「君はいつも僕の気分を悪くさせるよね」「君のせいで仕事がうまくいかなかったんだ」「いつも君は楽しい雰囲気を壊すよな」…読んでいるだけで気分が悪くなる言葉ですが、夫婦や付き合っている相手からこんなことをいわれたという話は少なくありません。
でも実は、若いころの自分を思い出してみると、ここまで直接的な言葉ではないにしても、このようなニュアンスを含む言葉を、夫婦の間で相手に向けたこともあったような…気がするのです。いまなら「モラハラ」といわれてもおかしくないことですね。
きょうは、人をコントロールしたくなる原因や、コントロールから自由になる方法についてお話したいと思います。
自分を1番に考えてほしい…
人は、どんな気分のときにこんな言葉を口にしてしまうのでしょうか。おそらく、いいことがあったり、幸せだなあと感じられたり、「いい気分」のときに出てくる言葉ではないはずです。その反対に、最悪の気分、耐え難い感情を感じているときに口にしてしまうのではないでしょうか。
なぜ?私たちは耐えられないような「嫌な感情」で心が満たされたとき、誰かのせいにしたり、また誰かにその感情を押しつけようとしてしまうときがあります。心の奥では誰かに「助けてほしい」「救ってほしい」と感じているのですが、それにはなかなか気づけません。
そしてもうひとつは、相手に自分の欲求を満たすような行動をさせたい。またそんな存在にしておきたいと感じているとき、同じように相手を傷つけるような言葉を使っていることがあります。
その言葉を使っている側が、自覚しているときも、また無意識に使っているときもありますが、相手のことを「コントロール」したい。そんな気持ちを持っているときです。冒頭の言葉の場合を想像すると、「自分をもっと大切に扱ってほしい」とか「自分を1番に考えてくれる存在であってほしい」。そんな欲求でしょうか。
コントロールされる側の心理
どうしてきょう「コントロール」という心理を扱いたかったかというと、離婚や別居などのとき、また自分の本当の気持ちや生きたい生き方を見つけたのに、相手がいるとどうしてもその気持ちがしぼんでしまったり、また阻止されそうに思って前に進めない…とお話をしてくださるかたが結構いらっしゃるから。
相手からコントロールされないようにするには、どうしたらいいかと少し考えてみたかったのです。
では、コントロールや支配されるように感じる側の心理はどうなっているのでしょう?うちの夫婦の日常の話です。少しその心理を想像してみてくださいね。
うちはお互い仕事をしているので、私もできるだけ家のことをやるように心がけてはいます。でも平日は、仕事で疲れて帰った妻が、買い物、食事の支度、そして後片付けもしてくれています。
休日、食事が終わったあと。妻が居間に寝転がって「あ~疲れた~いまにも寝てしまいそう~」といったとします。テレビを観ながらそれを聞いた私は、おもむろに立ち上がって洗い物をし始めます。テーブルも拭いて、食器も拭いて、部屋も片づけて、そうしっかりと!
普段は、「片づけたよ!」「助かった!ありがとう」といい感じで休日の終わりを過ごせるのですが…休日の食事で片付けの量が大変なときもあります。
「あ~しんど。ちょっと手伝ってくれたらよかったのに」「えっ誰も片づけてって頼んでないじゃん!置いといてくれたらよかったのに」。そう、「寝てしまいそう」といった彼女の頭のなかには、片づけてほしいという考えはなかったのです。
ただ眠たいだけです。そしてそのまま置いていたら、たぶん夜中に起きて彼女は普通に片づけているでしょう。では、誰が私に片づけをさせているのでしょうか?
そうですね、私の心のなかに「いつもしんどい思いをさせているな」とか「申し訳ないな」という気持ちがあったとしたら、私の心のなかにある「罪悪感」が私に片付けをさせたのです。