みなさん、こんにちは。プロボウラーの安藤瞳です。
私のメルマガ「プロボウラー安藤瞳のボウリングワールド」は、ボウリングの技術についての情報を中心にお届けしていますが、今回は私が患った「摂食障害(拒食症)」のことについて書きたいと思います。
「拒食症」だった私
私は小学4年生のころに摂食障害、そのなかでも「拒食症」を発症しました。
簡単にいうと、内臓などの体に異常はないのに、精神的な要素で食べることが極端にできなくなってしまったり、反動で異常なほど食べ過ぎてしまったりする病です。
すでに見るのもつらいほど痩せているのに、体重が増えることを極端に恐れ、食べ物を口にしない、カロリーの低いものばかりを食べる、異常なほど運動をして体重が増えないように行動する、下剤などを使い体重が増えないようにするなど、健康よりも「痩せること」で頭がいっぱいになってしまう病です。
ただ食欲がないこととは違い、最悪栄養失調からくる合併症などで死にいたることもあるとても危険な病です(ただ本人はあまり命の危険を伴う自覚がない場合が多いです)。
そんな摂食障害と20年以上ともに歩んできました。
一番命の危険があったころには、小学4年生にして12kg(3歳児の平均体重くらいです)になり、立つこともできず、意識も朦朧とした状態で10カ月ほどの入院をしました。
いつ死んでもおかしくない状態のなか、それでも私はいつもいつも自分がまだ太っているように感じて、毎日「痩せたい」という気持ちでいっぱいでした。
最初に入院した病院で「これ以上治療することは難しい」といわれ、転院した病院の担当の先生との出会いが私の命を救ってくれました。
とはいえ、とても苦しく、長い長いトンネルのなかにずっといるような日々との闘いは、私以上に父や母、姉、そしてまわりのたくさんの人にとって、とてもとても苦しい時間だったと思います。
夢を叶えたいまも、摂食障害とともに
そんな私がボウリングに出会い、プロボウラーという「夢」を神様からもらいました。
プロボウラーになるかたは、体格がしっかりしたかたが多いのですが、私はそうではありません。プロボウラーのなかで、きっと一番小さいと思います。
摂食障害が完治しているかというとそうではありません。食べることへの怖さが完全になくはないのですが、いまでは「そんな私でもいい」「私のやり方で頑張ればいい」と思えるようになり、摂食障害と一緒に歩んでいるような感覚です。
もちろん命の危険をはらむ病なのでよいこととはいえませんが、「完治させないといけない」「治らない私はダメな人間だ」と思うことのほうが、この病の杖から手を離せなくなってしまうように思っています。
たとえ摂食障害を持っていたとしても、夢を叶えられること、そしてともに歩んでいく方法もあることを知ってほしい。そう願っています。
いまではテレビでお話しさせていただいたり、本を書かせていただいたりするようになりましたが、ずっと隠しておきたいこと、できれば知られたくないことでした。摂食障害だったことを知られたらどんな風に思われるだろうと、とっても怖かった…。
でも私の経験が、ほんの少しでも同じ病気や気持ちで苦しんでいるかたの力になれるのなら、摂食障害のことを話していこうと思いました。そしてそう思えたときから、なんだか自分が自分自身を認めてあげられたような気がして、だんだん生き方が楽になっていきました。