こんにちは。男女が癒し合い、高め合い、元気になれる「真実の性」を伝え続けて18年。真実の性の語り部こと夏目祭子です。
私のメルマガ「真実の性の語り部・夏目祭子の『世界一わかりやすい“幸せな性”の授業』」では、夫婦のどちらかが“カラダのつながり”を望んでも、どちらか断わる理由について深掘りし、その解決策をお伝えしてきました。
今年から文部科学省の指導により、全国の小・中・高校で「生命(いのち)の安全教育」というものが始まったことをご存じでしょうか?
おそらく「いのちの安全」と聞くと、交通事故や災害から身を守る方法をイメージする人が大半なのではないでしょうか。
ところが、ここで教えられる内容は、性暴力から身を守る方法なんですね。政府もその目的を、「子どもを性暴力の被害者にも加害者にもしないこと」と掲げています。
そうとわかると、このネーミングになにか「モヤッとするもの」を感じる人は少なくないのではないでしょうか?
そう、目的は性暴力の予防なのに、名前には「性」や「暴力」を意味する言葉が入っていないという回りくどさが感じられますよね。
この違和感に象徴されるように、実はこの教育の内容には、ざっくり言って「2つの困った問題点」が含まれているのです。
年齢別に深まっていく指導内容をご紹介
では、ここで「いのちの安全教育」の具体的な内容について大まかにご紹介しましょう。
幼児期から高校までの4つの発達段階に分けて、その年代にふさわしい伝え方をするようになっています。
幼児期
- 「水着で隠れる部分」は自分だけの大切なところ(※夏目注:性教育でも教える「プライベート・ゾーン」ですね。ただし、この伝え方だと男子の胸が含まれないので、私は男女共通のところとして「口・胸・性器」と伝えています)
- 相手の大切な所を見たり触ったりしないこと
- イヤな触られ方をした場合の対応
小学校
- 人との心と体の距離感(※夏目注:心理的な縄張りスペースである「パーソナルゾーン」の概念を伝えているようです)
- SNSを使うときに気をつけること
中学校
- 自分と相手を守る「距離感」について
- 性暴力とは何か(デートDV、SNSを通じた被害の例示)
- 性暴力被害に遭った場合の対応
高校
- セクシャルハラスメントの例示
- 性暴力の二次被害について
こうして見ると、いままで性暴力防止に関わる立場にある人たちの間で共有されてきた専門知識のなかの基本的な情報を、一般常識として広く普及させる効果はあるように感じます。
実際に、1970年代から民間で行われてきた「暴力防止プログラム」にのっとった内容に見えます。
「性暴力」は教えたいけど、「性」は教えたくない?
さて、それ自体は間違っていない内容ではあっても、この教育方針は、ある2つの問題点をはらんでいます。
そのひとつは、「性暴力とは何か」という被害の例については教えるけれど、そもそも「性行為とは何か」という基本的なことについては扱わないということ。
これは、1998年の学習指導要領改定で追記された、性交については取り扱わないという「歯止め規定」を維持したまま性暴力を教えようとしているから。
そのため、文科省も「いのちの安全教育」について、「性に関する指導と重なる部分はあるが、目的が異なる」と明言しているから驚きました。つまり「これは、性教育ではない」と言い張っているのです…!
なるほど、タイトルに「性」を意味する言葉が一切入っていないのも納得です。
このため、現場の先生たちの間でも「具体的な性の知識を避けた内容で、どの程度伝わるのか?」という懸念の声が上がっています。