20歳年上の夫と高校2年生のマイペース息子と暮らしている、主婦ライター・塩辛いか乃です。
「推し活」という言葉が普及して、もうかなりの月日が経ちますね。
初めて耳にしたときは「なにそれ?」状態でしたが、徐々に市民権を得て、ついに50歳のわたしまで「推し活」に染まってしまっている状態です。
「推し」のいる生活は楽しい。K-Popの推し活をしてみて、それは実感しています。
ですがその一方で、過熱気味な推し活事情にモヤモヤすることもあります。
幼い世代の「推し活」問題点は?
特に気になっているのは、小中学生など、幼い世代の推し活。
推しの写真やグッズが買えたり、推しをプリントしたドリンク「プリラテ」をカフェで飲んだり…と、推し活を存分に楽しめる“推し活のメッカ”新大久保でも、最近小~中学生くらいの子をたくさん見るようになりました。
小学生は親子連れもよく見かけますが、ときどきカバンについているあれこれのグッズを見て「めちゃくちゃお金かけてるなぁ」と思うこともあります。
うちの息子はアイドルには一切興味がありませんが、娘から派生して母娘で推し活をしている方は意外とたくさんいます。
大人の推し活は若い子と規模が違い、「いかに積むか」みたいな部分もありますよね。
推し活を親子で楽しむのはいいですが、親が過熱すると、子どもも一緒に課金の沼にハマってしまう懸念も…。
推し活の沼にはまると、とにかくお金がかかります。お小遣いの範囲で健全な推し活をするのはよいですが、この「大人のドロドロ推し活」側の世界に入ってきてしまうとかなりまずいです。
わたしも推し活を始めた最初は楽しかったのですが、やはり「課金ゲーム」的な要素が強いなと感じる面があったり、ファン同士の人間関係が面倒だなと思う側面も出てきました。
推し活の世界を覗いているわたしから、そのあたりの問題点をお話します。
過熱すると“昼間のホストクラブ”?
推し活は、過熱すると“昼間のホストクラブ”みたいになります。
熱狂的なファンは、推しのCDが出ると「推しを1位にしなくちゃ」という熱意でCDを大量買い。ヒットチャートはCDの売り上げ枚数で決まるので、数百枚買っている人も見かけますね。
事務所側もそれを知っているので、そのCDにはオフラインイベント、つまりアイドルと「会える機会」に応募できるシリアル番号付きの抽選券をつけます。
当然、1枚買ったくらいでは当たりません。真相はわかりませんが、このオフラインイベントにあたるためには「ボーダーライン」があり、最低◯枚応募しないと当たらないなんて話もまことしやかに囁かれています。
さらにCD1枚につき、オリジナルのトレーディングカード(トレカ)が1枚ついてきたりします。
それも、グループのメンバーを指定できるわけではなく、ランダムで1枚。
さらに購入店舗によってオリジナルの特典がつくので、全種類ほしい人はタワーレコード、HMV、ローソン…などさまざまな店舗で予約。こちらももちろんランダムで、当然推しが出る確率は低いです。
CDはそもそも曲を聞くためのものなので1人1枚あれば充分なはずですが、応募券やトレカのために何枚も買う人がたくさんいます。
推しではないトレカは、SNS上のファン同士で交換取引をしたり、メルカリで売られたり…そうなってくると、もはや「課金ゲーム」の様相を呈してきます。
さらに、YouTubeの楽曲再生回数でもランキングが出るので、推しのYouTubeの再生回数を上げるために、複数のアカウントを作ってとにかく何度も再生する、もはや楽曲を楽しむよりも「仕事」のような活動をしている人も…。
チャート集計期間内は、ひたすら楽曲を「まわす」ことに徹している人もいます。
新たな「罠」にもなりかねない
事務所から出ている公式グッズも、何かと高価です。マスコットひとつが4000円、アクリルスタンドでも3000円近くします。
いくらお小遣いを貯めても、小学生のお小遣いでは天井が見えてますよね。CDだって、3000円を超えます。
さらにライブとなれば、チケットは1枚1万円を超えます。さすがにこれは親が出してあげるでしょうが、親が推し活に理解がないとか、金銭的に出せないとかで行けない子もいるでしょう。
大人は自分の使えるお金の範囲で、自由に推し活に投入できます。洋服代や食費を削って推しに投じても、自由といえば自由。
ですが小学生から度を過ぎた推し活にハマると、その後がなかなか心配になります。金銭感覚が狂ってしまいそうというか…。
グッズほしさに、アイドルに会いたさに目先のパパ活に手を出したりしてしまうなど、そんな危うさも感じます。
そして、いまや推しの対象は、手の届かないメジャーアイドルだけではなく、お金を払えば間近で会えるような小規模のファンで成り立つアイドルもたくさんいます。
「メン地下(メンズ地下アイドル)」の世界では、数千円払えば推しと一緒に写真が撮れたり、握手できたりというスキンシップサービスもあります。
お金を積めば、推しと2人で一緒に旅行に行く権利まで買えてしまったりするそうです。
推しにのめり込むあまり、目先のお金を稼ぐことに目がくらみ、夜の世界などに手を染める子が発生して問題になっています。
「推し活」は平和なものだと思っていましたが、実際には節度を持ってやらなければギャンブルにハマるのと同じように、どんどん見境なく課金の沼にハマってしまいます。
パチンコや賭け事、ホストなどは年齢制限がありますが、推し活には年齢制限がありません。
だから、こそ新たな「罠」にもなりかねないのかなと思います。
人間関係のトラブルも…
そういった金銭面での心配もありますが、推し活って結構「人間関係トラブル」もあるようです。
推し活は本来、楽しくやるものだと思っているので、なぜファン同士が争うのかさっぱりわかりませんでしたが、現実にはいろいろなトラブルがあり…。
わたしが推しているグループのファン同士でもときどき聞きますが、同じグループを推して仲良くなった友人が、推しメンバーを変えて自分と同じメンバーを好きになってしまった。だけど「同担拒否」で友情に亀裂が入ってしまった、などと聞きます。
「同担拒否」というのは、推し活用語で「同じメンバーが好きな人とは関わりたくない人」のこと。
アイドルってファンの数が多いから売れているので、同担なんか山ほどいると思うのですが、とにかく自分の好きなメンバーをほかの人がほめるとか、話をするのが嫌という人、結構多いみたいです。
それ自体は個人の感覚なのでよいのですが、それがお友達同士の間で起こってしまった場合はキツイですよね。
昔で言えば「同じ男の子を好きになってしまった」的なやつでしょうか。
誰を好きになろうと自由なのが推し活のよいところなのに、それが人間関係にまで響くのはたまりませんね。
ほかにも「SNSでマウントを取られた」だの「推しの悪口を言われた」だの、せっかく楽しいはずの世界でも人間関係トラブルとSNSトラブルはつきもののよう。残念な気もしますが、どこにいってもトラブルはあるのですね。
楽しく平和に見える「推し活」も、過熱してしまうとトラブルの元になりかねません。
「好きなことに夢中になる」というのを否定はしたくありませんが、小中学生など未成年の推し活は、できるだけ「楽しい推し活」の範疇でとどめられるよう、ある程度親の目が届く範囲で楽しんでもらうことが必要なのかなと思います。
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