こんにちは。韓国在住6年目、日本語教師でライターのHAZUKIです。在韓ならではの生きた韓国情報をお届けします。
筆者は日本語の授業をするときに、日本で話題になっているニュースを題材にすることが多々あります。
基本はニュースを読んだり、ディスカッションするのですが、ある韓国人の生徒が「最近韓国で話題になっている日本のニュースがあるからぜひこれを使ってみたい」と送ってくれたニュースがありました。
それが、東京都国立市の「富士見通り」沿いで7月に引き渡し予定だった10階建ての分譲マンションが解体されたというニュースです。
こちらのマンションは、2021年のマンション計画公表直後から「富士山が隠れる」「日当たりが悪くなる」などの反対意見が出ていました。
当初、市のまちづくり審議会への説明で「富士山が見えなくなることはない」とし建設が進められていましたが、昨年冬ごろには通りから見える富士山は半分ほどが隠れる状態になってしまったそう。そして、引き渡し直前の今月頭、解体をすることを決定したという内容です。(参考:東京新聞)
「富士見通り」沿いのマンション解体、なぜ肯定的な韓国人が多いの?
ニュースのコメントを見てみると、日本では「なぜ工事前に確認しなかった?」「すべてがもったいない」「環境問題に悪い」などと否定的なコメントが多い印象。
しかし、筆者が日本語を教えている生徒たちは、この工事を評価していました。
韓国でこのニュースがわざわざ取り上げられたのには、理由があります。それは、最近韓国でも似たような事件が起きたからです。
韓国で起きたのは、2023年のこと。金浦市の「章陵(チャンヌン)」の前に建てられた大規模高層アパートが問題となりました。
「章陵(チャンヌン)は、ユネスコ遺産にも指定されている大事な場所です。そのため、建設工事を始める前から反対の声がありました。
裁判も起きましたが、「すべて法律的には問題ない」とのことでマンションは完成。
このマンション以外にも、観光地や有名遺産の目の前に次々マンションが建築されて問題になっています。
しかしいままでマンションが解体された例は、一度もありません。
そんな韓国のニュースがあった後ですから、今回の日本のニュース、そして会社の対応を見て感心した韓国人が多かったのかもしれません。
実際に授業を受けていた生徒たちの反応も、「法律的に問題なくても解体工事をするなんてすごい」「たしかにここにマンションを建てたことには問題はあるが、会社の対応に誠意を感じる」「韓国ではこんなことにはならない」と話していました。
同じ事件でも日本人と韓国人の見方が違っておもしろいなと思った出来事でした。
- image by:Sean Pavone/Shutterstock.comShutterstock.com
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。