国勢調査によると、2019年における日本の共働き世帯は約1,245万世帯、専業主婦世帯は575万世帯で、共働き世帯が全体の68.4%を占めています。男が外で働き、女が家を守っていたのは、もう過去の話。では「夫が妻に生活費を渡し、妻が家計を管理する」というスタイルも、いまどき時代遅れになっているのでしょうか?
夫婦それぞれに収入のある共働き世帯は、一体どのようにして家計を分担・管理しているのか、共働き世帯の妻に「家計分担と管理のリアル」を聞いてみました。今回はその中から3つの世帯の家計事情をご紹介します。
今回話を聞いた夫婦
- 収入と負担が夫より妻の方が多い「公務員夫婦」
- 夫の収入でほぼやりくりしている「自営×会社員夫婦」(夫婦円満!)
- 夫が世帯の収支を一元管理している「会社員×フリーランス夫婦」(夫婦円満!)
妻の収入が夫よりも多い「公務員夫婦の家計事情」
安定感抜群の公務員夫妻であるA夫妻。さぞかし堅実に管理・分担できているのではと思いきや、そうでもないみたい…?
A夫妻(結婚8年目)
- 夫:32歳・公務員
- 妻(話を聞いたAさん):35歳・公務員
- 子ども:2人(小学生、未就学児)
- 住居:持ち家
夫婦ともに公務員世帯の、姉さん女房・Aさん。「家計分担や家計管理方法を教えてほしい」というオファーに、「反面教師にしてもらえたら」と応じてくれました。なぜ「反面教師」なのかというと、「お金に関して夫婦間の信頼関係がない」からだそう。そんなA夫妻の家計分担・管理方法とは…。
夫に隠し口座があるのでは?と疑う妻
Aさん「住宅ローン、固定資産税、保険料(学資・医療)、子どもの習い事や学童代、通信費、公共料金、食費といった“毎月絶対にかかるお金”を折半した金額を(夫に)給料日に振り込んでもらっているんだけど、そのときどきで必要になったものは私が負担しているから、結果として私の持ち出しが多くなっている状況。いま世帯で毎月積み立てている貯金は一切なく、私が自分や子どもの将来のためにコツコツと蓄えている感じかな。
わが家は、夫婦で仕事は違えども、ともに年功序列の公務員。年齢は私のほうが上だし、夫は市職員で私は県職員、学歴も専門卒と大卒、夫には奨学金の返済があって私にはない…そんな理由もあって、彼の申告をそのまま信じると、私のほうが毎月15万円くらい手取り額が多いんだよね」
ともにフルタイムで不規則な仕事だけれど、家事の多くは妻が担っているため、「いまの状況に納得していないどころか憤りを感じている」とAさんはいいます。また夫が給与明細を見せてくれず、「正確な収入を知らない」ことも不満の要因になっているようです。
Aさん「結婚前は同じ公務員ということもあって、収入も同じか、私より少し少ないくらいだろうって思っていたんだけど、結婚してフタを開けてびっくり!給与の入金口座を見せてもらったら、こんなに少ないだなんて…。給与明細はいくらお願いしても見せてくれないから、いくつかの口座にわけて振り込まれていたり、給与天引きで別に積み立てていたりするんだろうなって疑っているんだけどね」
夫よりも多い分の収入は“私用の”貯蓄
そんな夫への不信感から、結婚当初は何度も喧嘩をしたと振り返るAさん。当時夫が申告してきた収入のほとんどを家計に入れてもらい、それと同額を自分が負担することで、これまで家計をやりくりしてきたといいます。
Aさん「家を建てたタイミングで一度金額の見直しはしたけれど、もう3〜4年変わってないかな。家事を私と同等以上に担ってくれていたら、彼よりも多い分の収入を『家族の貯蓄』として蓄えたりもするんだろうけど、ご飯を作るのも買い物をするのも掃除洗濯をするのも私。とてもじゃないけど“彼を含めた家族”のための蓄えにはしたくなくて、『完全に“私用の”貯蓄』として別口座に貯めてるよ。
一番キツかったのは、産休・育休・時短中に自分の収入がガクンと減ったとき。私の仕事は残業手当も夜勤手当も出るから、20代のころからそこそこの手取りがあって、結婚前の3〜4年の間に数百万の貯金をしていたんだけど、それがどんどん減っていった…。何度『もう少し収入が多い相手と結婚すればよかった』と後悔したことか(苦笑)」
話を聞いていると、次から次に愚痴がこぼれ出るAさんでしたが、「でももういまは割り切っている」と前を向いているようです。