて、その金額をお見舞いの後で割ろうとグループLINEで話はまとまります。
例の女性についてそのときどうだったのか尋ねると、「ほとんど返信はなかったと思いますが、反対はしていなかったですね。お見舞いの品だからいいものにするのは当たり前って感じだったし…。いま思えば、あのときメンバーの全員に意思を確認すればよかったです」
そう言って麻里さんはため息をつきました。
お見舞いの当日は、ママ友みんなで病院に向かい、楽しい時間を過ごせたそうです。
しかし問題はその帰り、清算と食事のために立ち寄ったファミレスで起こりました。
「何もしない」姿に
「お菓子を買ってくれたママ友にそれぞれの負担分を払う約束だったのですが、そのママ友は出さなかったんですね。
みんながお財布を開くなかで何もしないから『どうかした?』って尋ねたら、『持ち合わせが少ないからまた今度払うね』って言い出して。
その場が一瞬シーンとなったのを覚えていますが、当人は気にしない様子でひとりだけメニューを開いていました」
その女性を除く全員は購入の手間をとってくれたママ友にお礼を言いながら自分の負担分を渡していたそうで、我関せずの様子の女性は、「明らかに浮いていた」と麻里さんは振り返ります。
お見舞いには別のママ友がクルマを出してくれていて、それについても「わざわざありがとう」とみんなが伝えるなか、女性は何も言わなかったそうです。
「クルマについて、そのママ友も全員が乗れるワゴンを持っていて送迎に使っているのはみんな知っていました。でも、『私ので行こう』とは言わなかったし、クルマを出してくれたママ友は旦那さんが通勤に使うのを借りてくれたことは、グループLINEで話が出たのでわかっていたと思います」
何もしないその女性の姿に、グループのみんながいい感情を抱いていないのは、その場の空気にも出ていたと麻里さんは言います。
「ほかにも覚えているのは、そのママ友が『このレストランは初めてだから』って結構高めのメニューを注文したのに、1円単位まで割り勘にしだしたことですね。いつもは自分が食べた分だけを黙って出していたのに、ですよ。みんなは揃って日替わりを食べていて、私なら自分が食べた分の差額を出すのにと思いました」
微妙な空気のままこの日は解散となり、その後、特に仲のいいママ友とこの女性について「本当にケチというか、ちょっと非常識じゃない?」と初めて踏み込んだ話をしたのを、麻里さんは思い出していました。
うやむやを狙っている?
麻里さんは、この時点で女性とは「距離を置こう」と決めたそうで、LINEでも個人的なやり取りは避けるようになります。
「そうしているのが私だけじゃないっていうのは、後になって知りました。以前から、お下がりの服ももらうだけで1枚も出さないこととか疑問に思っているママ友がいて、お見舞いのことが決定打になってお付き合いを避けているって言っていて。
いつの間にかグループLINEに投稿する人が減っていて、そのママ友との関わりを嫌がっている空気はありましたね」
お見舞いの後で清算をするのは前もって約束していたことで、それなのにお金を持ってこないこと、普段から自由に使えるクルマがあるのに出さないこと、人の負担を当たり前にする姿が浮き彫りになった女性は、グループでは浮いた存在になっていました。
もっと問題だったのは、「自分の負担分についていつまでも払わない」とお菓子を買いに行ってくれたママ友がこぼしたことで、催促するのも気が引けるし、と困っていたので麻里さんが代わりに「○○さんにお金は払った?」と確認するメッセージを送ったそうです。
「ちょっと入り用があって手元にお金がなくて」「今度払うつもり」と返ってはくるけれど実際に払う様子は見えず、「うやむやにしてこっちが諦めるのを待っているのかも」と感じた麻里さんは、思い切ってグループLINEで「◯日までに払ってね」と女性にあてて投稿しました。
「ほかのメンバーがそのメッセージにリアクションをつけてくれて、その人も逃げられないと悟ったのか、その週のうちに払ってくれたってママ友から報告をもらいました」
ところが、そのメッセージ以降は麻里さんがその女性に園で会っても無視される状況になります。
これを「渡りに船」と思った麻里さんは、女性には何も言わずほかのメンバーにグループLINEを退会することを告げ、その女性を抜いたグループLINEが新しく立ち上がったそうです。
こうやって、非常識なママ友とのお付き合いは幕切れを迎えました。
他人の好意に“タダ乗り”する人
「人付き合いって、お金がかかったりほかの人より負担が増えたりするのは、あるじゃないですか。だからみんなで話し合ってひとりに無理がかからないようにするし、気遣いも当たり前ですよね」
お見舞いの品について、グループLINEで内容を進めていったのはみんなで話して決めるのが当然だからと考える麻里さんは、「決定に口を出さないくせに一方的に逃げる」女性のやり方には怒りを覚えるといいます。
「お金を出したくないなら『私はいい』って抜ける方法だってあるし、乗ったのなら責任を持つのが大人だと思いますね。全部誰かが何とかすることに甘えていて、こういうのを『タダ乗り』って言うのだとみんなで話しました」
ケチであることは、当人の選択なので他人がとやかく言うものではないですが、人とのお付き合いにおいて自分の勝手を通すことは、楽しいコミュニケーションを妨げます。非常識な振る舞いをしていれば敬遠されるのは当然です。
麻里さんは、「後でほかのママさんから聞いたのですが、同じようなトラブルを繰り返していて人が離れていくそうです。園の行事には積極的に参加するし人当たりもいいから、そういうところがあるって付き合ってみないとわからないのですよね」と、その女性が孤立気味であることを教えてくれました。
他人の好意を当たり前にすることはかえって損を招く、としみじみ思いますね。
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