みなさん、こんにちは。夫婦、家族のカウンセリングサイト「Foo-cen」代表・吉原です。
子育て中の悩みに、「私、子どもに怒ってばかりいるんです」と仰る方が結構多いんです。
もちろん、怒りをぶつけるというのと、叱るというのは本質的に違うとは思います。
ただ子どもを育てると言うのは、親もいろんな感情にさらされるし、多少感情的になってしまってもおかしくはないです。
ましてやわんぱく盛りの歳の近い子が複数いれば、誰が想像しても大変な状況です。パパやママが怒ってばかりいても、少しもおかしくはありません。
「すぐに怒ってしまうんです」と仰る方の多くが、子どもがどんなときでも穏やかで、いいパパ・いいママでいないといけないと心のどこかで感じていらっしゃるのではないでしょうか?
「いい親でありたい」という思いは、きっとみなさん持っています。ただ、いい親でないといけないとは僕は思いません。
少しきょうの話からは逸れるのですが、自分が子どものころにDVやヒステリックな親との関係で心が傷ついていて、「絶対にあんな風にはならない」と自分の怒りという感情を強く抑圧していると、爆発したときに自分も同じように子どもに対して暴言や暴力を振るってしまうというケースは少なくありません。
子どもを育てるとは、ある意味怒りという感情にさらされて当然です。だから、まず「怒ることを自分に許してあげましょう」という話を僕はよくお伝えします。
親との関係はその子の将来の社会との関係
また、「子どもが言うことを聞かない」とか「叱ってもこたえない」という悩みを相談してくださる方もいます。
もちろんときと場合にもよりますし、危険なことや子どもたちが身に付けるべき行動やマナーなどはあるでしょう。
ただ、ひとつだけ心に留めておいてほしいことがあるのです。
それは親との関係や家庭のなかでの子どもの姿は、将来その子が大人になったときの社会との関係になるということです。
親の言うことは何でも聞いていい子であるなら、会社や社会のなかでもいい子でいます。
家庭のなかで遠慮している子は、大人になっても自分の主張は控えるでしょう。
家のなかで自分のほしいものを我慢する子は、大人になっても自分のほしいものを手にできません。
親や家のなかでわがままを言わず、遠慮深く、優しくて、いい子でいることを強要された子が、社会に出ていきなり、自分の夢に、自分の幸せに、自分の仕事に、自分の成功に貪欲になれ!というのは無理なのです。
家のなかで委縮して生きて来た子どもは、大人になっても社会から委縮して生きて行きます。
そのことを知っていれば、自己主張をすること、多少のわがまま、親に怒鳴られてもへっちゃらな子を、すごく健康的でたくましいと思えるでしょう。
子どもなのに、親の顔色を見て委縮してしまうことほど悲しいことはないのではないでしょうか?
あなたが与えられるもの
小さいころ、思春期のころ、反抗期のとき…たしかに子育ては大変なときも多いです。
言うことを聞かないとき。ほしいものがあって駄々をこねるとき。楽しくて大はしゃぎしているとき。心配そうなとき、不安なとき、怖いとき、反抗期、自立しようとしているとき…。親もいろんな感情や気持ちになります。
でも親だからと言ってその感情や気持ちをコントロールしないといけないとは僕は思いません。
腹が立ったら怒ればいいし、悲しいときは悲しいでいいし、辛いときは辛くていい、その方が嬉しいときはうれしく、楽しいときは楽しくいられます。
親があるがままでいれば、子どももあるがままでいられます。
それよりも、自分との関係や目の前の子どもの姿が、将来の社会のなかでの“彼らの姿”だということを思い出すことができれば、そのときそのとき、僕たちがいまその子に“何”を与えられるかと考えることができます。
心配なのか信頼なのか?恐怖なのか安心なのか?否定なのか受容なのか?罪悪感なのか愛なのか?あなたがその子に“どんな環境”を与えてあげたいのか?
「将来“どんな世界”でその子が暮らしていてほしいのか」を考えることの方が、大切なのではないでしょうか。
子育てに完璧はありません、正解や答えもありません。ただ、いまあなたが与える“想い”はその子の人生を守り支え続けることができるのです。
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