このところ、縁結びで若い世代の女性から人気を集める神社仏閣の評判を聞きます。若い女の人からすれば、普段の生活と無縁になりつつある神社仏閣に足を運ぶ機会にもなって、いい傾向ではないのでしょうか。
行けば行ったで、やはり神社・仏閣には特別な荘厳さがあります。心身ともに、清らかになれる感覚もあるはずですよね。
そこで今回は、とてもキュートな縁結びの絵馬を奉納できる、石川県の「愛染寺(あいぜんじ)」を紹介します。
加賀の温泉めぐりの合間や、金沢旅行のサイドトリップで立ち寄りたいスポットなので、恋する女性はぜひともチェックしてみてくださいね。
片山津温泉の守り神「薬師如来」を祭るお寺
「愛染寺」は、1日に湖水の色が7色に変化すると言われる柴山潟(しばやまがた)と、その柴山潟から湧き出す片山津(かたやまづ)温泉を一望できる高台にあります。柴山潟越しには、日本三大霊山のひとつである「白山」の姿も。
この片山津温泉、群馬県の草津温泉や兵庫県の有馬温泉などと比べると、知らない人も多いのではないでしょうか。
片山津温泉とは、石川県西部に広がる加賀温泉郷の一角。温泉郷ですから、他にも温泉地があります。加賀温泉郷の中で言えば、山中温泉、山代温泉の名前ならを知っている人も少なくないかもしれません。
加賀市の『平成29年(2017)加賀市観光統計』を見ても、年間の宿泊客と日帰り客の合計は、片山津が約68万人、山中が約48万人、山代が約83万人となります。
歴史に関して言えば、山代温泉、山中温泉、粟津温泉(こちらも加賀温泉郷)と比べると、片山津は浅い方になります。他の加賀の温泉地は全て1,300年以上の歴史を持つ名湯ばかり。
例えば北陸最古の宿がある粟津温泉は、源泉の発見が718年までさかのぼります。奈良時代の話ですね。
一方の片山津温泉は、江戸時代の1653年に、地元の藩主が鷹狩りの際に柴山潟の湖面に群れる水鳥に気付き、源泉の発見につながったと言います。
歴史こそ浅めですが、この湖に源泉があるという点が片山津のユニークさであり、今でも他の加賀温泉郷の温泉地がまねできない特色となっています。
片山津温泉の歴史は、源泉に向かって湖の沿岸を埋め立てる歴史でもあります。
埋め立てが完成した時期は、明治時代に入ってから。1882年に温泉地としてスタートを切ると、宿ができて湯治客が増え、次第に温泉の守り神として薬師如来が必要だという声が出てきました。
薬師如来とは英語で「the healing Buddha」、まさに湯治湯にぴったりなhealing(治療、治癒)の仏様ですね。
その人々の願いが形となった場所が、愛染寺になります。金沢に1649年に再建された旧・愛染院を、明治20年代の中ごろ片山津に迎え入れ、現在に至ると公式ホームページに書かれています。
筆者もお寺を探しながら、地元の人に愛染寺の場所を尋ねてみました。皆さん「お薬師さん」と呼んで、道を丁寧に教えてくれました。地域の人たちから親しまれている様子が伝わってくるエピソードですね。