子どもにスマホを与える際「スマホ漬けにならないか」「トラブルに巻き込まれないか」と心配する親は多いでしょう。
大切な我が子を守るために、制限やペナルティをつくってからスマホを与えるご家庭もあります。
きょうは、株式会社R&Gが小中学生の子どもにスマホをもたせている親377人を対象に実施した「子どものスマホ使用制限に関する意識調査」の結果をご紹介します。
74.5%の家庭はスマホ利用に制限を設けている?
小中学生の子どもにスマホをもたせている親377人に「スマホ利用に制限を設けているか」と聞いたところ、「設けている」が74.5%となりました。
理由としては「スマホ依存になってほしくない」「危険なことから守りたい」などが考えられます。
また、知らないうちに子どもがアプリに課金してしまい、高額の請求が来るといった事態を防ぎたい方もいるでしょう。
「スマホを使い始めたばかり」「ネットリテラシーがあまり育っていない」などの場合は、制限やルールを設けることが適当です。
スマホ利用の制限内容1位は「使用可能時間を決める」
子どものスマホ利用における制限の1位は、「使用可能時間を決める(183人)」、2位は「課金は許可制/禁止(117人)」でした。
時間とお金を親の監視下に置きたい人が多数。
また「インストールするアプリの制限」「SNSの利用制限」「連絡をとる相手の制限」といった項目からは、子どもをスマホ経由のトラブルから守りたいという思いも見えます。
1位.使用可能時間を決める
「1回の使用は30分まで。夜8時以降は没収」(20代/男性)
「使用時間を制限している。就寝を妨げないように夜10時30分以降は使用禁止。朝の支度が遅れないよう午前中も使用禁止としている」(40代/男性)
1日あたりの使用時間を決めているご家庭もあれば、「夜9時以降は禁止」など時間帯で制限しているご家庭も。
「スマホの見すぎで脳に悪影響があるのでは」「生活リズムが崩れるのでは」といった心配があり、時間制限を設けている親が多いのでしょう。
スマホの長時間利用により、勉強時間が減ったり、友達と遊ばなくなったりすることを心配する親もいるでしょう。
2位.課金は許可制/禁止
「課金はしない。どうしてもしたいときは相談」(30代/女性)
「ゲームなどで、無断で課金しないこと」(40代/男性)
課金は絶対NGなご家庭もあれば、「応相談」のご家庭も。
親からダメと言われても、抜け道を探して課金する子どももいます。
このような事態を防ぐためには、「どうしても課金したいときは相談してね」という余裕をもたせておくほうがいいかもしれません。
3位.アプリインストールは許可制
「アプリダウンロードの際は親に必ず相談すること。インストール時に伝えた注意事項を守ること」(30代/女性)
「アプリのインストールは親が承認しないと不可」(40代/男性)
「有料アプリをインストールされたら困る」「知らない人と連絡できるアプリは使わせたくない」などの理由で、インストールを許可制にしているご家庭も。
親としては、暴力的なコンテンツが見られるアプリも避けたいですね。
また、悪意あるアプリをインストールしてしまうと個人情報が流出する可能性も。
インストールを許可制にする際には、「危険なアプリもある」と伝えておくと理解を得やすいでしょう。
4位.使う場所を決める
「外に出かけるときしか持たせません」(30代/男性)
「家のなかで使うときは、リビングルームでしか使わない。寝室には持ち込まない」(50代以上/女性)
塾や習い事で外出する子どもの場合には、「親との連絡手段としてのみ使う」という条件で渡しているご家庭も。
一方、「家でしか使わない」「自室には持ち込まずリビングで使う」というルールを設けているご家庭もありました。
5位.連絡をとる相手の制限
「家族との連絡用として使用すること」(30代/女性)
「実際に会ったことのない人とは、絶対にやりとりしない」(40代/女性)
知らない人とスマホを通じて連絡をとる事態を懸念している人が多数。
知らない人に言いくるめられて遠方まで会いに行ったり、知らないうちに犯罪に巻き込まれたりする可能性もあります。
そのため「SNSでもメッセージアプリでも、家族や友人以外とはやりとりしない」と言い聞かせているご家庭も多くなりました。
単に「絶対ダメだから」と禁止するだけではなく、「危険だからダメ」と説明することで、子どものリテラシーも高まるのではないでしょうか。
6位.スマホより勉強優先
「宿題や習い事など、課題が終わってから使用する」(30代/女性)
「試験前や試験中はスマホを触らずに勉強する」(40代/女性)
「勉強が最優先なので、学校の成績が著しく悪い場合には携帯の使用禁止」(40代/女性)
使用時間や場所はあまり制限せず、「やるべきことができているなら、あとは自由」と考えているご家庭も。
「宿題もあしたの用意も終わったら、寝る30分前までは自由に使っていいよ」といったルールなら、子どものタイムマネジメントもうまくなるかもしれません。
たとえば「スマホタイムを確保したいがために、効率的に宿題やあしたの準備を終わらせよう」といった意欲が湧くのではないでしょうか。
7位.SNS利用の制限
「グループLINEには参加しない」(30代/女性)
「他人の顔をSNSにアップしない」(40代/女性)
「LINE、X、Instagramはフォローや検索はOKですが、鍵をつけること」(40代/女性)
グループLINEやSNSのイジメを心配している人も多数。
また、SNSに投稿する内容によっては、炎上や友人とのトラブルにつながることもあり、心配ですね。SNS経由で危険な人物から接触されることもあるでしょう。
そのため「閲覧のみOK」「投稿内容には気をつける」「鍵付きのアカウントにする」などの対策を講じているご家庭も多くなりました。
同率7位.ながらスマホの禁止
「食事のときと話をするときはやめること」(40代/女性)
「勉強中はスマホを親に預ける」(50代以上/女性)
食事中や人と話しているときはスマホを触らないようルール化しているご家庭が多くありました。
なお、ルールとして課す以上は、親も「ながらスマホ」をやめる必要があるでしょう。
スマホ利用の制限方法でもっとも多いのは「口頭での約束」
どのような方法でスマホ制限を行っているか聞いたところ、もっとも多かったのは「口頭での約束(153人)」、2位は「スマホ・アプリの機能を利用(95人)」でした。
口頭で約束し、ルールの守り方は子どもに任せている人が多数。アプリやスマホの機能で制限するかどうかは、子どもの性格や年齢によっても変わってくるかもしれません。
たとえばリテラシーが身についていてルールを守る子どもなら、「子どもを信頼しているので、アプリや本体機能で制限しなくてもいい」と考える親も多いかもしれませんね。
1位.口頭での約束
「いまのところ口頭での約束。約束が守れなかった場合の罰則を伝えている」(30代/女性)
「親子で会議。紙には残していないが、お互い明確に約束する」(40代/女性)
「口頭での約束はしていますが、親子仲が悪化するため、強い制限はしていません」(50代以上/男性)
親子で話し合ってルールを確認し、口頭で約束しているご家庭が多数。
小学校高学年以上であれば、約束を覚えて自制する力もついているでしょう。
また話し合って決めたルールなら、子どもも「自分で決めた」という気持ちがもてるので、約束を守りたい気持ちが強くなると考えられます。
2位.スマホ・アプリの機能を利用
「制限時間を超えたら使えないように設定。アプリをダウンロードする際はパスワードを入れないといけない設定にして、パスワードは教えていません」(30代/女性)
「時間制限のアプリと親の許可がないとアプリをインストールできない設定を利用」(50代以上/男性)
親が子どものスマホ利用状況を把握したり、管理・制限したりできるアプリや機能もあります。
親の承認がないとアプリをダウンロードできなくする機能もあるので、危険なアプリのインストールを防ぎたい方にもおすすめ。
ただし監視や制限を厳しくしすぎると、子どもから反発される可能性もあります。
アプリの導入や制限の度合いについては、話し合いが必要でしょう。
3位.約束事を紙に書く
「紙にルールを書いて、壁に貼っている」(30代/女性)
「誓約書を書かせて、約束を守らせる」(40代/男性)
悪気がなくても、約束したことを忘れやすい子どももいるでしょう。
上記のような場合には、口頭で約束するだけではなく、ルールを紙に書いて残しておくのもおすすめです。
見えるところに貼っておくと、目にする機会が増えて「使用時間の上限があるから、時計を気にしよう」と考えるのではないでしょうか。
4位.気になったら声をかける
「できるだけ娘と一緒にスマホの危険性について話すようにして、会話で制限をしています」(20代/女性)
「課金をしないように常々言っています」(50代以上/男性)
スマホを使いすぎていると感じたら、都度声をかけている親も。最初に、長時間使用はしないというルールを設けておけば、声かけが正当性をもちます。
また普段から「スマホは便利だけど危険もある」「なぜ勝手に課金してはいけないのか」といった声かけをしているご家庭もありました。
5位.スマホを預かる
「2時間使用したら、私に預ける」(20代/男性)
「テスト期間中は、預かっています」(30代/女性)
大人でも「デジタルデトックスをしよう」と決意しても、ついつい触ってしまうもの。子どもも同様でしょう。
スマホを触らないためには、近くに置かないのが効果的です。そのため、使用禁止の時間帯は親が預かるご家庭も多数。
「夜自室にスマホを持ち込まないために、リビングで充電する」と決めるのもおすすめです。
スマホ利用の制限を守っている子どもは93.6%
スマホ利用の制限は「守っている」「まあ守っている」と答えた人が93.6%。
「約束を守る素直な子どもが多い」「ペナルティがあるのでしぶしぶ守っている」など、さまざまな理由が考えられます。
またアプリで管理されている場合には、アプリインストールや使用時間のルールは強制的に適用されます。
制限を守らなかったときのペナルティを決めているご家庭は49.8%
子どものスマホ利用に関する制限・ルールを設けている281人に「制限を守らなかったときのペナルティを決めているか」を聞いたところ、「決めている」と「決めていない」がほぼ半々でした。
ルールや制限があっても、違反時のペナルティをつけるかどうかはご家庭によりさまざまだとわかりました。
なおペナルティがない理由としては「いまのところ守っているから」「アプリなどでルール違反できない仕組みになっているから」などが挙げられました。
また「ルールを守れるようになったため、ペナルティをなくした」というご家庭もありました。
子どもの成長によっても、ルールやペナルティのあり方は変わっていくのでしょう。
「一時的にスマホを没収」がペナルティ1位
制限を守らなかったときのペナルティのダントツは「一時的にスマホを没収(98人)」でした。
子どもにスマホを与える際、「約束を守らなかったら、スマホを取り上げるからね」と言い聞かせているご家庭が多いのでしょう。
次ぐ2位は「ルールをより厳しくする(14人)」、3位は「お小遣いの減額(9人)」でした。
どのようなペナルティであれ「親子で話し合って決める」「むやみに特例をつくらない」ことが重要です。
話し合って決めることで子どもの納得感が高まりますし、特例をつくらないことで親の本気度が伝わり、ルールが徹底されます。
1位.一時的にスマホを没収
「有無を言わさず没収します。没収期間は1日~3日程度です」(30代/女性)
「制限を守っていない場合、イエローカード1枚。イエローカード2枚で1週間禁止」(40代/男性)
ルール違反したときにスマホを没収するのは、わかりやすいペナルティです。
子どもも「没収されたくないからルールを守ろう」という気持ちになりやすいでしょう。
ただ「没収期間中に塾で外出する予定があり、連絡手段がなくなったら困る」など、一律に適用するのが難しい面もあり、悩ましいですね。
2位.ルールをより厳しくする
「使える時間をしばらくの間短くする」(30代/男性)
「同世代と同じように厳しい制限をかけるよと脅している」(30代/女性)
たとえば「ルールを破った翌日は、使用可能時間を短くする」などですね。
子どもも、使用時間をオーバーしたので翌日の使用時間でバランスをとると、納得しやすいペナルティかもしれません。
3位.お小遣いの減額
「ルールを破ったら、お小遣いをあげないと思います」(30代/男性)
「Wi-Fiがないところで使用して料金が多かったら、お小遣いからもらっています」(40代/女性)
「お小遣いを減らす」は、スマホが友人や家族との連絡手段として生活に溶け込んでおり、取り上げることが難しい場合に検討されるペナルティです。
課金分をお小遣いから差し引くというご家庭も。スマホにいくらかかっているのかという金銭感覚も養われそうなペナルティです。
4位.スマホを解約
「小学生なのでスマホは「絶対に必要なもの」ではありません。そのためルールを守れない場合は解約すると最初に言ってあります」(30代/女性)
「即解約」(40代/男性)
一時的な没収よりも親の本気度が伝わるペナルティですね。
塾通いなどで連絡手段が必要なご家庭の場合、「スマホは解約してキッズケータイに戻す」「廉価なモデルに変える」といったペナルティをつくっていることもあります。
5位.ゲームを禁止
「ゲームしてもよい時間を削減していく」(40代/女性)
「守らなかったらゲームはやらせないが暗黙の了解」(40代/女性)
スマホと同じくらいゲームが好きな子どもも多いでしょう。
ルール違反したときに大好きなものを禁止し、「気をつけないと」という気持ちを強める狙いがあると考えられます。
ルールは親子で話し合って決める
子どものスマホ利用に際しては、制限やルールを設けているご家庭が多いことがわかりました。
ルールやペナルティを決める際には親子で話し合うのがおすすめ。
また親の心構えとして、「子どもだから、覚えるまで何回も言う必要がある」と覚悟しておく必要もあります。
子どもがスマホと上手に付き合えるようになるよう、子どもが親から離れていくまで長い目で見守るという気持ちが大切です。
また、子どもの健康や生活を守るためにルールがあるという基本を忘れないことも重要となります。
何のために制限を課しているのかを伝えられれば、子どもの「ルールを守ろう」という気持ちも高まるでしょう。
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