神戸メンタルサービスの平です。ヴィジョン心理学創始者のチャック・スペザーノ博士に師事。プロセスを重視した本格的なグループ・セラピーを開講し、セラピストとして働いてきました。
私はカウンセリングの仕事を30年近くしていますが、いただくご相談のおよそ半分が恋愛・結婚に関することです。
そして、みなさんが恋愛・結婚について相談をしようと思うきっかけのほとんどが、パートナーとうまくいかなくなったり、離婚を考えたりしているとき。
カップルの関係性が悪化する要因としてよくあるのが、経済的な問題や浮気などです。では、なぜそれらの問題が破局につながりやすいのでしょうか?
「不機嫌」は最大の問題
私なりに踏み込んで考えてみた結果、それらの問題が人々の心のなかのある感情とつながることが大きな要因になると考えています。
ある感情とは、「不機嫌」です。
もちろん、彼氏がカードローンで借金をつくってきたり、浮気をされたりしたら、気分がいいわけはありませんよね。
当然、あなたは不機嫌になるわけですが、ひょっとして、それ以前にも、あなたは家のなかで不機嫌だったことはありませんか?
それがおもしろくなくて、彼はパチンコや競馬に行ったり、ほかの女性に惹きつけられたりしてしまった…このパターンが、実は非常に多いということを発見しました。
もちろん、だからといって、彼の借金や浮気を肯定するつもりはまったくありません。
ただ、ふたりの間になんらかの問題が起き、そのために破局してしまうカップルもいれば、問題を乗り越えたことでカップルとして再生し、それが絆となるケースもあります。
その違いはなんだろうと、長い間考えていたのですが、そのなかでわかってきたのが、なんらかの原因でカップルがケンカ状態にあるとき、ふたりのうちのいずれかが長期にわたって不機嫌であるときほど破局する確率が高いということ。
一般的に多いのは、「あなたが浮気をした。そして、私は傷ついた。よって、あなたは一生私に償いなさい。少々のことでは、私は笑顔には戻りませんよ」というケースです。
この場合、夫がつぐなってもつぐなっても妻の機嫌はよくならないので、夫にとっては空しい努力が続きます。
すると、やはりふたりの関係はどんどん冷めていき、破局に向かいはじめるというわけです。これは、妻が浮気をしたという逆のパターンの場合も同様です。
ふたりの関係を、修復したいのなら。
こんなご相談者に、私たちカウンセラーはよくこんな話をします。
それは、「あなたが浮気をされた側であったとしても、パートナーをもう一度、ほんとうに愛するということが必要です。被害者という意識のままでは、ふたりの関係性を築いていくことはできませんよ」
もしも、浮気した相手をどうしても許せないとするならば(それは悪いことではなく、感じ方によって違うだけです)、離婚をおすすめします。
信頼関係が崩れてしまって、修復できる見込みがないわけですから、愛せない人と一緒にいたってうまくはいかないのです。
一方、修復の意思がある場合、それを妨げないようにするために気をつけたいのが不機嫌な態度です。
不機嫌にも種類があり、一般的にイメージする悪い態度もそうですし、落ち込んでただ泣いているというのも不機嫌に入ります。
これは、「私がこんなふうになったのは、あなたのせいよ」というひきこもりの攻撃性の一種です。
攻撃であるからには、そんなあなたにパートナーは愛情を感じることができません。
そしてまた、不機嫌になっている側も実はつらいのです。
パートナーに愛されていないということではなく、自分がいまパートナーを愛していないと感じることがつらい。
「だって、あなたがあんなことをするから、私はあなたを愛することができない。もう一度、私が愛せるような態度をしてみせなさいよ」と思っているわけですね。
愛を止めているとき、あなたが愛していないモノを、心はすべて敵とみなします。
そして、愛していない敵のそばにいるとき、あなたのなかにポジティブな感情はなにひとつありません。
そこで、ここではもう一度、あなたがパートナーを愛することが必要です。愛の回復が、ふたりの関係性にとっていちばん必要なことだからです。
「あいつが悪いんだから!」という思いは十分に理解できます。
しかし、あなたがもう一度愛さないかぎり、カップルとしての関係性は成り立ちません。
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